6月20日。


運命の、オペ当日。

開始予定時刻は、午前8時。




シャワーは前日に済ませているものの、朝から色んな準備が始まる。



髪の毛をシャンプーと、洗浄液で洗うために、ナースステーション横のシャンプースペースへ。


専用のシャンプー台らしく、うつ伏せで使用するらしいんだけれど…

少しでも俯いたら吐き気がくる私には最後の難関のような時間だった。


洗ってくれたのは、看護師の大崎くん。

すごく気を使ってくれてやりにくかったと思うのに、いつもの笑顔で髪を乾かすところまでやってくれた。



それから部屋に戻ると、女性の看護師さんに手伝ってもらいながら手術着に着替えて、足の血栓防止に圧力ソックスも履くけど、痩せ細ったふくらはぎはSサイズもぶかいくらいだった。


それから、体重測定。

今聞いてしまったら、あまりの数字に落ち込みそうで、看護師さんに

「絶対言わんとって!回復して体重が戻ってきたら、何㎏だったか教えて!」

とお願いしたら、笑いながら頷いてくれた。




そうこうしていたら、母と中の妹が来てくれた。



娘には手術する事は内緒のまま。


私の所へ行くというと着いてきそうだから、と何とか上手く誤魔化して出てきてくれたそう。




少し話していたら、ルート確保の為の点滴が始まった。



転院してから朝晩の針の抜き差しがほとんど無くなった腕は、ぼこぼこだった青紫の挿し跡は少しずつ薄れて治ってきていた。




ーーやっと、この日がきた。




手術はやっぱり直前でも、怖い。



でも、福原先生に会ってから一度も、失敗するとは少しも思ったことがなかった。

不思議と、手術は成功する、って心も体も信じ込んでいて、その心配だけはなかった。



ーー 一昨日、龍神さんも来てくれてたしね。



私の地元は漁師町で、毎年中秋の名月に合わせて、八幡宮でお祭りがある。

龍神様が護ってくれてるその土地は、そのお祭りの夜は必ず雨が降る。どんなに旧暦だとか敬老の日だとか日をずらしても、夜の花火には雨が降る。


そして、翌日の『おなばれ』は、必ずといっていいほど気持ちの良い秋晴れ。




そんな土地で生まれ育ったせいか、私も人生の節目にはよく雨が降る。

そして、必ず帰る頃終わる頃には晴れる。

だから雨は降るけど、濡れることもあんまり無い。たまに、虹まで現れてくれる。


龍神さんは、私にとっては身近な存在だった。



そして、一昨日の夜はすごい豪雨だった。

雷もどこかに落ちたみたいだった。



それが、私にとっては逆に、手術の成功を予祝してくれてるように感じた。




勿論、前日に溝口先生が説明してくれたように、サインした(正確には母が代筆してくれた)書類にもあるように、開頭してみて実際の血管腫を見て取り切れない場合もあるし、顔面麻痺や色んな障害が出る可能性も高い。




でも、顔面麻痺くらいでこの現状から救い出してもらえるんならどれだけ嬉しいか。



だから。


怖いけど、怖くない。


そんな心境。





そして、時計の針が8時を指す五分前。


看護師さんが


「行きましょうか。」


と、声をかけに来た。











龍神さま、、なんて突然のファンタジー要素にびっくりした人もいるかもしれないけれど…

私にとっては、見えないチカラや存在っていうのは(視えないけど…)身近で当たり前だったりするので、普通に書いてみました(´ー`)