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                             諸々の 弟子たち




 スンダラ サムッダ という名の ブッダの弟子が修行していると、美しい女性が 着飾ってやって来た。


そして 彼の前で合掌して 微笑みをたたえ、やさしい声で こう言ったという。


 「 あなたは、お若いのに 出家しておられます。     私の教える通りに なさい。

  人間の快楽を楽しみなさい。  私はあなたに富をあげましょう。  本当のことを約束しますよ。

  もしも 信じて下さらないなら、私は あなたに 火を持ってきますよ。  ( 結婚の誓い )

  私たち二人が 年をとって、杖にすがるようになった時に、二人とも一緒に 出家しましょうよ。

  そうすれば、この世でも、かの世でも、運が良いことになるでしょう。 」


と、いかにも 説得力のある 口説き方をした。

彼女は、スンダラ サムッダ を 還俗させようとした、親の放った遊女だった。

スンダラ サムッダ は この時、自分の心が動揺しなかった、という誇りを、獅子吼として残している。





アディムッタ という名の バラモンの青年がいた。


彼は ブッダの教えを熱心に学び、修行していた。  そしてある時、受戒して弟子になろうとしたが、

彼はまだ 未成年だったので、 両親から出家の許可を得る為、故郷に向かって 一人で旅に出た。

ところが彼は 旅の途上で、 山賊の一団に つかまってしまった。

アディムッタ は この時すでに、悟りを開いていたらしい。


山賊の頭目は 驚いた。     何故か、アディムッタ が 平然としているからだった。


山賊の頭目は、 「 我等は 過去に、祭祀のために、あるいは 財貨を得るために、人々を殺してきた。

  かれらは皆、恐怖し、おびえ ふるえ、泣き叫んだ。    ところが お前は おびえていない。

  顔色は ますます澄んで、明るくなっているではないか。  

  お前はどうして 泣き悲しまないのか ?  」、 と聞くと、アディムッタ は、答えて言った。


 「 頭目 ( かしら ) よ。   望み 欲することの無い者には、心の苦しみは 存在しない。

  実に 束縛が消滅してしまった人は、すべての 恐怖を超越している。

  妄執が消滅して、事象を ありのままに見た時には、死に対する 恐怖は存在しない。

  彼岸に達し、執著することなく、つとめを果たし、汚れの無くなった人は

  寿命の尽きる事に満足している。

  私は、清らかな行いを よく実践してきた。    道をも また よく修めた。

  私に 死に対する恐怖は存在しない。    

  たとえば、病気が癒えた時には、 死に対する恐怖が 存在しないようなものである。 」


と、言い、この後も ブッダから聞いた教えを 山賊たちに向かって堂々と説いたのだった。


「 わが師は、すべてを知る人、すべてを見る人、大いなる慈悲ある 全世界の人々を癒す 医師である。

  その教えによって、悲しみのない境地が 得られるのである。 」、 とも言っている。


テーラ ガーター には、

( 山賊たちは 身の毛もよだつ不思議な その言葉を聞いて、 ある者は 刀を捨てて盗賊をやめ、

  又、ある者は、出家を希望した。 )、 と 書かれている。

出家した山賊たちは、ブッダの教えにおいて 賢者となり、心に歓喜し、修行を続けて、安らぎの境地を

体得したという。  


このように、最初期の サンガの中には、以前には 盗賊だった者たちも 比丘になっていたのだった。

そして ブッダのもとで、その教えを喜び、修行を 楽しんでいたらしい。  

彼らは 悔恨の矢に刺されていたので、修行に対しては 常に 真剣であったと 伝えられている。





ソーナ ・ コーリヴィーサ という名で、ラージャガハ にある 大富豪の家に 生まれ育った青年がいた。 


彼は 両親から大切に育てられ、邸宅や庭園の中でも いつも 輿 ( こし ) に乗って運ばれていたので、

自分の足で歩かなかったせいか、足の裏には うぶ毛のような毛が、びっしりと生えていたという。

それが有名になったので、ある時、マガダ国の ビンビサーラ王が 国中の村長が集まる 会議の席上に、

ソーナ を 呼ばせた。

そして皆で ソーナの足の裏に生えている うぶ毛を見て 満足したという。

