ご機嫌麗しゅう。
男装家やってます斎藤大河です。

今回、ありがたいことに「大河くんの男装観が知りたい」「男装のコツを教えてほしい」と色々聞かれる事が多くなったので、男装ズボラかしめしと平行して全5回くらいの連載にしたいと思います。


あくまで僕が今まで10年以上男装をやってきて確立していった価値観なので、
全員に当てはまるわけではない事をご理解下さい。

1.現代の男装とはなんぞや?
2.男装したい!と思ったらやること。コツとかそういう諸々。
3.男装をやる際の心構え
4.男装が直面する。色々出て来る諸問題
5.最後に

というわけで、今回は記念すべき(?)第一回【現代の男装とはなんぞや?】をお話ししたいと思います。

_______________

【現代の男装とはなんぞや?】
_______________

異性装の文化は古く、色々掘っていくと国や時代などで面白い事は沢山ありますが、そのへんは他にも説明しているサイトやらなんやらたくさんあるので割愛します。


「これから男装したい!」と考えている人のお役に立てればなと思いつつ書いているので、現代の男装にのみ絞ってお話しできたらなと。

______________

性の認識について
______________

現代異性装は多様化が進んでおり、ただのマイノリティーという一言で済ます事が出来なくなっているのが現状です。

例えば、一昔前であれば女装は”オカマ”の一言に色々とひっくるめられていましたが、

現在では
心は女性で女性の恰好をする。恋愛対象は男性。(セクマイ派)
心は男性で女性の恰好をする。恋愛対象は女性。(ファッション派)

のように、女装、男装、と一言に言っても恋愛対象や性の認識に個人差がかなりあります。

デリケートな問題ですし、全員がこう!という答えがあるわけでもないので今回はその付近には触れずに行きます。

「男装をやりたいと思うけど、別に女の子が好きな訳じゃない、気持ちは普通に女の子」という子から、「体は女の子に生まれてきたけど、心は男の子でずっと付き纏う違和感と戦ってきた。」そんな子までみんな楽しく男装出来るといいなぁと思います。

_____________


さて、では現代男装とはいかなるもんや?

男装と一言で言っても色々なタイプが居るのでざっくり分別してみました。


現代男装の方向性は大きく分けて以下の4種類です。

1.コスプレ系男装
2.ヴィジュアル系男装
3.ナチュカジ系男装
4.宝塚系男装


といった感じ。
ではざっと説明します。
______________

1.コスプレ系男装(女らしさ☆★☆☆☆男らしさ)

外見:
ウイッグを着用しており、カラコンが入っていることが多い。アニメや漫画にしやすいデザインになっており、可愛い系、キレイ系、カッコイイ系などのキャラ設定がハッキリしている。または本当に何かの作品のコスプレをしている。メイクの濃さはキャラによって変わるが、薄すぎる事はあまりない。

備考:
普段は女性として生活、活動していて、男装する時のみ別人として活動している場合が多い。
地毛も短いがウイッグの方がキレイにセットできるから、という理由でウイッグを着用している場合もある。

_______________

2.ヴィジュアル系男装(女らしさ☆☆★☆☆男らしさ)

外見:
ウイッグの有無はあまり関係ない。髪の色も派手髪から黒髪、メッシュまで幅が広い。ヴィジュアル系のような中性的な恰好を好む傾向にあって、男か女かと聞かれても「どちらにでも見える」場合が多い。化粧は確実にしていることが解るレベル。ジャスティンデイビスやヴィヴィアンウエストウッドの小物を持っている率が高い気がする。

備考:
ヴィジュアルバンドを嗜好している、またはしていた場合が圧倒的に多いが、顔面が元々中性的で「似合う系統がこれしかなかった」「化粧の感じが好きなだけで別にヴィジュアル系が好きなわけではない」という場合もある。エモ系やホスト系、原宿系もまだ細分化されていないので全てここに分類される。東京ではこのタイプの男装が一番多い。僕は勝手に「黒執事系」って呼んでます。

_______________

3.ナチュカジ系男装(女らしさ☆☆☆☆★男らしさ)

外見:
ウイッグの有無はあまり関係ないが、地毛が多くの割合を占める。
基本黒~茶髪でカラコンも奇抜な色はしない。ナチュラルでカジュアルな「男性として居そう」がメインテーマ。化粧はしていてもナチュラルメイクでファンデーション、眉、必要最低限のアイラインまたはシャドウ程度。化粧をしない人すら居る。

備考:
昔から男子の恰好をしていた、またはどこかのタイミングで男装を始め男性の恰好が一番落ち着く事がわかったため今もそのまま男装をすることになった場合が多い。
振り幅が広く、化粧をしないくらいの男性度の高さになるとオナベとのボーダーが解りづらくなる。

________________

4.宝塚系男装(女らしさ☆☆☆★☆男らしさ)

外見:
長身で細身。化粧にこだわりがある場合が多く、目鼻立ちがハッキリと描かれるので初見で本当の男に見える事はあまりないため、立ち居振る舞い、表情などで男装を意識させる必要がある。初心者にはあまり向かない。”男らしい女性”カッコイイ、またはキレイ。と評される。

備考:
現代男装ブームの中ではチームや店舗に一人居るかいないか程度の割合で、生まれ持っての容姿やセンスなどにも大きく左右されるため人口としてはあまり多くはないが、やはり男装の大御所として一定需要もあるため、一人居ればキャラクターの幅はかなり広がる。

_________________

そんな感じで、今男装をしている人はどこかしらに属するんでないかなと思います。

僕は100%ナチュカジですが、
この分類の間に居る人って言うのももちろん居て、

「俺コスプレ系とヴィジュアル系の間かな」

とか

「ヴィジュアル系とナチュカジ系の間かな」
とか。

ちなみにJ顔真似ちゃんなんかは”コスプレ系とナチュカジ系の間”に分類されるんでないかなと思います。


さて、いかがでしたか?

きっとこれから飛び込もうとしている人達は色々な思いを抱いてこの業界の事を見ていると思います。
本気でやろうと思うと初めのうちは苦労とか困惑も多く出てきますが、少しでもその手助けになりますよう願っています。

ではまたお会いしましょう!
次回更新は来週の12日を予定しています。

___________________

筆者:斎藤大河(サイトウタイガ)

男装家

大阪府出身 東京都在住。
大阪芸術大学芸術学部卒

高校、大学と学生時代にコスプレを含むイベントの主催、企画運営等を担い、
2008年大阪のイベント型男装喫茶に在籍(獅子戸秋彦名義)運営補助の業務を担当。

2011年東京の大手男装エスコートサービス”ギャルソンと一緒(現ウィズコレクション)”に4年在籍し、イベントリーダー、人事等の業務を担当。

後に2015年に風男塾監修男装喫茶"チェンカフェ"に移籍。
2015年9月にチェンカフェユニットが解散したため、

現在はフリーで映像・CM・舞台、ライブ等の活動の傍ら、
旅行、金融、エンタメ系のライターを務める。

趣味は旅行。

twitter@3110_des
mail:t.saito701@gmail.com