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ソクラテス - ( 1 )
ソクラテスは、いつも人々と議論をしたり、真理を説いたりしていたので 彼の妻は あまり夫にかまって
もらえなかったのか いつも機嫌が良くなかった。
ある日 ソクラテスが 弟子や友人たちをつれて家に帰った時のこと、ソクラテスが自宅のドアをたたくと
ドアが開いて 彼は妻から バケツの水を頭から かけられた。 そしてドアは閉められてしまった。
ソクラテスは やむなく公園へと歩いて行った。
友人たちは、「 なんてひどい事を ・・・ どうして怒らないのだ。」、 と、口々に言った。
ソクラテスは、「 良妻を得た男は 幸福になる。 悪妻を得た男は 哲学者になる。」 と言ったという。
ソクラテスは 当時は有名な哲学者でもなく、むしろ アテネの一市民で 敵国が攻めてきた時には 自分も
槍を持って行って 何度か勇敢に戦っている。 彼を愛する友人や弟子たちも たくさんいた。
貧しい生活ではあったが、戦争で負けた兵士が 奴隷市場で売られているのを見た時には 友人にたのんで
売られていた青年を買ってもらい、自由にしてあげた事もあった。
彼は常に 市民たちに向かって 金もうけばかりに 熱心にならず、徳を積んだり 自己の魂を 成長させる
事に努力するべきだという事を主張していたので、ソクラテスを嫌っている市民たちも多かったという。
そして、彼は 有名な政治家や 物知り顔の識者たちを 次々と論破していったせいで逆恨みされ、ある時
「 ソクラテスは、有害な教説を 青年たちに説いている。」 という 無実の罪で訴えられてしまった。
しかし ソクラテスは その法廷において陪審員たちに向かい、「 アテナイ人諸君よ。」、 と呼びかけて
堂々と 自説を説きまくった。
岩波文庫の、「 ソクラテスの弁明 」、と、「 パイドン 」、という 小冊子の中に ソクラテスが語った
という言葉がある。
それは 全く戦闘的であって、 刑罰を恐れるようすは微塵もなく まさしく、「 殺せ 」 とでも言わん
ばかりであり 全ての欺瞞を糾弾して、 説得力のある正論を 理路整然と説き続けている。
日頃思っていた事を 全部言った、という感じで、陪審員にまで説教をして わざわざ彼らを怒らせた。
当然 陪審員たちを敵にまわした。
そして 予想通り ソクラテスは 死刑を宣告された。
ソクラテスは、 「 今までに 幾多の善人が 多衆に処刑されてきた。
私がその最後だろう と考える事は、決して無用である。
しかしもう時が来た。 私は死ぬ為に、 諸君は生き永らえる為に。
しかしその両者の内の どちらが幸運を得るのかは、神のみぞ知る者がない。」 と 言い放った。
彼の友人や弟子たちは、牢獄の門番に金をわたして ソクラテスを逃がす 手はずをととのえた。
ところが ソクラテスは、友人たちの懸命の説得にもかかわらず、「 こそこそ 逃げるのは嫌だよ。
すでに杯に酒が残っていないというのに、舌で杯を舐めるような事を 私がすると思うかい ? 」
と言って 泣き騒ぐ人々に囲まれ 毒を飲んで死んでいった。
「 悪法も 又 法なり。」、 という言葉は この時のものである。
その日、ソクラテスを慕う人々は 彼の決意が もう変わらないのを知っていたので、牢獄に集まって
悲しみに耐えていたという。
その中には 彼を敬愛していた牢獄の番人もいた。
ソクラテスが 毒杯の毒薬を飲んだ瞬間、一人の男が 耐えかねて号泣したのが きっかけとなって
全員が悲しみと、悔しさで 大声をあげて 泣きわめき始めた。
ソクラテスは、 「 何という人達だ。 こんな事態になるかと思って 私は女たちを先に帰したのだ。
耐えるのだ。 私は 死ぬ時には 静かでないといけないと 聞いている。」 と平然として言った。
ソクラテスの語った言葉の中には、不思議な言葉が多い。
彼は、 「 私は 幼い時から たびたび 神の言葉を聞いていた。」、 と言っている。
自分は その教えを人々に説いていたのだ、と語り ソクラテスの言う処によれば、その神は いつも彼に
「 人々に教えを説く際には 積極的にではなく むしろ注意深く説くように。」、 と告げていたという。
