・



                       ダンマ ・ パダ ( 法句経 ) ー ( 5 )




もし、手に傷が存在しないなら、手で毒を運ぶことができる。

傷なき者に、毒が従い行くことはない。   悪を為さずにいる者に、悪の及ぶことはない。


全ての者は、棒 ( 武器 ) を恐れる。   全ての者にとって、生命は愛しきもの。

自己を喩えとして、( 自らを引き合いにして )、他者を殺さず、他者をして 他者を 殺させないように。


無数なる生の輪廻を、何も見い出す事なく、私は無益に流転してきた ―― 家の作り手を求めながら。

生の輪廻は、繰り返し、苦しみである。


蔓草に覆われた サーラ樹のように、彼に、徹底して下劣な戒めがあるなら、

彼は、彼の敵が、彼に求めるように、そのとおり、自己に為す。 ( 自滅する )


たとえ、他者の義 ( 道理 ) が 多くあっても、自己の義 ( 道理 ) を 失わないように。

自己の義を証知して、自らの義を追及する者として存するように。


奮起するように。   気づきを怠らないように。   善き行いの 法 ( 教え ) を 行なうように。

善き行いの法を行じ 行なう者は、この世において、そして、他世において、安楽に臥す。


来たれ、見よ。  ―― 様々な彩色をした王車の如き、この世界を。

そこに、愚者たちは沈むが、世界について、あるがままに 識知する者たちに、

世界に対する執着は存在しない。


しかしながら、かつて、気づきを怠っていても、彼が、のちに、怠らないなら、

彼は、雲から解き放たれた月のように、この世を照らす。


まさに、吝嗇 ( りんしょく、けち ) の者たちは、天の世界に行くことがない。

まさに、愚者たちは、布施することを賞賛しない。

しかしながら、慧者は、布施することに随喜する者であり、まさしく、それによって、

彼は、他所 ( 来世 ) において、安楽の者となる。


一切の悪を為さないこと、善を成就すること、自らの心を遍く清めること。 

―― これは、覚者たちの教えである。


勝者は、怨恨を生み、敗者は、苦悩のうちに臥す。  寂静の者は、勝敗を捨てて、安楽のうちに臥す。


無病は、最高の利得である。   知足は、最高の財産である。   信頼は、最高の親族である。

涅槃の境地は、最高の安楽である。


欲望から、憂いが生まれ、欲望から、恐れが生まれる。

欲望という拘束から解放された者に、憂いは存在しない。   どうして、恐れがあろう。


渇愛から、憂いが生まれ、渇愛から、恐れが生まれる。

渇愛という拘束から解放された者に、憂いは存在しない。   どうして、恐れがあろう。


怒りを捨てるように。   高慢の思いを捨て去るように。   一切の拘束を超え行くように。

名前と形態 ( 名色、みょうしき、現象世界 ) について執着せずにいる 無一物の者に、

彼に、諸々の苦しみが従い行くことはない。






                                              ・