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                                幸 福




 祇園精舎に ブッダが留まっておられた時、貴族の信者たちが 世尊の許に近づいて 問いかけた。


     「 世の人々は ことごとく、さまざまな福祉を願い、さまざまな幸福を求めます。

      願わくば 我が為に、最上の幸福を語りたまえ。」


 ―― ブッダは答えた。


         
         「 愚かなる者に 親しみ近づかぬがよい。

         賢き人々に近づき 親しむがよい。

         仕えるに値する者に 仕えるがよい。

         これが人間の 最上の幸福である。」


         
         「 良き環境に住まうがよい。

         常に 功徳 ( 徳 ) を 積む事を思うがよい。

         又、自ら 正しい誓願を立てるがよい。

         これが人間の 最上の幸福である。」


 
         「 広く学び、技芸を身につけるは良く、

         規律ある生活を習うは 良く、

         良き言葉に なじむのは良い。

         これが人間の 最上の幸福である。」


 
         「 よく 父母に仕えるは良く、

         妻や子を慈しむは 良く、

         正しい 生業 ( なりわい ) に 励むは良い。

         これが人間の 最上の幸福である。」


 
         「 布施をなし、戒律を保ち、

         血縁の人々を 恵み助け、

         恥ずべき事を 行なわざるは良い。

         これが人間の 最上の幸福である。」


 
         「 良く自己を制御し、清らかな行いを修め、

         四つの 誠 ( 真 ) の道理 ( 苦、集、滅、道。- 苦しみと、苦しみを滅ぼす道 ) を

         悟りて、

         ついに 涅槃 ( 平安 ) を 実現する事を得れば、

         人間の幸福は、これに 勝 ( まさ ) るものは無い。」


 
         「 その時、毀誉褒貶 ( きよほうへん ー 世間の評判 ) に 心を乱される事もなく、

         得ると 得ざるとによりて、心を乱される事もなく、

         愁 ( うれ ) いもなく、怒りもなく、この上もなき 安穏の中にある。

         人間の幸福は、これに勝るものはない。」


 
         「 人、良く かくの如きを 行い終わらば、

         いずこにあるも、打ち勝たるる事なく、

         いずこに行くも、幸い 豊かならん。

         かかる人にこそ、最上の幸福は有るであろう。」


 
         「 むさぼりを離れ、清らかにして、

         心に けがれが ある事なければ、

         悟りに入れる者は、

         いずこにあるも 安らかに眠る。

         全ての 執着は断たれ、

         悩み 調伏されたれば、

         心は 寂静に入りて、

          静けくも、又、安らかに眠る。」




                          

                          『 マハーマンガラ・スッタ ( 大吉祥経 ) 』






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