俺が実際に体験した話です。
あれは確か、18か19歳くらい。運転免許取りたての俺は彼女と滋賀県までドライブに出掛けた。
途中、疲れてきたし年頃な二人はラブホテルで休憩することにした。ドライブウェイの中腹に二軒のラブホテルが隣合わせに建っていて、どちらも古そうだったけど、まだ少し綺麗な方のホテルを選んだ。確か2Fの角部屋だった。
ソファーでくつろいでいると何箇所か、おかしな点がある事に気付いた。
一つ目は俺が座っていたソファーのすぐ後ろの壁に不自然すぎる手すり?のようなものが3本ある。階段でもないのに、斜めに取り付けられている手すりもある。それも全てが30cm程度と手すりにしては短すぎるし、3本の手すりが密集してた。でもその時は何かこれを使って楽しむプレイがあるのかな?ぐらいしか思っていなかった。
二つ目はテレビ。
ソファーでくつろぎながらウェルカムドリンクを飲み、テレビの電源を入れたらニュースが流れてた。でも音声が無くて、俺はリモコンの音量+ボタンを何度か押した。反応が無くて壊れてると思った俺は本体の横側にある音量+ボタンを押した。画面上には音量22と出て、そこから押すたび上がっていったけどやっぱり音は出なかった。
もう一つのおかしな点は
なんだこのホテルは、とか思いながら俺はそのままテレビを消してテレビ台の下に設置されていたジョイフルボックス?(替えの下着やローションなどが売られている自販機のようなもの)の中身を見てた。いたって普通。でも一箇所、ありえないものが入っていて俺は鳥肌がものすごくたった。
そこには分厚めのカードが入っていて。その字を読むと 診察券 ○○病院 と書かれていた。すぐに彼女を呼んで二人でキミ悪がっていた。
怖くてしっかりと文字を読まなかったから、○○病院の○○は何て書いていたのか覚えていない。
でも結局そんな事も気にせず俺と彼女はシャワーを浴びて事を済ませた。その後二人でゆっくりと風呂に浸かっていたら、部屋の方から足音のような、太鼓を小さく叩いたような「ドンドンドン」と音が何度か聞こえた。
二人共聞こえていたけど、怖がりな俺は見に行こうともせず、気のせいだと無理やり笑ってた。
でもやっぱり気のせいなんかじゃなかった。
風呂から上がって、ソファーに置いていたズボンを履いている時俺の左耳すぐ後ろで女性のため息混じりの「ハアァァァ」という呻き声が聞こえた。声だけじゃなく、吐息も感じた。俺はその場で硬直して動けなくなった。様子がおかしいと思ったのか彼女も俺の顔を見たまま動きが止まった。そのまま何秒経ったのか、突然テレビが大音量でついた。二人はビクッ!ってなったけど、そのおかげで体も動くようになった。それからテレビも消さず慌てて自動精算機で会計を済ませて髪の毛も濡れたまま走ってホテルから出た。車に乗り込んでホテルの敷地から出る時、サイレンが近づいてきて警察車両が3台ほどすれ違いでホテルに入ったのを覚えてる。
普通なら警察が3台もサイレンを鳴らしてホテルに入っていくのを見ると、何かあったのかなって気になるけど怖い体験の方が勝って、警察の事なんか頭からすぐ離れてた。
帰りの車内でも二人とも無言だったけど彼女が口を開いた。「あのホテルで女の人が亡くなったのかな」
俺はまた鳥肌が立って、彼女にもため息混じりの声が聞こえたのか確認したけど、それは聞こえていないって。でも俺のすぐ左後ろに髪に血が付いた女の人が立っていたって言った。彼女視点ではほとんど俺の後方に女の人が立ってたから髪の毛が見えただけで顔は見てないっていってた。テレビがついてテレビの方を見た後はもう女の人は消えてたって。
人に話してたり、時間が経つとその怖い体験も少しずつ記憶が薄れて来て、あれ?これって俺の作り話だっけ?とか本当にあったよな?って自分の中で無かった事にしようとしてたけどその数ヶ月後に別の用事でその二軒のホテルの前を通ったら、俺らが行った方のホテルだけ潰れてた。やっぱりあのホテルで何かあったのかな。