その後、王の提案で、皆で ブッダの教えを聞くため 輿に乗ってブッダが滞在している山へと向かった。

ソーナは この時 ブッダの説法を聞いて感動し、両親に出家を願い出た。


「 今まで私は、何という生き方をしてきたのだろう。 」、 と震撼したのだった。

親と親族は 猛反対したが、ソーナの決意は固かった。     ついに、両親も 出家を許した。


今まで 贅沢な暮らしに慣れていた ソーナではあったが、道を求める情熱は 誰にも負けなかった。


「 ひとたび 出家したからには、私は どんな事があろうとも、 悟りを得るまでは 怠らず励むぞ。 」

と決意して、ほかの修行僧たちから、「 精進第一 」、と言われるまでに、一心に修行を続けたという。

しかし ソーナは、托鉢に出掛けるだけでも 彼の足の裏の皮膚は破れて、足から血を流した。

瞑想には 専念できたが、経行 ( きんひん ー 歩きながらの精神統一 ) をすれば いつも 彼の足からは

血が流れるのだった。    

しかし ソーナは 痛みに耐えて、誰よりも勇猛果敢に 修行に専念した。

そのような修行を 熱心に続けて、苦しみに耐え抜いた ソーナだったが、

彼の後から サンガに入って来た 修行者の方が、彼よりも早く 悟りを開いていったという。


悩み、苦しんだすえに、ソーナは考えた。 

 「 ブッダの弟子たちの中で、私ほど 熱心に修行している者は いないだろう。    

  しかし未だに 私は悟りを得る事が できないでいる。

  幸い 家に帰れば、私には多くの財宝がある。    

  こうなったら 出家をやめて家に帰り、在家の信者として布施行を行なう方が 良いかもしれない。」


このような ソーナの思いを 特別の認識力 ( 神通力 ー 他心通 ) で知った ブッダは、ソーナのいる

シータ林に行き、ソーナに語りかけられた。    


 「 ソーナよ。   琴の弦は 強く張りすぎても、 弱く張っても 良い音は出ない。

  修行も そのように するものです。    あなたは、履物 ( サンダル ) を 履きなさい。 」

と 言われたが、ソーナは、 

 「 私だけが履くのは 嫌です。  私だけではなく、他の修行者たちにも履くことを お許し下さい。

  そうすれば 私も履きましょう。 」、 と言って許され、その時から 多くの修行者が サンダルを

履くようになったのだった。


ソーナ は ブッダから、

「 精進に つとめる者のうちで、第一の者は、ソーナ ・ コーリヴィーサ である。」、 ( 精進第一 )

と 称えられている。

ソーナ は、熱心に修行を続け、その修行を完成させて、( 修行完成者 ー アラハト ) と 称された。 

やがて 仏弟子の聖者の一人として、人々の尊敬を集め、世間の人々の心を 平安へと導き続けたという。




     
     ( 「 仏弟子の 告白 」、に 残る、 ソーナ ・ コーリヴィーサ の言葉から、抜粋。 )




 「 説き示された 真っ直ぐな道を 行け。   退いて 帰ることなかれ。  

  みずから 自分を督励せよ。 ( はげませ )    安らぎを 得るようにせよ。 」



 「 私が 過度の 精励努力を行なったとき、 世の中における 無上の師、まなこある方は、

  ( 琴の たとえ ) を用いて、私に 理法を 説いて下さった。   

  私は 師の教えを聞いて、その教えを 楽しんで すごした。

  最高の目的に 到達するために 私は 心の平静を実践した。   ブッダの教えは なしとげられた。」



 「 私は 執著の壊滅に専念し、 怒りを いだかない事に専念し、 一切からの 出離を学んだ。

  妄執を滅ぼして 心の迷いを断ち切り、 私は 心の不動を体得して、 心は 完全に解脱した。 」



 「 一つの岩塊より成る山が、風に吹かれても 微動だにしないように、

  欲求 されるもの ( 快 ) も、 欲求 されないもの ( 苦 ) も、 

  そのような 立派な人を 動揺させることはない。

  かれの心は 安住し、 束縛されていない。    

  その 消滅するさまを、 かれは 静観する。 」


                              

                                ( ソーナ ・ コーリヴィーサ )





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