スッタ ・ ニパータ ( 2 )
もしも この世に、 誠実、 自制、 施与 、耐え忍び よりも さらに すぐれたものが あるならば、
さあ、それら 他のものをも 広く 道の人、バラモンどもに 問え。
あたかも、母が 己が独り子を 命をかけても護るように、 そのように
一切の生きとし 生けるものどもに対しても、 無量の 慈しみのこころを 起こすべし。
自己を制して 悪をなさず、若い時でも、中年でも、聖者は 自己を制している。
かれは 他人に悩まされる事 なく、 又、なんびとをも 悩まさない。
諸々の賢者は、かれを 聖者であると 知る。
怒り、 驕 ( おご ) り、 強情、 反抗心、 偽り、 嫉妬、 ほらを吹く事、 極端の 高慢、
不良の徒と 交わる 事、 ―― これが なまぐさである。 肉食する事が なまぐさいのではない。
六つの感官 ( 眼、耳、鼻、舌、身、意識 ー の 感受性 ) を守り、感官に打ち勝って行動せよ。
理法のうちに安立し、 まっすぐで柔和な事を楽しみ、 執著を去り、
あらゆる 苦しみを捨てた賢者は、見聞した事に けがされない。
世俗の 事柄に触れても、その人の心が、 動揺せず、 憂いなく、 汚れ ( けがれ ) を離れ、
安穏である事、 ―― これが こよなき 幸せである。
怠りは 塵垢 ( ちりあか ) である。 怠りによって 塵垢がつもる。
つとめ はげむ事によって、 又、明知によって、自分にささった 矢を抜け。
無相のおもい ( 一切の事象は 変化し 実体は無いという認識 ) を 修せよ。
心にひそむ傲慢 ( ごうまん ) を捨てよ。
そうすれば 汝は 傲慢を滅ぼして、心 静まった者として 日を送るであろう。
好ましいものも、好ましくない ものも、共に 捨てて、何ものにも 執著せず、こだわらず、
諸々の 束縛から 離脱しているならば、かれは 正しく 世の中を遍歴するであろう。
生まれを 問うことなかれ。 行いを 問え。 火は 実に あらゆる薪から 生じる。
賤しい家に 生まれた人でも、聖者として 道心堅固であり、恥を知って 慎むならば、高貴の人 となる。
人々が いろいろと 考えてみても、結果は 意図とは 異なったものとなる。 ( 他界 )
壊 ( やぶ ) れて 消え去るのは、このとおりである。 世の 成り行く さまを見よ。
己が 悲嘆と 愛執と 憂いとを 除け。
己が楽しみを求める人は、己が煩悩 ( ぼんのう ー 苦しみ ) の 矢を抜くべし。
煩悩の矢を 抜き去って、こだわる事なく、心 の安らぎを 得たならば、
あらゆる悲しみを 超越して、悲しみなき 者となり、安らぎに 帰する。
すべての 束縛を 断ち切り、 怖れる事なく、 執著を 超越して、 とらわれる事の ない人、
―― かれを わたしは バラモンと呼ぶ。
けだし 何者の業 ( ごう ー 行為 ) も滅びることはない。
それは 必ずもどってきて、業を作った主 ( あるじ ー 本人 ) が それを受ける。
愚者は 罪を犯して、来世にあっては その身に 苦しみを受ける。
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