ブッダの言葉 ( 多界経 ) より
 
 
 
 わたしは このように聞いた。 あるとき、世尊は サーヴァッティーの ジェータ林に
 
ある アナータピンディカの僧園におられた。 
 
そのとき世尊は比丘たちに話しかけられた。
 
「 比丘たちよ。」
 
「 師よ。」
 
と 比丘たちは世尊に答えた。  世尊は 次のようにいわれた。
 
 
   ( 賢者と愚者 )
 
 「 比丘たちよ、危険というものは すべて愚者から生じるのであって、賢者から
 
生じるのではない。 面倒というものは すべて愚者から生ずるのであって、賢者から
 
生じるのではない。 災いというものは すべて愚者から生じるのであって、賢者から
 
生じるのではない。
 
 あたかも、比丘たちよ、茅葺きの家や 草葺きの家から出た火が、内も外も漆喰で
 
塗り固め、風の吹き込まない、閂をかけ、窓を閉めた切妻造りの家さえも焼くように、
 
ちょうどそのように、比丘たちよ、危険というものは すべて愚者から生じるのであって
 
賢者から生じるのではない。 面倒というものは すべて愚者から生じるのであって、
 
賢者から生じるのではない。 災いというものは すべて愚者から生じるのであって、
 
賢者から生じるのではない。
 
 比丘たちよ、このように愚者は 危険をともなっているが、賢者に危険はない。
 
愚者は面倒をともなっているが、賢者に面倒はない。 愚者は災いをともなっている
 
が、賢者に災いはない。
 
 比丘たちよ、賢者から危険が生じる事はない。 賢者から面倒が生じる事はない。
 
賢者から災いが生じることはない。
 
 それゆえ、比丘たちよ、『 賢者になろう、思慮深い人になろう。』、と、このように
 
汝らは努力するがよい。」
 
 
 
 
              
               吉祥なる一夜 ( 跋地羅帝経 ) より
 
 
 
 次のように わたしは聞いた。
 
あるとき、尊き師は サーヴァッティーの ジェータ林の アナータピンディカの僧院に
 
滞在していた。
 
そのとき、尊き師は、「 弟子たちよ。」、と 呼びかけた。 
 
「 尊き師よ。」、と その修行者たちは尊き師に答えた。 尊き師は次のようにいった。
 
 
   ( 偈を誦す )
 
 「 弟子たちよ、わたしは 『 吉祥なる一夜 』、を誦経し 分析して論じましょう。
 
わたしの話すことを注意して聞きなさい。」
 
「 お願いします、尊き師よ。」
 
と 修行者たちは、尊き師に答えた。  尊き師は 次のように誦した。
 
 
 
           過去を振り返るな、
 
           未来を追い求めるな。
 
           過去となったものは すでに捨て去られたもの、
 
           一方、未来にあるものは いまだ到達しないもの。
 
           そこで、いまあるものを
 
           それぞれについて観察し、
 
           左右されず、動揺せずに、
 
           それを認知して、増大させよ。
 
           今日の義務をこそ 熱心にせよ、
 
           明日の死を知り得る人は ないのだから。
 
           死神の大軍勢と
 
           戦わないという人はいないのだから。
 
           このように熱心に禅定を行う人、
 
           昼夜 怠けぬ人、
 
           その人こそが 『 吉祥なる一夜における、
 
           心静まった聖者 』、として語られる。
 
 
 
 
 
 
 
                                                   ・