映画「幸せの教室」
今回は時間の関係上、レイトショーでは観れず昼間の定価チケットで観ましたこの映画は数週間前に別の作品を観た際にチラシが目に留まったものでした。中高年の落ちこぼれが奮闘して一歩づつ前進するといった自分が好きな前フリだったのでチェックしてた作品です。ストーリーとしては海軍にコックとして20年勤務して退官し大手ショッピングモールに非社員(契約社員)として勤務する主人公ラリー。彼はこの仕事が大好きで日々奮闘しつつ充実した店員生活を送っていた。が、しかしどこも不況のご時世、突然のリストラ解雇を言い渡され涙ながらに「お願いだ、僕はここの仕事が好きなんだ、クビにしないでくれ。」と訴えるも、大学を出てない君は出世出来ないので辞めてもらうと非情にも解雇されてしまう。方々頑張って就活するが学歴もない五十代のラリーをどこも雇ってはくれず途方にくれたまたま町の短期大学の看板が目に留まり入学を決意する。専攻したスピーチ学の女性教師テイノー(ジュリア・ロバーツ)。働きもしない夫にうんざりで教師としての情熱を失い酒浸りの日々を送っていた。そんな中、ひとり気を吐いて学ぼうとするラリーと不思議な交流を通して少しづつ自分と向き合い始めるのだった・・・・。感想としては第一に感じた事はどこもかしこも不況で理不尽なリストラが海を越えたアメリカでもリアルに行われてる。学歴だとか、不況だから仕方ないだろとか、君だけじゃないとかウンザリだよね。まったく、日本と大差はないといった事をいきなり映画でリアルに考えさせられてしまった。主人公ラリーを演じるトム・ハンクス。この人は人間味あふれる労働者の役が本当に上手いよね。前作「ターミナル」での労働者の演技も見事だった。どんな心情で店員の仕事をやってるか観る側に物凄く伝わる。さすがオスカー俳優。おまけに人生観、哀愁まで醸し出す。歳相応の熟年パワーといったところか。教師役のジュリア・ロバーツ。プリティウーマンから歳とったなーってのが第一印象。でも、この人は無駄な芝居はしないね。シンプルな中に貫録の存在感を醸し出す。さすがこちらもオスカー女優。話の前半はなかなかシンプルで脇役もしっかりしてて良かったです。が、しかし・・・・・・。この映画のコンセプトは一体何だったのか。どんどん話が男と女がくっつくだけの安っぽいラブストーリー一辺倒になっていく。前フリで言ったように職を失った中年男の奮闘やそのオヤジ生徒と情熱を失った女教師との交流におけるヒューマニズムがテーマだったんじゃないの!?話の中盤以降から話の主旨がだんだんずれて最後は女教師がダメな旦那を捨てて教え子のオヤジに乗り換えただけの話になってしまったのは何故か・・・。頑張ったから人生のパートナーを互いに見つけられましたじゃ結末の収支が得られないでしょうが・・。もっと別のものを期待というか、今の時代を生きる中年達へのエール的な感動をさせてくれるのかと思っていただけに中途半端で残念。あれー!?これで終わりなの!?という映画でした。今までの主人公を取り巻く他の人達との交流は一体何だったのか。主人公ラリーと教師テイノーが結ばれる理由が弱くて理解するには厳しかった。エンディングロールシーンに今までの経緯を無視した二人だけの色恋世界がオシャレに流れる。ラブストーリー作品でしたよみたいな。二人のオスカー俳優が揃っても胸を打つ映画は出来ないんだね。何故、この台本で製作がスタートしたのか。ジュリア・ロバーツがもっと製作側と話し合って変えることも可能だったはずなのに。共演者が監督だけに言いずらかったのかな。詰めが甘いと。初共演が売りだから?トム・ハンクスの息子や、メリル・ストリープの娘がチョイ役で出演してるから!?別に何でもいいけどオスカー俳優として世に送るメッセージ作品として妥協しない姿勢を示して欲しかった。ただ、今回の作品でこの不況のご時世、世の中の職、労働、お仕事のあり方や今の時代の人生の価値観が少しづつ変わって来てるというということに対して我々が今後、どう対応すべきかみたいな課題みたいなものは考えさせられた。ゆういつ、その点は良かったと思う。最後にこの作品、主演のトム・ハンクスが監督・脚本を手掛けてるのね。主役が監督と脚本を手掛けた良い作品というのは本当に限られてくる。役者と製作は別分野だし。トム・ハンクスが役者か監督のどちらかに徹していれば変わっていたかもね。客観性が失われていくんだよね。やってる本人が陶酔してしまうみたいなね。息子を出演させたい気持ちは分かりますがね。なんて言うは易し。自分も自作自演のPV作って映画作りの大変さは思い知らされてるし。(立場の違いは別としてね)一人のチケットを購入した観客としての感想を述べさせてもらいました。うーん1800円はきついかも・・・・。オスカー俳優の初共演と名演を観たい方はどうぞ。上映中。