ちょっと前にあった合コンの話。



その合コンは、
私の知人Kさんに誘われた合コンでした。


Kさんは、仕事で知り合った女の子なのですが、

「すっごい条件いい人が来るんで、一緒に行きましょうよ」

と、結構おせおせで誘ってくるので、
断りきれずにOKしちゃいました。

(よく女の子たちは、条件いいっていう言葉を使うんだけど、
どういう基準なんだろうなぁ。やっぱりお金とか仕事の内容とかかなぁ)



さて、当日。

私は、Kさんとは、
仕事で何度か話したくらいで、
そこまで親しくなっていたわけではないので、
ちょっと緊張気味で、
待ち合わせ場所で待っていました。


そういえば、今日、何人来るんだろうなぁと、
考えていると、


「うわぁ、早いですねぇ」


と現れたKさん。

その姿に私、びっくり。何か、ちょっとドレスちっく。



私「えっ、今日、何かのパーティとかですか?」

Kさん「そんなことないですよ。軽い合コンです」



えぇ~っ。軽い合コンで、こんなドレスちっくなのぅ。

私なんて、背伸びした大学生みたいなワンピースなのに。


頭の中で、
あたふたと慌てる私。

今までの長い合コン人生の常識が、ガラガラと音をたてて崩れていく。



「ごめ~ん。遅れちゃった~」


次に現れたのは、小バブルな女性。
ちょっと~、こんな寒い時期なのに、なぜ、その露出っ!


ねぇ、もしかして・・・私、間違えてない。来るところ・・・


その頃から、じょじょに場違い感をおぼえはじめる私。
もう、今日、帰っちゃおうかしら。



「ねぇ、Kさん。今日、何人くるの?」


と聞くと、


「え~っと、女は8人かな。男は何人になるか分からない」


え~っ! ちょっと、いつもの合コンと全然違うじゃん。
男は何人になるか分からないって、何?
乱入とかあるの?



もう、頭の中はパニック状態。


おうちに帰りたくって、帰りたくって、
足が、3歩進んで2歩下がるみたいな、
奇妙なステップを踏んでいます。


それからも、来るわ来るわ、バブリーな感じの女性たち。
私以外の7人、どう見たって、普通じゃない。

いわば、有名人の結婚式招待客レベル。


その中で、素朴女子1人。それが私。
何か私、芸能人のそばに付き添ってる、ADさんみたいになってない?


「じゃぁ、みんな乗って~。行きましょう~」


やたらテンションが高いKさんの方を見ると、
迎えの車が・・・しかも高級車っぽいし・・・


ねぇ・・・合コンの集合の基本って、電車だよね・・・

もしくは、2駅くらいだったら、
節約と健康のために、思い切って徒歩だよね・・・


しかも、何、この座席の弾力。
やわすぎず、かたすぎず、
どこまで私を熟知してんのよっ!


と、一人で車の座席に感心していると、
周りでは、キャッキャとはしゃいでいる女子たち。

何か、話に入り込めない・・・


ていうか、絶対、違う・・・この場所。

絶対、今日は、380円の鶏肉のピリ辛炒めとか出てくるお店じゃない。


うぅ、帰りたいっ。
帰って、この前セールで69円で買って食べてなかった、
とんがりコーンを食べながら、
ひとりヨガしたいっ。


そんなことを考えながら、
飼育小屋のすみに丸まっているウサギみたいに震えていると、
現場に到着。


私の目の前にそびえる白い巨塔。

・・・ここは、明らかに高層ビルだね。
間違っても、1フロアに飲み屋さんが20店舗くらい入っているいつもの合コン場所ではないね。



自動ドアをくぐると、すぐに寄ってくるボーイさん。


「荷物をお持ちしましょうか」


えぇ~~っ。いいよ、いいよ、そんなに大したもん入ってないよ。
もう、やめて、お願いだから。
ちょっと使いかけのチリ紙とか、
くしゃくしゃになったローソンのレシートとか入ってるかもしれないから。

とにかく、緊張するから、ほっといてよっ!

と、頭の中で暴れている私のそばでは、
みんなボーイさんにバッグをあずけてましたよ。


いくら女子だからって、そんな小さなバッグくらい自分で持ちなさいよっ!


とは言えず、フラフラしながらボーイさんに、

「大丈夫です。自分でもてます」

と、意味のわからない返事をしてしまう私。


自分で持てますって、当たり前だろ、そんなことっ!

と、セルフつっこみも、ちょっとお疲れモード。



ガラス張りになったエレベーターにのりこむと、
ものすごい勢いで、ぐんぐんと上に向かって登っていく。

あぁ、これは、あれだな。

死ぬ前に見るという走馬灯というやつだな。ほら、人がもうあんなに小さく見える。
思えば、色々あったなぁ。私の人生も。


ち~~~ん


到着したことを示すベルが鳴って、
現実に引き戻される。

あぁ、もうちょっと、現実逃避させてよぅ。


部屋の前には、背が高くて、
なんか雑誌に出てる人ですかって質問したくなるようなボーイさんたちが、
4人も並んで、シャンパンを配ってる。


「あぁ、私、はじめの一杯はビールって決まってるから」


って、小粋(?)なジョークも言えず、
おそるおそるシャンパングラスを受け取る私。

あぁ、どうしてお前はこんなに持つところが細いんだい。
いつもの中ジョッキは、もっとこう、ドッシリ構えているぞえ。

懲りずに妄想を続けていると、
現場到着。


現場っ!


どうして軽い合コンにシャンパンタワーがっ!


あぁ、もう、ようやく理解した。
100%、私、来るところ間違えたっ。

ここは、セレブパーティなんだ。

もう、お金持ちすぎちゃってて、
パーティなのか日常なのか、
区別がつかないみたいな人たちが、
集まる場所なんだ。

あぁあぁ、場違い。
私なんて、「水がおいしい」とか、
そういう当たり障りの特色しかない田舎で育ってきた女なのにぃ。


緊張を緩和するために、
シャンパンをぐいっと飲む。


あぁ、おいし。


いつものビールとは、また、違ったおいしさだよ。
でも、私はやっぱりビールの方が落ち着くよぅぅぅ。






 その2へつづく・・・


(その2概要)
セレブパーティと思っていた華やかでスタイリッシュなイメージとは、
な~んか違う方向へ向かっていく会場。

はたして、乱れ合コンとは、一体、何のことなのかっ!

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