ウダーナ ヴァルガ  ( 1 )


             ( 岩波文庫 ワイド版 「 ブッダの 真理のことば 感興のことば 」 より )




この世においては、過去にいた 者どもでも、未来に あらわれる 者どもでも、

一切の 生き者は 身体を捨てて 逝くであろう。     

智 ある人は、一切を捨て去る事を 知って、真理に 安住して、清らかな行いを なすべきである。



聡明な人は 順次に 少しずつ、一刹那ごとに、己が汚れを 除くべし。

―― 鍛冶工が 銀の汚れを 除くように。



果実が 熟したならば、先端は 甘美であるが、喜んで 味わってみると 辛い。

愛欲は 愚かなる者どもを 焼き尽くす。 

―― たいまつを放さない人の手を、たいまつが 焼くように。



世間における 種種の 美麗なるものが 欲望なのではない。  

欲望は、人間の 思いと 欲情なのである。

世間における 種種の 美麗なるものは そのまま いつも存続している。

しかし 思慮ある人々は、それらに対する 欲望を制して みちびくのである。



欲望によっては 満足する事がないから、明らかな智慧をもって 満足する方が すぐれている。

明らかな智慧をもって 満足した人を、愛執が 支配する事は できない。



愚人は 享楽のために 害される。     しかし この世で 自己を求める人々は 害されない。

享楽を 妄執するがゆえに、愚人は 他人をも 自分をも そこなう。



一つは 現世に関する ことがらであり、他の一つは 来世に関する ことがらである。

思慮ある人は、ことがらを 見極めて さとるから、賢明な人と 呼ばれるのである。



修行者らは、つとめ はげむのを 楽しめ。     よく 戒めを たもて。

その思いを よく定め 統一して、自分の心を 守れかし。



もしも 自分を 愛しいものだと 知るならば、自分を 悪と結びつけては ならない。

よく心がけて 自己を 守るべきである。

―― 辺境にある、城壁に囲まれた都市が 内も 外も 堅固に 守られているように。



どの方向に 心で さがし求めてみても、自分よりも さらに愛しいものは どこにも見出しがたい。

そのように、他人にとっても それぞれの自己が 愛しいのである。

それ故に、自分の為に 他人を傷つけては ならない。



悪人と 善人とは、死後には 異なった所に おもむく。

悪人は 地獄に おもむき、善人は 天上に 生まれる。



落ち着いて 思慮ある人々は 身をつつしみ、言葉を つつしみ、心を つつしむ。

かれらは あらゆる事に 慎んでいる。     かれらは 不死の境地 ( 生命の泉 ) に おもむく。

そこに 達したならば、悩む事が ない。



悪い心のある人々は 実に 嘘を言う。     常に 地獄の苦しみを増して、おのれを 傷つける。

欠点のない 力のある人は、心の混濁を 除いて、すべてを 忍ぶ。



善い教えは 最上のものである、と 聖者は説く。    これが 第一である。

理法を 語れ。 理法にかなわぬ事 を語るな。    これが 第二である。

好ましい ことばを 語れ。 好ましからぬ ことばを 語るな。    これが 第三である。

真実を 語れ。 虚偽を 語るな。    これが 第四である。
  



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