興奮? の乱れ合コン その3はこちら

※今日の内容には、少し過激(いやらし系)なことが書いてあるので、そういうのが嫌な方は、読まないようにしてください。



周りのみんなが、どこか別の場所に移動し始めてる。
たぶん、カラオケに行くんだろう。

大体、カラオケってどこでやるんだろう。
何となく、普通のカラオケボックスとかには行かなそうだけど。


まぁ、とりあえず、Kさんを何とかしなきゃ。


「あっ、私、○○って言います。Kさんの後輩です」


そぼくちゃんが、自分をそうやって紹介します。
よく見ると、私と似たワンピースを着てます。
(色は違うし、Pちゃんの方が若いけど)

あわてて、私も自己紹介します。


私「Kさんって、結構、いつもこんなに酔っ払うんですか?」

Pさん「えっ、あぁ、そうですねぇ。結構、飲みますよ。いつも」

私「そうなんだぁ。仕事で会う時は、全然、感じ違いますよねぇ」

Pさん「そうですね。先輩、仕事では、ピリっとしてますもんね」


私の方が、年下だから、敬語じゃなくっていいですよ。
と、Pちゃんが言ってくれる。

何ていうか、その言い方が、
すごく人懐っこくて、いっきにPちゃんのことが好きになった。

もう、カラオケとかどうでもいいから、
Pちゃんとお茶に行きたいよ。



私とPちゃんと、ぐったりしてるKさん以外、
部屋にはもうボーイさんたちしかいない。



私「ねぇ、さっきいた女の子たちって、どんな人たち? みんな綺麗だよね。それと、何ていうか・・・ちょっと派手っていうか」

Pちゃん「キャンペーンガールの人たちが多いみたいですね。あと、雑誌のモデルさんとか」

私「モデル? モデルさんがいるの? あの中に」

Pちゃん「でも、あれですよ。(コソコソしながら)有名なモデルさんってわけじゃないですよ。知ってる人いなかったでしょ」

私「(思わずコソコソしながら)いなかったけどさ、モデルさんでしょ。すごいねぇ。だから、あんなスタイルいいんだ。でも、ちょっと派手だよね」

Pちゃん「ですよね」


Pちゃんとふたりで、クスクスと笑った。


私「もし言えないならいいんだけどね、Kさんもキャンペーンガールとかやってるの? 会社に秘密とか?」

Pちゃん「あぁ、違いますよ。Kさんは、仕事忙しくって、バイトとかする暇ないです。ただ、元彼の友達があの男の人の中にいるんです」


えっと・・・
ん? 元カレじゃなくって、元カレのトモダチ?

まぁ、逆に、元カレがいたら、あんなにはしゃげないか。

それにしても、
元カレの友達に誘われて、
やってくるっていうのも、なんだかなぁ。


Pちゃん「あ、私は何のツテもないんですよ」

私「あ、そ、そうなの? よかった。私と一緒だね」

Pちゃん「私は、はじめ、Kさんに呼んでもらって、それからって感じです」


あ、そうなんだ。
・・・ってことは、Pちゃんは、はじめてではないんだ。


ちょっとだけ、
Pちゃんのイメージが変わった。


私「ねぇ、でもさ。ちょっと、こういうノリってついていけなくない?」

Pちゃん「えっ、そうですか。私、すごく楽しいです。みんな、はじけちゃってて」


あれっ。また、イメージ変わる。

Pちゃんって、やっぱり、
私が思ってるのと違う?


ここで、Kさんが「あったま、いった~い」と言いながら、
少し上体を起こした。


Kさんに、一杯お水を飲ませて、
大丈夫かなぁとPちゃんに聞くと、


Pちゃん「絶対Kさん、これくらいじゃ帰りませんよ。一周回って、またはじけるはず」


一周回るって、なんなんだよぅ。


「よ~し、カラオケいこう」


そう言って、Kさんが部屋の出口に向かって歩き始めた。
Pちゃんは「ほらね」みたいな顔をして、
にっこり私に笑ってみせて、
私の手を引いてくれる。


この頃になると、
何となく、この後の景色も見てみたくなってきている私。

とりあえず、私自身が、
これ以上お酒を飲まなければ大丈夫だろう。

気を付けていれば、
体を触られたりもしないだろう。
常に気をつけておけば大丈夫。

それに、何となく、
Pちゃんがいることで、
不覚にも少し安心してしまった。


私「ねぇ、カラオケって、一回下まで降りるの?」

Pちゃん「あっ、このフロアにお店があるんですよ。カラオケボックスじゃないんですけどね。たぶん、そこを貸し切ってるんじゃないのかなぁ。いつもと一緒なら」


そっか。これっていつもの流れなんだ。
そして、Pちゃんも、その流れを経験してるんだ。

すでに、Kさんは、
小走りで行ってしまい、
もう、ここにはいない。

私は、Pちゃんが案内してくれるままに、
てくてくとカーペットの上を歩いた。

1分も経たないうちに、
ものすごい音が聞こえてきた。

防音とかは、ちゃんとしてるはずなんだけど、
多分、それ以上に騒ぎすぎなんだろう。


Pちゃん「あっ、ここです」


いざ、ドアを開けようとすると、
かなり緊張した。


何か変なことがあったら、
すぐ逃げ出せるかな?

