重要な会議の後、部長がその上司の取締役から怒鳴られた。
フロアに響き渡る怒声。
離れた席の私からでもわかる。
どうやら私が作成した表に関係があるようだ。

果してその通りだった。
Aという項目が計上されていないのだ。
「Aは計上しいないの?どうして?前に言ったよね?」
と、八つ当たり気味に切れる部長。

確か、前にAは計上しなくていいよって言われた記憶がある。

が、素直に謝った。
「計上していません。すみません」

もともと人の良い部長。
「自分も確認していなかった」とそれ以上は怒らなかった。

そこから二人で、さぁどうやって説明(言い訳)しようかと。
あーだ、こーだ打ち合わせしたが、
計上していないことは事実なのだがら、あっさり謝ることになる。
「部下と私の認識不足でAは計上していない」
というのに落ち着いた。

取締席へ意を決して向かう部長。
無事を祈る私。
最悪、私も席前に呼び出されて、叱咤を受ける覚悟をする。

だが、あっさりすぐに戻ってきた。
「計上ミスはしょうがない。
 俺だってミスはする。
 俺が許せないのは、お前が見苦しい言い訳をしたことだ」
と言われたそうだ。

そんなこと、わざわざ私に言わなくてもいいのに、
怒鳴られたのは、私のせいじゃないよと慰めてくれた。

その後、表の訂正で残業して、体は疲れたが、
晴々した気持ちになった。
最初に素直に謝ったからこそだね。
素直に謝るのはいいことだね。

22時過ぎに家に帰ると、めずらしく母が起きていた。
私の顔を見るなり、こう言った。
「あんたのカバンの中から鍵がみつかったよ」

この話は1年前に遡る。
私は家の鍵を2つあり、1つを下駄箱の鍵入れて置くが、
時々母もこの鍵を使う。

1年ぐらい前から、その鍵が無くなった。
私は母のせいにする。2,3日前も
「あの鍵どこにいったのかしらね」と母。
「だからお母さんが無くしたんだよ」と私。

犯人は私だった。

「あっ、そうなんだ。
 へー、あのカバンか。・・・お風呂先入るね」
と逃げる。

素直に謝らず。