月曜日から仕事場に缶詰め。
どうせ自粛期間だから、いいか。
で、またまた自分のデジタルブックの宣伝。
関連資料として、本著の英訳本の訳者ガンディーが書いた、長い長い「まえがき」の抄訳。(要は、イエスのインド修行説を支持する立場からの論考)
インドのインテリって話が長いですよね。
インドの隣のスリランカでは、「政治家と坊さんが話を始めたら、いつ終わるかわかったものじゃない」という表現があるそうです。
紀元前千五百年のモーゼの時代の記述として、創世記では、エデンに流れる川として、最初にピションを挙げている。「(ピションは)金を産出するハビラ地方全域を巡っていた。(中略)そこではまた、琥珀の類やラピス・ラズリも産出した」とある(訳注1)。この「琥珀の類」(ブドラク)は二種類のゴム樹脂で、両方ともインドのシンド(訳注2)が原産地である。箴言や雅歌にあるシナモンはセイロン島で産出する。民数記でバラム(訳注3)は、イスラエルの平野を「それは広がる谷/大河の岸の園のようだ/それは主が植えられたアロエの木のよう/水のほとりの杉のようだ」と喩えている。この「アロエ」は沈香のことであり、すべての香料の中で最も貴重とされ、サンスクリット語では「アガル」、ヘブライ語では「アハリム」または「アハロト」と呼ばれる。雅歌(およそ紀元前一千年ごろ)では、没薬、アロエ、シナモン、乳香および菖蒲の他に、甘松やサフランやコフェルにも言及しており、コフェルも出てくる。ヘブライ語のコフェルは、エジプトではヘンナと呼ばれ、東インドが原産地である。サフランは、ヘブライ語ではカルカン、サンスクリットではクンクマと呼び、カシミールが原産地であるし、甘松はネパールやブータンなどの高地だけでしか採取できない。詩篇に出てくるコスタスもカシミール原産である。これら三つは、ヒマラヤ地方の特産物であり、ブドラク、蔓、ザクロ、沈香、サレップ、大麻と麝香、ルビー、瑠璃、トルコ石とともに、インドのアーリア人との交流が始まった頃から知られていた。サフランや大麻は、インドから地球の同じ温度帯全体へと広がっていった。ソロモン王が床張りや柱に使っていた白檀は、インドとエーゲ海東部だけが原産地となっている。エステル記(およそ紀元前四百五十年)の文章で「白、緑、青の幔幕があった」という箇所がある。英訳は「綿」とはしていないが、「緑」と訳された言葉のヘブライ語はカルポスであり、サンスクリット語のカルパサやヒンディー語のカパスと同じく綿を意味しており、インド原住民の工芸品である。サトランギは、現在でもヒンドゥスタン中央平原地方全域にわたって生産されている。したがって、この文章は「白と青(の縞模様の)綿幔幕があった」と読むべきである。
(訳注1)新共同訳。以下同様。
(訳注2)現在はパキスタン南東部の州。
(訳注3)ユーフラテス川流域の町に住んでいた占い師。