とか、

心配なら、帰ればいいじゃん

とか、

色々な考えが浮かんできた。



できるだけそ~っとドアを開けようとしてる私を見て、
Pちゃんが言った。


Pちゃん「○○さんって、水商売とか、そういう系のお仕事したことないでしょ」

私「え? ないけど。どうして」

Pちゃん「ううん。な~んか、可愛いっって思って」


年下に可愛いって言われちゃった、とか思ってたら、
Pちゃんがドアを開けて、
私の手を引いた。


爆音。


思っていた以上にカラオケのボリュームが大きい。
私は、思わず耳をふさぎたくなる。

とりあえず、部屋を見渡してみる。

照明は心配していたよりは、
真っ暗ではないけど、やっぱり少し暗め。
部屋の中央に大きめのテーブル。
その周りに、小さなテーブルがいくつも囲んでいる。
椅子は、全部、小さめ。
そして、ぜ~んぶ、高級そう。

女の子たちは、私たちを入れて、
12人くらいに増えている。

男の人は15人くらい。
年配の方が2人増えてて、
ちょっと怖い。


あれっ? Kさんは?


よく見ると、Kさん、男の人にうなだれてる。
両膝をついて、上半身を前方に任せているような状態。


私「ねぇ、Kさん大丈夫かなぁ」

Pちゃん「大丈夫ですよ。いつもあんな感じです。もうすぐ、目、覚ましますよ」


適当な椅子に座って、
Pちゃんと隣合わせに座る。

Pちゃんは、私も少し飲みますねと言って、
ワインを取りに行った。

戻ってきたら、しっかり私の分も、持っていた。


Pちゃん「じゃあ、乾杯です」

私「乾杯」



チン


はじめは、心臓バクバクだったけど、
少しずつ、私も冷静になってきた。

今のところ、
みんな私たち二人には目も向けず、
4グループくらいに分かれて、
男女入り乱れてお酒を飲んでいる。


と、その時、驚きの光景がっ!


私「ねぇ、Pちゃん。Kさん見て」

Pちゃん「えっ?」

私「ほ、ほら。あれ。何か、胸触られてない?」


さっきから上体を男の人にうなだれているKさんは、
私が座っているところからは、
意識があるのかどうかわからない。

何かムニャムニャ言ってるような気もするし、
意識がないような気もする。

そして、その男の人が、
ちょっと上体をずらして、
Kさんの胸のあたりを、
さすっている(もんでいる?)気がするのだ。


私「ねぇ、あれ、やっぱり触ってない?」

Pちゃん「ん~、どうかな。ただ当たってるだけじゃないですか」

私「えっ。でも、当たってるだけでも、やばくない?」

Pちゃん「大丈夫ですよ。ここにいる人たち、半分は顔見知りだし。それに、あの人が、元カレのお友達ですよ」


あっ、そうなんだ。それなら大丈夫。

って、納得するか~~~いっ!


私「今付き合ってるわけじゃないんでしょ。あの二人」

Pちゃん「たぶん、それはないと思いますよ。私が知る限りでは」

私「何ていうか、いいのかな。あんな感じで」

Pちゃん「いいんですよ。たぶん、そういうのもコミコミで来てるんですよ」



え? そういうのコミコミって?



きゃ~っという声がして、
そっちを見ると、男の人が女の子に抱きついてキスしてる。


げっ! と私は思う。


でも、女の子は本気では嫌がっていない。
いや、正確に言うと、
たぶん、本心では嫌かもしれないけど、
顔には出してない。



Pちゃん「ねぇ、○○さん。ここで一番楽しいのって、何か分かります?」

私「えっ? 分からないけど。それより、今、あの人、女の子に抱きついてチューしたよ」



本当は、私ももう気付いてる。
ここは、私がいつもいる世界とは違う世界なんだって。

でも、一体なんなのか、
自分自身だけは、清純っぽくいたいとどこかで思っているのか、
少し、どこかで、何かを演じている自分がいる。


Pちゃん「ここにくると楽しいんです。おいしいお酒飲んで、おいしいもの食べれて、それに、み~んな、忘れられるんです。酔っ払って、あの夜景見てると。だからね、たぶん、何かされたとしても、みんなここにまた来ちゃうんだと思います」