ソクラテスは 言う。 「 アテナイ人諸君、私は 私自身の為に 弁明しよう などとは 思った事もない。
私は 諸君の為に 言っているのであって、私を死刑に処したならば、再び私のような人間を見出す事は
容易ではあるまい。
その人間というのは、少し滑稽に響くかも知れぬが、まさしく 神から 市に、『 くっつけられた 』、
者である。
その市は 巨大にして 気品あるが、それ故に鈍く、 これを覚醒するには 何か 刺す者 を 必要とする
ものなのである。
そうしないと、諸君は 一生を通して 眠り続ける事になってしまうであろう。
で、思うに、 神が私を 本市に、『 くっつけた 』、のは この為であろう。
故に私は、諸君を 覚醒させ、説得し、非難する事を やめないのである。
私が、神によって 本市に遣わされた者である事は、諸君も 次の事実から 看取し得るであろう。
私は 自分自身の為にではなく、常に 諸君の為に 徳 を 追求するように説き続けてきた者であるが、
私自身の事は 一切顧みず、多年の間 家事の荒廃を 平然傍観して 諸君の為に尽くしてきたという事、
これは 人間わざとは 思われないのである。
何の利益も 報酬も得ず、諸君を憂慮して、 始終諸君の為に『 徳 』を説いてきた、という事の証人、
それは すなわち、私の 貧乏である。 」
こんな事があった。 死刑の執行は、デロスから船が帰って来た次の日に 毒を飲む事と決まっていた。
友人と弟子たちは 今日デロスから 船が帰る という情報を得たので、今夜 彼を逃がそうと決意して
朝早く皆で牢獄に行くと ソクラテスは熟睡していた。
やがて目をさましたソクラテスは、「 こんなに朝早く 君達はどうしたのだ。 来ているなら どうして
起こしてくれなかったのだ。」 と言った。
クリトン という名の友人は、「 君が あんまり気持ち良さそうに寝ているので 起こせなかったのだ。
常々 君は 実に良い性格をしていると思っていたが、よくもこんな時に 寝ていられると思って
感心していたのだ。 実は悪い知らせがある。
スニオンから来た人の話によれば、今日 デロスから 船がアテネに帰って来る という事は明らかだ。
だから ぜひ 今夜逃げてもらいたい。」
と言うと、ソクラテスは、「 船が帰るのは 今日ではなく、明日だろうと思う。」 と言う。
クリトンが、「 どこから君は そう推測するのか。」 と聞くと、
ソクラテスは、「 昨夜 夢の中で 白衣を着た美しい女性が側に来て、私に呼びかけて こう言ったのだ。
『 ソクラテスよ。 あなたは 三日後に 幸多き フティヤに着くでしょう。』 と。」
と ソクラテスは語り 事実その通りになった。
ソクラテスは 天界の実在を論理的に証明しているが、彼が神から聞いたという こんな話を語っている。
「 人々は、空気がどこまでも有ると考えているが、海面があるように 空気の層にも果てがある。
その向こうには、エーテルというエネルギーが続いている。」 と、言っている。
成層圏の事らしいが、この時代には それは知られていなかった。
現在使われる、( エーテル ) という言葉は、この ソクラテスの語った言葉が使われている。
又、「 我々の住む大地は、上から見ると 丸い玉の形をしている。
そこには十二の大陸があり 皮を貼ったように存在していて それらは色々な色に見える。
そして 大地であるこの球体は 空中に浮いている。
人々は 天空で星が動いているのだと思っているが、実は 大地である 丸い玉 ( 地球 ) が回って
いるので 星や太陽が 動いているように見えるのだ。」 とも語っている。
二千四百年も以前に、どうしてその事を 知っていたのだろうか。
ソクラテスは、「 神から聞いた。」 と言って プラトンや弟子たちに そう教えていたのである。
「 からの 杯 ( さかずき ) は 舐めない。」 というソクラテスの言葉で思い出したが、
昔の科学者が書いた、「 ルバイヤート 」 という ペルシャの 有名な詩集があるので、買って見ると、
「 心は、 はやる。 早くこの手に酒をくれ ! 」、 と、書いてあった。
