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                         サーリプッタ と モッガラーナ




 ブッダの二大弟子は、( サーリプッタ )、 と、( モッガラーナ )、 として知られている。


般若心教の中に出て来る、舎利子 ( しゃりし ) という 弟子の名前が サーリプッタである。

ブッダは、ある信者からの、「 ブッダと サンガの後継者は 誰ですか ? 」、 という問いに答えて、

「 それは、 サーリプッタです。」、 と答えられている。 


サーリプッタと モッガラーナは 同じ地方で生まれ、幼い時からの親友であった。 

この二人の友情は、一生変わる事がなかった。

ある学者は、「 普通、一つの団体に 二人の有能な弟子がいた場合、指導者争いが起こるものであるが、

 この二人の友情は、生涯 変わる事なく、強くて そして美しい。」、 と書いている。


サーリプッタは、( 智恵第一 )、と称され、モッガラーナは、( 神通力第一 )、と称された。

この二人は、長年に渡って ブッダとサンガを支え、多くの弟子達を指導し、又、他の宗教家たちをも

教導して、人々からの信頼を集めたのだった。

サーリプッタは、ジャイナ教の人々からも尊敬されていたらしく、ジャイナ教の聖典には、仏教の教主は

サーリプッタである、と ( 誤解されて ) 書かれている。


しかし 後年、モッガラーナは、他の宗教団体の行者たちから 暴行を受けた。  

すでに重態であった。

知らせを聞いて すぐにモッガラーナの所へ駆けつけたサーリプッタが、瀕死の友を抱いて 泣きながら、

「 君ほどの 神通力の持ち主が、なぜ、 こんな非道を避けられなかったのか。」、 と 聞くと、

「 今までは 攻撃を察知して 免れていたのだが、今度の事は 私の持っていた因縁と知ったので あえて

 受けたのだ。」、 と モッガラーナが答えたという。

サーリプッタは ブッダの許しを得て、荷車に親友を乗せて 二人の故郷まで帰り、その故郷で 人々に

説法をしたのち、モッガラーナの死の直前に、自ら命を断ったのだった。


サーリプッタと モッガラーナに付き従って、二人の埋葬を終えた弟子たちは、ブッダのもとに帰って

二人の入滅の報告をした。

ブッダは嘆かれ、 「 修行者たちよ。 たとえ大木から生じた偉大な二本の枝であっても、この世では

 先に落ちるという事もあるのだ。」、 と告げられ 断腸の思いを示されたという。

ある仏典には、モッガラーナを敬愛し 彼に指導されていた ブッダの弟子数人が、彼を殺害した犯人たち

に 報復を果たしたあと、サンガを去って行った、とあるが、それは ブッダの教えに背くものであった。


ある時のこと、ブッダの弟子たちと 多くの信者の人々が ブッダの言葉を聞くために集まっていた。

しかし ブッダは、いつまでも沈黙していた。  長い時が過ぎたので、侍者のアーナンダが 心配して、

「 もう そろそろ、説法を なさいませんと。」、 と言うと ブッダは、 「 ここに不浄の者がいる。」 

とだけ 答えられたという。

それを聞いた モッガラーナは すぐに瞑想状態に入り、参加者の中に 悪意と害意を持って来ている者が

二人いる事を、特別の認識力 ( 他心通 ) によって確認した。

そして悪人の前に立って、ここから出て行くように、と告げたが、その二人は モッガラーナの言葉を

無視したので、彼は二人を その場からつまみ出し、追い払ったという事件があった。

このような事が まれに起こっていたので、モッガラーナは、邪悪な人間からは 常に敵意を持たれていた

のだった。


ブッダは、老齢になられた時に 説法に疲れると、たびたび御自分に変わって サーリプッタに説法を続け

させている。   このようにして、この二人の弟子は ブッダとサンガを守り、支えていたのだった。


ある時、ブッダとサーリプッタが話していると、七歳の子供の弟子がブッダに水を持って近づいて来た。

その弟子は、幼少より修行を続けて、すでに神通力を持っていたが、それを人に知られまいとしていた。

この時、この七歳の弟子を見た ブッダは こう語ったという。


「 サーリプッタよ。  水の瓶を手にして近づいて来る、あの おさな子を見よ。  アヌルッダに指導

 されているあの者は、心が真っ直ぐで見事である。   あの幼な児は、すでに神通力を持っている。

 そして、 『 その事を 誰も 知る事がないように 』、と願っている。」、 と語られた。

その時 子供だったこの弟子は、ブッダが語った その言葉を忘れず、テーラガーターに その時の 言葉を

語り残している。



サーリプッタと モッガラーナは、マガダ国の都、 ラージャグリハの ナーラダ村で、豊かなバラモンの

子供として生まれ育った。    

早くからヴェーダの聖典を学んで 諸芸にも通じた少年たちであった。   二人は大の仲良しだった。

サーリプッタとモッガラーナが 青年になった時、二人で 祭りに出掛けた事があった。

しかし二人は、人々が大口を開けて笑っているのを見て、「 百年経った時に 今笑っている人々の 上と

 下との あごの骨が 合わさっているだろうか。」、 と思って無常を知り、親の許しを得て 良い師を

求めて旅に出た。 

二人は お互いに偉大な教師に出逢ったら 知らせると約束して別の道へと旅立った。


ある都市で、サーリプッタは、立ち居振る舞いの見事な 一人の修行者を見て、心がふるえた。

その修行者は、アッサジ という名の、ブッダ 最初の 五人の弟子の内の 一人だった。

サーリプッタは、アッサジに教えを乞うが アッサジは、 「 私はまだ 師の弟子としては 日が浅いので

 師の教えを説く事はできません。」、 と言って断った。

しかし サーリプッタは、少しでも良いのですからと、ブッダの教えを求めたという。

この時、アッサジは、 「 私の師は、 諸々の存在は 原因より生じる。 その原因と 消滅の道を説かれ

 た。」、 という、因縁論を答えている。


サーリプッタは、すぐさま モッガラーナの所へと走り、二人でブッダのもとで 弟子になったのだった。

この二人が、彼らが以前に知っていた サンジャヤ という沙門の弟子たちを引き連れて ブッダに帰依

した事は、サンガにとって重要な出来事であった。 

二人は やがて ブッダ在世中の、サンガの中核となったからである。



サーリプッタと モッガラーナの入滅後 間もなく、偉大なる師 ブッダも 完全な涅槃に入ったのだった。

ある学者は こう書いている。


「 異教徒の迫害を受けて 死にのぞんでいる友の所に駆けつけ、尊敬する友に一歩先立って死のうとした

 サーリプッタ、そのサーリプッタの心情を肯定した ブッダの姿に、師弟、法友の間の 真の愛を感ずる

 事ができるであろう。」、 と。






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