いよいよ手術の日。


手術は14時40分に予約を取ったので、

昨日と同じく午後有給を取り、13時に会社を出る。

ランチを取るぐらいになったら緊張するかと思ったが、

意外と緊張しない。

というのも、昨日最後の方に受けた、

麻酔薬を点けて、超音波で眼球の圧力を測る検査が、

とても気持ちよかったので、あのような感じかと想像した。

体験者も、「すぐ終わるよ」と軽く言っていたので。

それよりも、前日の検査で終わってから4時間ぐらい、

眼がぼんやり、二重に見えるのがつらくて、

またあれは嫌だなあと思っていた。


この日も受付してから10分で、手術前検査に呼ばれる。

機械による視力検査、普通の視力検査、眼球球検査をし、

手術前に会計を済ませる。

待合所で座っていると、つぎつぎ名前を呼ばれ、

別のブースにへと移る。同じ時間帯に手術を受ける8人が集まった。

手術後につける保護用サングラスを配われ、その説明。

そして、8人で手術室のある階へ移動。

ちょうど15時40分だった。


手術階の入り口で、靴を脱ぎ、スリッパを履き、

荷物と靴はロッカーへ。

検査室へ入り、最後の検査。

「手術最後に質問はありませんか」と聞かれ、

「手術後も視力が戻りやすい人がいると聞いたが、

それまで私は何も言われなかったが、

私はどうですか?」と尋ねる。

「私は強度の近視(0.04)なので、

他の人よりは視力が悪くなるかもしれないが、

その確立も3-4%です」と言われた。

その場合は再手術して、視力は回復するとのこと。

それでもまた悪くなることがあるのですか?と尋ねると、

「その割合は0.4%だから気にすることない、

レーシックに必要な角膜もちゃんと厚くあるので心配ありません」と

言われて、安心する。


検査が終わり、紙のシャワーキャップを渡され、

それに髪と耳を入れるように言われ、

隣の部屋で待っている。

再びドキドキしてきた。

私の名前を呼ばれ、部屋の隅のイスに座って、

眼の周りを消毒、

抗菌剤、抗炎症剤、麻酔薬を点眼し、

フラップを作る部屋に連れて行かれ、

部屋の前のイスに座らせられる。

緊張の絶好調だ。


レーシックとは、まず角膜の角膜上膜でフラップ(蓋)を作る。

次に、そのフラップをめくり、その下の角膜実質層に

レーザーを照射して、視力を矯正する。


フラップを作る部屋の前に座って、5-10分待たされる。

いよいよ手術室の扉が開き、部屋に入り、

歯医者のイスみたいなところに寝かされ、

位置をいろいろ調節され、

「そのまま動かないように」と言われ、

痛止めを眼に点された。

また待たされる。

何も聞こえない。私ひとりになったのか?と思っていたが、

「さあ始めましょう」という声で、周りが騒ぎ始め、

その部屋には私の他に3人も居る事がわかった。

いきなり瞼をめくられ、眼の周りをグーと器具を押さえ込まれた。

突然のことと、痛さでびっくり。

「そのまま動かないで、眼は閉じて」と言われ、

どうやって閉じるの?閉じたらダメでしょうと思ったが、

後で、固定されていない方の眼を

閉じてと言われていることに気がつく。

こんなんでいいの?と眼を必死に前の赤いランプを見ていると、

助手みたいな人の、「だいじょうぶですよ、順調ですよ」という声が聞こえる。

もうその声だけが頼り。

その間、かすかに焼かれている感じがする。痛みはない。

左目も同じことをする。


終わって、レーザーを照射する部屋の前に連れていかれ、

また待たされる。

待っている間、またあの器具を取り付けられるのは嫌だなあと思っていた。

部屋の中に通され、また歯医者のイスに座らせられる。

体験者の話だと、そのころは白くて何も見えていないとのことだったが、

ぼんやりだが見えるぞ。


今度の部屋にはさっきよりも多い人数だ。

手術って感じがする。

また今度も痛み止め?を点され、また待つ。

いよいよ始まると、上瞼を引っ張られテープを張られ、

下瞼も同じことをされる。

あの器具ではなくて良かったと安心する。

「眼の前の緑のランプを真っ直ぐみて」と言われるが、

緑のランプは動いているから、真っ直ぐ見られない。

「ちゃんと見ないと失敗するからね」と驚かせられ、

どうすればいいのか不安になる。

そのうち緑のランプが真ん中に止まって、

必死にランプを見る。

「30%、50%」という声が聞こえ、早く早くと心の中で叫ぶ。

だんだん緑が細くなると、赤いランプが出てきて、

これがレーザー?と必死に堪える。

終わると、たぶんさっき作ったフラップを

眼の上に載せているだと思う。

緑のランプがぼやけたり、見えたり。

最後に眼の中を消毒されて終わり。

プールで眼を水で洗っている感じ。痛さは無かった。

が、水で洗っているのが見える。

片方の目も同じことをされ、

回復室へ連れて行かれる。

この時は既にうすぼんやり見える。


回復室のリラクレーションチェアーに座らせられ、

20分眼を閉じて休むように言われるが、

乾燥するからぜったい寝てはだめだと注意される。

さすがに興奮しているので、眠らないだろう。

次から次へと人が入ってきて、同じ説明をされている。

この人たちも今、私がした同じ経験をしたんだと思うと、

連帯感が生まれる。


20分後に数人一緒に呼ばれ、別の場所へ。

最後の検査をし、薬を渡され、説明をして解散。

これから4-5時間は寝てはだめで、

1時間毎に渡された目薬3種類を5分間隔で点眼するように言われる。

「17時30分に点眼してくださいね」と念を押される。

ちょうど16時40分。2時間で終了した。


ビルから出る時に渡された保護サングラスをして、外へ。

検査後はぼんやり二重に見えて、見えずらかったが、

今日は手術後なのに、ちゃんと見える。

17時30分の点眼の時間になったが、私は電車の中。

しょうがなく、駅に止まった時に目薬を点す。

目薬は、抗炎症剤と抗菌剤と角膜保護剤の3種類。

これを5分間隔で点眼しなければならないので、

2つ駅毎に電車が駅で止まるとサングラスを外して、目薬を点す。

周りの乗客はおかしな女と思っただろう。


手術後は、テレビも読書もパソコンもだめで、

眠ってもだめなので、一体何をすればいいのかと悩んだが、

眼を閉じているのが一番楽だ。

手術後2時間経つと、ヒリヒリとしみ始める。

目薬を点眼すると、眼が潤って痛みが消えるのだが、

また15分ぐらいすると沁みてくる。

我慢していたが、もらった痛み止めの目薬を点すと、

スッキリする。


私は夕飯を食べないのだが、飲み薬も2種類渡されたので、

途中でパンを買って、夕飯として、薬を飲んだ。

抗炎症剤と胃薬だ。

シャワーを浴び、9時30分に最後の目薬を点すと

この日はこれで就寝することにした。


あまく見ていたが、あれはやはり手術だった。

記念すべき、人生初の手術だった。