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ソクラテス - ( 1 )
ソクラテスは、いつも人々と議論をしたり、真理を説いたりしていたので 彼の妻は あまり夫にかまって
もらえなかったのか いつも機嫌が良くなかった。
ある日 ソクラテスが 弟子や友人たちをつれて家に帰った時のこと、ソクラテスが自宅のドアをたたくと
ドアが開いて 彼は妻から バケツの水を頭から かけられた。 そしてドアは閉められてしまった。
ソクラテスは やむなく公園へと歩いて行った。
友人たちは、「 なんてひどい事を ・・・ どうして怒らないのだ。」、 と、口々に言った。
ソクラテスは、「 良妻を得た男は 幸福になる。 悪妻を得た男は 哲学者になる。」 と言ったという。
ソクラテスは 当時は有名な哲学者でもなく、むしろ アテネの一市民で 敵国が攻めてきた時には 自分も
槍を持って行って 何度か勇敢に戦っている。 彼を愛する友人や弟子たちも たくさんいた。
貧しい生活ではあったが、戦争で負けた兵士が 奴隷市場で売られているのを見た時には 友人にたのんで
売られていた青年を買ってもらい、自由にしてあげた事もあった。
彼は常に 市民たちに向かって 金もうけばかりに 熱心にならず、徳を積んだり 自己の魂を 成長させる
事に努力するべきだという事を主張していたので、ソクラテスを嫌っている市民たちも多かったという。
そして、彼は 有名な政治家や 物知り顔の識者たちを 次々と論破していったせいで逆恨みされ、ある時
「 ソクラテスは、有害な教説を 青年たちに説いている。」 という 無実の罪で訴えられてしまった。
しかし ソクラテスは その法廷において陪審員たちに向かい、「 アテナイ人諸君よ。」、 と呼びかけて
堂々と 自説を説きまくった。
岩波文庫の、「 ソクラテスの弁明 」、と、「 パイドン 」、という 小冊子の中に ソクラテスが語った
という言葉がある。
それは 全く戦闘的であって、 刑罰を恐れるようすは微塵もなく まさしく、「 殺せ 」 とでも言わん
ばかりであり 全ての欺瞞を糾弾して、 説得力のある正論を 理路整然と説き続けている。
日頃思っていた事を 全部言った、という感じで、陪審員にまで説教をして わざわざ彼らを怒らせた。
当然 陪審員たちを敵にまわした。
そして 予想通り ソクラテスは 死刑を宣告された。
ソクラテスは、 「 今までに 幾多の善人が 多衆に処刑されてきた。
私がその最後だろう と考える事は、決して無用である。
しかしもう時が来た。 私は死ぬ為に、 諸君は生き永らえる為に。
しかしその両者の内の どちらが幸運を得るのかは、神のみぞ知る者がない。」 と 言い放った。
彼の友人や弟子たちは、牢獄の門番に金をわたして ソクラテスを逃がす 手はずをととのえた。
ところが ソクラテスは、友人たちの懸命の説得にもかかわらず、「 こそこそ 逃げるのは嫌だよ。
すでに杯に酒が残っていないというのに、舌で杯を舐めるような事を 私がすると思うかい ? 」
と言って 泣き騒ぐ人々に囲まれ 毒を飲んで死んでいった。
「 悪法も 又 法なり。」、 という言葉は この時のものである。
その日、ソクラテスを慕う人々は 彼の決意が もう変わらないのを知っていたので、牢獄に集まって
悲しみに耐えていたという。
その中には 彼を敬愛していた牢獄の番人もいた。
ソクラテスが 毒杯の毒薬を飲んだ瞬間、一人の男が 耐えかねて号泣したのが きっかけとなって
全員が悲しみと、悔しさで 大声をあげて 泣きわめき始めた。
ソクラテスは、 「 何という人達だ。 こんな事態になるかと思って 私は女たちを先に帰したのだ。
耐えるのだ。 私は 死ぬ時には 静かでないといけないと 聞いている。」 と平然として言った。
ソクラテスの語った言葉の中には、不思議な言葉が多い。
彼は、 「 私は 幼い時から たびたび 神の言葉を聞いていた。」、 と言っている。
自分は その教えを人々に説いていたのだ、と語り ソクラテスの言う処によれば、その神は いつも彼に
「 人々に教えを説く際には 積極的にではなく むしろ注意深く説くように。」、 と告げていたという。
