わたしは、自分では積極的に猫を探さなかった。
一度だけ、めちゃ可愛い子猫を写真で見て、問い合わせしてみて、
手厳しく門前払いされた。

猫を沢山飼っている、花束をくれた友人と、もう一人、
だいぶ年下で、犬も猫も飼っている友人がいるのだけれど、
その彼女と二人だけに、猫がいたらよろしくね、と頼んであった。
 

マチのことが愛おしすぎて、マチが使っていたものを割られたりしたら、
激昂してしまうのではないかと、自分がまだ怖かった。
仕事も、やりたいことがいっぱいあって、
ここまでやったら、片付けに入ろう、と、自分を追い詰めるかのように
連日仕事に明け暮れていた。
「X(旧twitter)」の方で、猫の保護団体を4つほどフォローしており、
そこで猫たちを見ているだけだった。

春まで待って、それでもご縁がやってこなかったら、
譲渡会に参加してみよう、かな…、と、思っていた。

だからあっという間のご縁で驚いた。
いいのだろうか、大丈夫だろうかという不安があった。
まだ怖い。

若い友人に、決めたことを知らせようと、もらった写真を送った。
この子に決まりました、と。

しばらくして、仰天の返事が帰って来た。

この子、昨日、わたしの夢に出て来た、と。
 

ええ?
ええええええ?

彼女にはちょっと特殊な能力がある。
そして猫を二匹飼っている。
マチはよく、彼女の夢に出かけて行って、
「ちょっとMちゃん聞いて、ママったらさあ~!」と愚痴をこぼしたそうだ。
夫のところの男の子の猫も行って、彼女のところの二匹と、計4人で、
ワイワイ遊んでから解散するのが恒例らしかった。
けれど、マチは死んでからは、彼女のところには出て来てないと言っていた。

彼女は、夢で、白黒でハチワレの猫を見て、
はてな、どういう意味なのかな?と思った。

彼女は「うちの子たちのブレンドだなあ。」とも思った。
うちにもう一匹来るのかなあ?とも思ったそうだ。

「ブレンド」。
実は、彼女が飼っている猫が、白猫と黒猫なのである。
なので、ブレンドだなあと思ったそうだ。

からの、翌日わたしからの、「白黒ハチワレ」の写真。
あああ~。この子だって予告かあ! と言った。
ええ~?
そんなことある~?

彼女は前世巫女だったことがあり、今もすこし不思議な力を持っている。
わたしにもほんのちょっとだけ見えることがあるのだけれど、
彼女と話しているとその力が増す。
電話で話している、その彼女が乗っている車が、わたしには見えて、
「おっきな黒のワゴンに乗ってるんだねえ。」と言った。
見えるわけがないのに。
聞いたこともないのに。

白猫ちゃんと黒猫ちゃんは、普段は仲が悪く、

一緒にいることはまずないそうだ。
それが少し前、二匹が夜中に寄り添って、ゴニョゴニョ相談していたのを見たと言う。
二匹ではなく、他に誰かが来ていて、相談しているように見えたらしい。
「マチちゃんが来て、この子にしようと思うんだけどって、相談してたのかも…」
そんな話もわたしたちは大層真面目にする。

猫は人知を超えた聖なる生き物だもの。

白猫と黒猫。
黒猫があとからやって来たとき、わたしは彼女に「陰陽揃ったね」と話した。
強烈な結界が出来たようなものだ。
白とは、全てを反射した結果の色。魔をはね付けている。
はね付けて守ってくれている。
黒とは、全てを飲み込んだ結果の色。
魔を吸い込んで守ってくれる。

事実、黒猫ちゃんは来た当時、彼女の首に吸い付くことをやめず、
毎日彼女は首が真っ赤だった。
黒ちゃんが吸い出してくれたのだと思う。

そして、わたしにはそのブレンド。
ハーフ?
いや、「ダブル」だ。

マチちゃん、わざと男の子にしたんだよ!と彼女が言った。
女の子だと、どうしてもママは比べちゃうだろうし、
マチも妬く。
男の子だったら、まあ、まあ、しょうがないかね、って思ったんじゃない?
この子を探して繋いでて、マチちゃん疲れてやつれてたんじゃないの?
 

まったく、タイミング的には、その通りなのだ。
時系列も合っている。
わたしたちはお互いに鳥肌が立った。

マチが探したんだ。
Mちゃんちの、白猫黒猫と相談して、ダブルの子にしたんだ…。
運命なんだ…。

だって、これを知らせる前夜に彼女が夢で、このハチワレ君を見ている。
それが紛れもない事実であるのだ。

わたしたちは過去世で、生死を共にした戦友だった。

ある意味親友よりも強い絆で結ばれた魂である。
だから二人で話していると、全てが符合していく。
パズルのピースが次々にハマって行くのだ。

マチが選んだ子。
わたしたちは、そう信じた。

わたしは、ちょうどキリが付いた仕事を一旦打ち切って、
部屋の大改革をスタートした。
やり直すんだ。全部、やり直すんだ。
マチにしてしまったことで悔いていることを二度としない。
マチにもっとしてあげたかったことを全部してあげる。

それはマチへの供養にもなる。
マチはこの子を繋いで、やっと天に上がったのだ。

マチ、見てて。
マチがね、ママにとって史上最高級の天使ちゃんなのは、変りがないよ。
永久欠番、ママの最高の天使ちゃん。
でも、今度、その子が来たらね、
透明になったマチと、3人暮らしだよ?
いいんだよね、それで。


夫はもう、フードとトイレを注文してくれていた。
わたしはオモチャを↑ 買って「気が早い!」と言われた。
二歳半だから、きっとまだ遊びたいよね。
マチ、三人で遊ぼう。

マチ、もう、苦しくないかい?
息苦しくない?
軽くなった?
ここにいてね…マチ、愛しているよ…。

そして、もう一つ、不思議なことが待っているのだった。