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                   テーラ ガーター   ( 4 ) ー 仏弟子たちの言葉




うるわしい大地には 雨が降りそそぐ、山々には 仙人がしばしば 訪れる。

岩山では 孔雀が 声高く 鳴いている。     それらの岩山は、私を楽しませてくれる。



「 私はすぐれている 。」、 とか、又、「 私はすぐれていない 。」、 とか、

「 私は劣っている 。 あるいは同等である 。」、 とか、色々に言って動揺する事がなくて、

智慧あり、立派な人で、諸々の戒行のうちに よく心が安定し、心の平静を 具現している人、

―― かれを、実に、見識ある人々は 誉めたたえる。



善き言葉を 語る人、人間の内の 最上の人、大力ある人、人々を 調練する 御者ブッダは、

このように語られた。    

―― 「 心は 動転するもので、猿のごとくである 。  それ故に、欲情を 離れていなければ、

 心を制する事は 困難である 。 」



かたち無きものよ。  遠くに行くものよ。  独り 住むものよ。 

いまや、私はそなた ( 心 ) の言葉に 従いますまい。   

諸々の欲望は 苦いもので、辛苦であり、大きな恐怖を もたらすからである。

私は、安らぎに心を向けてのみ 日を送ろう。



説示された 真っ直ぐな道を行け。   退いて帰るなかれ。  

自ら 自分を督励せよ。 ( はげませ )     安らぎを 得るようにせよ。



ひとつの岩なる山が、風が吹いても 微動だにしないように、

そのように、欲求されるものも、欲求されないものも、立派な人を動揺させる事はない。

かれの心は 束縛されていない。    その消滅するさまを、かれは静観する。



この心は、以前には、望むがままに、欲するがままに、快きがままに、さすらっていた。

今や私は その心をすっかり 抑制しよう。

―― 象使いが かぎをもって、発情期に狂う象を 全く押さえつけるように。



師は 我に この世界を、「 無常で、堅固ならず、実質のないものである 。」、 と示したもうた。

我をして、勝利者ブッダの教えに 入らしめよ。  いとも渡り難き 大きな激流から 我を救いたまえ。



調教師が 真っ直ぐに進む馬と共に 進むように、よく調練され 確立しているそなた ( 心 ) と共に、

私は、心を護る人々が 常に実行し 親しんでいる 幸せな道を、実践する事ができる。



実に、火は 「 私は、愚者を焼こう 。」、 とは思わない。 

しかしながら、愚者は、その燃える火に近づいて 焼かれる。



この世における 大地と天界、世界の内に 没入している 色、形 ある いかなる事物も、

すべて、無常にして、老い朽ちる。   叡智ある人達は、このように知って 日を送る。



人々は、諸々の こだわりの内にあって、 見られ、 聞かれ、 触れられ、

考えられた ものについて、縛 ( しば ) られている。     

人は 動揺する事なく、この世に対する 欲望を除け。

この世に 汚されない者を、人々は 聖者と呼ぶからである。



それ故に、この世において、 荒れる事なく、 高ぶらず、 

心の覆い ( おおい ) さまたげを捨てて、清らかとなり、 又 高慢をすっかり捨て去って、 

心の静まった人となり、明知によって 苦しみを終滅せよ。



自分を 苦しめず、又 他人を害わないような 言葉のみを語れ。

これこそ 実に 善く説かれた言葉なのである。   こころよい 言葉のみを語れ。    

その言葉は 人々に歓び迎えられる。 

他人に禍 ( わざわ ) いをもたらす事なしに 語る言葉は、こころよい。

真実は 不死の言葉である。     これは 永遠の理法である。 

道義も 教えも 真実のうちに確立している、と、立派な人々は 語る。



もしも私が、正しく識知して、正しく 身を修めているのならば、

そもそも誰によって、この世に 何があると言うのか。



「 かれは、この世において、名称 ( 自我 ) と形態 ( 肉体 ) に関する

 妄執 ( こだわり ) を、断ち切ったのである。」、と、尊き師は答えた。



「 かれは、長い年月の間に陥っていた 妄執の流れを 断ち切り、

 生死 ( 迷いの生存、輪廻 ) を残りなく超え 渡った 。」

と、五人の修行者の 最上者であった尊き師 ( ブッダ ) は、そのように語った 。



       

            ( ブッダ 最後の 言葉 )


アーナンダ よ 。   

お前たち 修行者は、私の葬儀、供養に かかわっては ならない 。

私の葬儀は、在俗信者たちが やってくれるであろう 。

どうか、お前達は、正しい目的の為に 努力していよ 。 

正しい目的に向かって怠らず、勤め、専念していよ 。



アーナンダよ 。   

今でも、又、私の死後にでも、誰でも、自らを 島とし、自らを たよりとし、

他人を、たよりとせず、真理を 島とし、真理を 拠り所とし、

他のものを 拠り所としないでいる人々がいるならば、

かれらは 我が修行僧として、最高の 境地にあるであろう 。

それ故に、私 なきあとは、自らを 拠り所とし、法を 拠り所として、他のものを たよりとせずにあれ。



与える者には、功徳が増す 。   心身を制する者には、怨みの つのる事がない 。

善き人は、悪事を捨てる 。

その人は、 情欲と、 怒りと、 迷妄とを 滅ぼして、束縛が 解きほぐされた 。



さあ、修行者たちよ 。  お前たちに告げよう 。   もろもろの事象は過ぎ去るものである 。

怠る事なく 修行を完成なさい 。







                    テーラ ガーター  ( 4 ) ー 「 仏弟子の告白 」 抜粋 

                              岩波文庫 「 仏弟子の告白 」 より






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