「落ちない口紅」の代名詞となった花王の口紅『リップモンスター』が大ヒットしています。


年間10万本売れたらヒットと言われるリップ市場で、シリーズ累計の出荷数は1900万本を突破しました。コロナ禍を逆手に取り、文字通り「怪物級リップ」になりました💄


落ちない口紅「リップモンスター」を目当てに、都内の大学生は友人と原宿の化粧品専門店を訪れました。「買うならマスクに色が付きにくい"リプモン"が良い」...スマートフォンを片手にインスタグラムの色評価を確認しながら色定めを楽しんでいました。

価格は、百貨店に並ぶ口紅の半額程度(1900円)です。「品薄だから余計に欲しくなる。今日は無事に買えて嬉しいです」と満面の笑顔を見せていました🤗


2020年の春、花王の若者向け化粧品KATE(ケイト)の商品開発担当者会議の席上で、ある入社3年目の女性担当者が「こういう時だからこそ、マスクを外した一瞬でも『可愛くいたい!』とみんな思っているはずなんです!」との言葉を投げ掛けました。この一言が担当者の心に火をつけました。


メンバーの間で商品化に向けて必須の機能と考えたのがマスク時代の消費者ニーズです。

マスクに色移りしない"落ちにくさ"でした。微調整のうえ完成したのが、唇から蒸発する水分を使ってジェル状の皮膚を作る独自の技術です。"落ちにくさ"だけではなく"保湿性"と"色持ちの良さ"を兼ねた、これまでにない口紅が完成しました👀‼️


機能的に優れていても伝わらなければ意味がありません。そこで想定購買層である20~30歳代に響くようにSNS に注力しました。

「怪物級の欲を叶える」から印象的な『リップモンスター』の商品名を導き出すと、色名はモンスターのいる世界をイメージして、「陽炎」「地底探検」といったユニークなものにしました。


SNSで発信力があるインフルエンサーがマスクを外し、音楽にあわせてポーズをとるたびに"リップ"を塗った唇の色が次々と変わる....15秒の動画広告は注目を集めました。

今や「落ちない口紅」のブランドは、「欲望の塊」「ラスボス」などの独特のネーミングと共にSNSをざわつかせ、マスク生活が続いた女性のメイク欲を刺激しています💥


発売から3年が経過した今でも、「リップモンスター」は限定色の再販を決める『総選挙』の実施など、消費者を引き付ける様々な取り組みを絶えず打ち続けています。その結果、百貨店を除く口紅市場のシェア(占有率)は首位を占めています。


東洋学園大の八塩圭子教授は...

「現代のブランドは機能的価値があることは大前提。その上でSNSなどでの展開も意識して徹底的に世界観を作り込み、精神的価値や感情的価値が付加されると、モンスター級のヒットになることを証明した」と指摘します指差し


マスク時代に口紅は売れない...そんな常識を疑うことから始まった怪物ブランドは、「口紅冬の時代」に新たな市場を作りだしました。『逆転からの発想』『逆境に敢然と挑む』姿勢は、時には思わぬ結果をもたらします。


国会議員や役人は、何か新しい提案や施策を示すと「前例がない」の一言で片づけ、前向きには考えずに現状維持に固執します。何事に対しても尻込みをしている光景をよく目にします。

単純に「責任逃れ」の感は拭えませんが、何事にも結果を恐れずに「挑戦する気持ち」は大切ですね!!