私は、だまってそれを聞いてる。




Pちゃん「それにね、あの人たちお金くれるから」





男の人2人が近くにきて、
Pちゃんに気付く。

「あっ、地味ちゃんじゃん。来てたの? 全然気づかなかった」

どうやら、Pちゃんは地味ちゃんと呼ばれているようだ。
でも、全然、嫌そうには見えない。

1人がPちゃんの左に座って、
1人が私の右に座った。


ふたりとも、
中身が入ってないシャンパングラスを持っていた。
シャンパンの変わりに細長い紙が何十枚も入ってた。


「何ですか? それ」


私が聞くと、
さっきから、酔っ払ってしゃっくりが止まらない様子のその男の人は、


「え? これ? あー。え~っと、み~んなが好きなやつ」


と言った。


顔を近づけると、1万円札だった。



「彼女、地味ちゃんの友達?」

と、一人の男が言った。

「うん。そ~だよ。お仕事のお友達」

そう答えるPちゃんは、
さっきまで私としゃべっている口調とは違っていた。

こういう言い方は悪いけど、
媚びた感じだった。



「ねぇ、地味ちゃん。あれ歌ってよ」

と男が言った。

「え~っ。あれ~っ。古いしなぁ。今日、ウケるかなぁ」

まぁ、やってみるかと言うと、
Pちゃんはカウンターの方に行ってしまった。



しばらく待つと、
聞いたことのある前奏が流れてきた。


岩崎良美のタッチだった。


「うぉぉぉぉぉ。地味ちゃんじゃん。来てたの~?」


と他の男が集まってきた。

Pちゃんは、

「来てたよぅ。何で気付いてくれないのぅ?」

とおどけた感じで、
ボーイさんからマイクをもらうと、
部屋の中央まで歩いて行って、テーブルの上に立った。



そこで彼女は歌った。
途中の「タッチ、タッチ、ここにタッチ」のところでは、
男性陣みんなとタッチしていた。

くるくると回りながら歌うせいで、
可愛いワンピースが何度もめくれた。

そうじゃない。
わざと、見せようとしてるんだ。

だから、わざと、テーブルの上にたったんだ。



男たちは、ほとんど中央のテーブルに集まっている。

そして、競って、
スカートの中をのぞこうとしている。


歌い終わると、
Pちゃんは、スカートのすそを両手でちょこんとあげて、
みんなにあいさつみたいにした。


「地味ちゃん、それじゃ、パンツ丸見えだよ」


と、誰かが言うと、
男たちは世界で一番楽しそうに笑った。


「は~い。それじゃ~、よろしくぅ」


Pちゃんがワンピースの胸元をくいっと開けた。

そこに男たちは、好きなだけ1万円札を押し込んだ。
ほとんどの男たちは、
お札を入れながら、Pちゃんの胸をわしづかみにしてた。


「えぇ~~~。いいなぁ。私も歌う~~~っ」


と、ある女の子が言って、

また、みんな笑った。





Pちゃんがテーブルに帰ってきた。

私は何を言えばいいのか考える。

本当は、途中から、
これっぽいことが行われていると、
心のどこかでは予想していたんじゃないのか。

それなのに、
自分だけはそうじゃないんだ、
という立場で、
一体、私は何を見たかったんだろう。

そして、今、
Pちゃんに何を言えばいいんだろう。

そんなことを考えつつも、
結局、私は何も言えなかった。



1万円札を数え終わったPちゃんは、

「こういうのは、すぐに財布にしまわないとダメなんだよね」

と、独り言をつぶやきながらお金をしまうと、
私の方を見た。




「あ~~~っ、楽しかった」




Pちゃんは天使のように笑った。








(舞台背景)
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
これは、ごく最近の話ではありません。

今回の話の舞台は、ちょっと前の東京です。


(おまけ)
Kさんとは、今でもたま~に、仕事で会うことがあります。
(うちの会社にたま~にやってきます)
あれから一回だけ、また「軽い合コン」に誘われましたが、
行きませんでした。

私は不思議に思います。

結局、Kさんは私をからかいたかったのかな。
それとも、ああいうノリが好きっぽく見えるのかな、私って。
それとも、本当の本当に、Kさんはあれが合コンって思ってるのかな。

本当のところは聞いてないので、
よくわかりません。


Pちゃんとは、あれから一度も会っていません。
Kさんにも聞いてないけど、
もしかすると、まだKさんと同じ職場なのかもしれません。

でも、何となく、
今はもう辞めて、他の仕事をしてるような気がします。
いや、仕事自体、してないかもなぁ。




(おまけ2)
このことを友人B子とY美に報告しました。


B子からは、

「あんたには似合わないんだから、そういうことになったら、すぐに帰ってきなさい」

と母親のように叱られました。


Y美を、

「ああいう人たちと結婚したら、毎日美味しいもの食べれるよ」

と、からかうと、

「私は美味しい物を食べさせてくれて、なおかつ、私のことを超好き好きじゃないとダメなの。2段階方式なの」

と言っていました。

何だか、大学受験みたいだなと私は思いました。



(ちょっと思ったこと)
普通に見えるとか、普通に会社行ってるとか、
そんなんじゃ、頭の中身なんて、
これっぽちも分からないんだなぁということ。

世界が違うってあの時思ったけど、
同じ空気を吸って、同じ社会で生きてて、
どこかで関わり合ったり、
迷惑をかけあったりしてるんだろうなぁ。お互い。




あの日、あの後、
急いでその場を離れて、
エレベーターにのって、
早歩きで駅に行って、
トイレに入って、鏡を見たら、
私、ホントにひどい顔してた。

鏡の中の、私の後ろから、
Pちゃんが私のことをじっと見てる気がした。





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