ブッダ 悪魔との対話 ( サンユッタ・ニカーヤ ) 第X篇 アーラヴァ より
 
 
 
 わたしは このように聞いた。    あるとき尊師は、アーラヴィーにおける
 
アーラヴァカ という ヤッカの宮殿に とどまっておられた。
 
そのとき アーラヴァカ ・ヤッカは、尊師に向かって次のように言った、――
 
 
( ヤッカ ) 「 わたしは、そなたに質問をしよう。 道の人よ。 もしそなたが説明
 
 することができなければ、わたしは そなたの心を散乱させ、そなたの心臓を
 
 破り裂き、両足を捉えて ガンジス河の彼岸に 投げ捨ててしまうであろう。」
 
 
( ブッダ ) 「 いな、友よ。 わたしは、神々、悪魔、梵天を含む 世界のうちで、
 
 道の人やバラモンたち、神々や 人間を含む 生きとし生ける者共のうちで、
 
 わたしの心を乱し、心臓を破り裂き、両足を捉えて ガンジス河の彼岸に
 
 投げ得るような者を見出さない。 
 
 しかし、友よ、そなたは、なんでも欲することを 質問なさい。」
 
 
( ヤッカ ) 「 この世で、人にとって最上の富は何であるか ?
 
 何をよく修めたならば、幸せをもたらすのか ?
 
 諸々の味のうちで すぐれて良いものは何であるか ?
 
 どのように生きることを、最上の生活と言うのか ? 」
 
 
( ブッダ ) 「 信 ( まこと ) は、この世において 人の最高の財である。
 
 徳を良く実行したならば、幸せをもたらす。
 
 真実は、実に諸々の飲料のうちでも、すぐれて甘美なるものである。
 
 明らかな智慧によって生きることが、最上の生活である、と人々は言う。」
 
 
( ヤッカ ) 「 どのようにして 激流を渡るのであるか ?
 
 どのようにして 大海を渡るのであるか ?
 
 どのようにして 苦しみを超えるのであるか ?
 
 どのようにして 全く清らかになるのであるか ? 」
 
 
( ブッダ ) 「 人は、信仰によって激流を渡り、努めはげむ事によって海を渡る。
 
 勤勉によって苦しみを超え、明らかな智慧によって 全く清らかとなる。」
 
 
( ヤッカ ) 「 どのようにして 叡智を得るのであるか ?
 
 どのようにして 財を得るのであるか ?
 
 どのようにして 名誉を得るのであるか ?
 
 どのようにして 交友を結ぶのであるか ?
 
 この世から かの世へと移って、死んだあとで 悲しまないようにするには、
 
 どうしたら良いのであるか ? 」
 
 
( ブッダ ) 「 尊敬さるべき 真人たちを信仰する人が、安らぎに至るための
 
 教えを聞こうと願って、怠り なまけることのない 聡明な人は、明らかな
 
 智慧を得る。
 
 身に適した ふさわしいことを為し、重い荷に堪え、努力する人は、財を得る。
 
 真実を まもることによって、良い評判を得、ものを与えるならば交友を結ぶ。
 
 このようにするならば、この世から かの世へと移って、死んだあとでも
 
 悲しむことがない。
 
 家を求めながらも信仰あり、
 
 真実と 自制と、堅実と、捨離と、この四つの徳を具えている人は、
 
 死んだあとでも悲しむことがない。   この世から かの世に移って、
 
 死んだあとでも、このように悲しむことがない。
 
 真実 ・ 自制 ・ 捨離 ・ 忍耐 よりも、さらにすぐれたものが この世にあるか
 
 どうか、ひろく世の 道の人・バラモンたち、他の人々に尋ねよかし。」
 
 
( ヤッカ ) 「 今 どうして ひろく世の道の人・バラモンたちに尋ねる要があるで
 
 しょうか。
 
 私は今日、来世にわたって人の為になる事を 明らかに知ったのですから。
 
 ああ、ブッダは、わたしの為に、アーラヴィーに住む為に来て下さいました。
 
 完全な さとりを開かれた方、理法の よく理法たる ゆえんに敬礼しつつ、
 
 わたしは、村から村へ、町から町へ、へめぐりましょう。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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