三秋縋さんの書く話が好きで幾つか読んでいます。この本が出版された時にすぐ手を出さなくて良かったと思いました。青春時代を振り返る立ち位置にいるからこそ刺さるものがあります。
三秋さんの書く話は誰もが認めるハッピーエンドでは無いけれど、だから少し現実味を帯びているような気がします。
もしこの世にレーテがあるなら忘れたい人がいます。その人と実際に関わった期間は短くて、でも濃密でこれ以上理解し合える人は世界に居ないと今も思います。どこに居るか何をしているかわからないけれど、もし会えたら今日まで積み重ねた人生を壊してでも傍に行きたい。それで幸せになる事は絶対無いとわかっているけど、それでももう良いと思う程の人です。この人を記憶から消せたら今の幸せを心から大切にできるんじゃないかと思うのです。
三秋さんは、誰しもそんな人がいるのではないかと思って、この話を考えたのかもしれません。そしてレーテが本当にあったとしても、主人公のように忘れること無く、私もこの記憶と共存していくんだろうなと思います。