Yさんの「唯一無二」の経験とは次のようなことです。
Yさんは、戦後シベリアの収容所で強制労働をさせられています。そのことをYさんの写真集のあとがきで知った私は、実際にその時の話を聞いてみたいと思っていました。今回いい機会を得たので食事の時などにあれこれ質問し、強制労働の話にとどまらずその後の人生経験を関心するやら、驚愕するやら、たくさんの話を聞くことができました。私が印象に残ったのは、やはり収容所での経験でした。当時のソ連政府から共産主義への転向を迫られたにもかかわらず、これを頑として受け入れず、そのために収容所での生活が延びたり、日本への帰国直前に他の収容所への移動をはかられたりしたそうです。なんせ-40℃という想像もできない環境ですから、日本へ帰りたい気持ちはとてつもなく大きかったと思います。しかし、そんな中でも自分の信念を貫いたその精神力は想像を絶するものです。そしてなんとか帰国した後は一流の貿易マンとしてまさに世界を駆け巡ったとのことでした。(続)
「北海道にて」