ソクラテスは 言う。 「 アテナイ人諸君、私は 私自身の為に 弁明しよう などとは 思った事もない。
私は 諸君の為に 言っているのであって、私を死刑に処したならば、再び私のような人間を見出す事は
容易ではあるまい。
その人間というのは、少し滑稽に響くかも知れぬが、まさしく 神から 市に、『 くっつけられた 』、
者である。
その市は 巨大にして 気品あるが、それ故に鈍く、 これを覚醒するには 何か 刺す者 を 必要とする
ものなのである。
そうしないと、諸君は 一生を通して 眠り続ける事になってしまうであろう。
で、思うに、 神が私を 本市に、『 くっつけた 』、のは この為であろう。
故に私は、諸君を 覚醒させ、説得し、非難する事を やめないのである。
私が、神によって 本市に遣わされた者である事は、諸君も 次の事実から 看取し得るであろう。
私は 自分自身の為にではなく、常に 諸君の為に 徳 を 追求するように説き続けてきた者であるが、
私自身の事は 一切顧みず、多年の間 家事の荒廃を 平然傍観して 諸君の為に尽くしてきたという事、
これは 人間わざとは 思われないのである。
何の利益も 報酬も得ず、諸君を憂慮して、 始終諸君の為に『 徳 』を説いてきた、という事の証人、
それは すなわち、私の 貧乏である。 」
こんな事があった。 死刑の執行は、デロスから船が帰って来た次の日に 毒を飲む事と決まっていた。
友人と弟子たちは 今日デロスから 船が帰る という情報を得たので、今夜 彼を逃がそうと決意して
朝早く皆で牢獄に行くと ソクラテスは熟睡していた。
やがて目をさましたソクラテスは、「 こんなに朝早く 君達はどうしたのだ。 来ているなら どうして
起こしてくれなかったのだ。」 と言った。
クリトン という名の友人は、「 君が あんまり気持ち良さそうに寝ているので 起こせなかったのだ。
常々 君は 実に良い性格をしていると思っていたが、よくもこんな時に 寝ていられると思って
感心していたのだ。 実は悪い知らせがある。
スニオンから来た人の話によれば、今日 デロスから 船がアテネに帰って来る という事は明らかだ。
だから ぜひ 今夜逃げてもらいたい。」
と言うと、ソクラテスは、「 船が帰るのは 今日ではなく、明日だろうと思う。」 と言う。
クリトンが、「 どこから君は そう推測するのか。」 と聞くと、
ソクラテスは、「 昨夜 夢の中で 白衣を着た美しい女性が側に来て、私に呼びかけて こう言ったのだ。
『 ソクラテスよ。 あなたは 三日後に 幸多き フティヤに着くでしょう。』 と。」
と ソクラテスは語り 事実その通りになった。
ソクラテスは 天界の実在を論理的に証明しているが、彼が神から聞いたという こんな話を語っている。
「 人々は、空気がどこまでも有ると考えているが、海面があるように 空気の層にも果てがある。
その向こうには、エーテルというエネルギーが続いている。」 と、言っている。
成層圏の事らしいが、この時代には それは知られていなかった。
現在使われる、( エーテル ) という言葉は、この ソクラテスの語った言葉が使われている。
又、「 我々の住む大地は、上から見ると 丸い玉の形をしている。
そこには十二の大陸があり 皮を貼ったように存在していて それらは色々な色に見える。
そして 大地であるこの球体は 空中に浮いている。
人々は 天空で星が動いているのだと思っているが、実は 大地である 丸い玉 ( 地球 ) が回って
いるので 星や太陽が 動いているように見えるのだ。」 とも語っている。
二千四百年も以前に、どうしてその事を 知っていたのだろうか。
ソクラテスは、「 神から聞いた。」 と言って プラトンや弟子たちに そう教えていたのである。
「 からの 杯 ( さかずき ) は 舐めない。」 というソクラテスの言葉で思い出したが、
昔の科学者が書いた、「 ルバイヤート 」 という ペルシャの 有名な詩集があるので、買って見ると、
「 心は、 はやる。 早くこの手に酒をくれ ! 」、 と、書いてあった。
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