ランチを終えて、

エレベーターから降りようとしたら、

映画撮影をしていた。


そうだ。

事務所で映画の撮影があって、

社員にエキストラ募集をしていたのを思い出した。

撮影は今日だったのか。


学生の時、エキストラの事務所に登録していて、

よくエキストラのバイトをしたが、

割の合わない仕事だった。


待ち時間でほぼ1日拘束されるし、

ロケ地が遠くても電車賃は自費だし、

服装指定もあったりした。


撮影隊がエレベーターホールから事務所内に移動してきた。

向こうで、ゴルフ仲間ののれんくんが、

メークさんに髪型を直されていた。


「いい演技しろよ」


心の中でつぶやくと、

予定ではなかった私の席付近も撮影で使うことになった。


私の席の周りにエキストラ要因の社員が座り始める。

「忙しそうに仕事をして!」

私は普通に仕事をしてればよいが、

エキストラたちは、PCも消しているし、

電話も鳴ってないし、

書類もなく、

これは素人には演技するのは難しいぞと思っていたら、


隣のエキストラの女子社員は、

「スタート!」の合図で、受話器を取り上げ、

「こちら○○です、ハイ○○ですね」

後ろを振り返り、「○○さ~ん!内線5番に電話です」

と、演技した。


す、すごい。


忙しそうなオフィスの音だけを収録するのも、

「これ、50部急いでコピーして」

と、ADの急なフリに、

「ハイ。ホチキスはどうしますか?」

とアドリブしている。


エキストラの先輩はたまげました。