分化の系を用いて変化した分子before/after解析(なのか本当に?) | 30台からの基礎研究

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30代から基礎研究を始めた研究者ブログです。研究に関わる様々なことを発信しようと思っています。

Keckesova, Z., Donaher, J. L., De Cock, J., Freinkman, E., Lingrell, S., Bachovchin, D. A., et al. (2017). LACTB is a tumour suppressor that modulates lipid metabolism and cell state. Nature, 543(7647), 681–686. http://doi.org/10.1038/nature21408

 

(導入):(今回の見出し?的にはかなり押してるアイディア)

未分化で増殖能をもつ細胞:解糖系を用いる&癌化する

最終分化で増殖能が乏しい細胞:OXPHOSを用いる。

→筋細胞の分化の系を用いてbefore/afterで比較して出てきた分子を解析。

ガン抑制因子としてのLACTB(イントロとしてLACTBのphenotype(癌抑制)を記す。)

Fig.1:LACTBが乳がん細胞において抑制されてるのを確認

Fig.2:Tet-OnでLACTBをo/e行い、増殖抑制効果を確認

(Ex Fig.1-4)

 

LACTBに関する具体的な分子機構(EMTや代謝への関与など具体的なactionを)

Fig.3:(Rbのように)LACTBの欠失は悪性度の高い細胞にEMTを誘導する。(EMT≒未分化?)

Fig.4:LACTBはリゾ型リン脂質(LPEs)を減らす。(以下脂質代謝を抑えるメカニズム)

Fig.5:LACTBはPISDを下げPS→PEの代謝を減らす。

 

(Ex Fig.5-10)

 

[コメント]

新しい癌抑制因子の発見という意味ではやはりNatureなのか。かなりスピリチュアルな(最終分化した細胞が癌抑制因子を持っている)仮説を呈しているが実際は筋繊維が馬低結成で分化するという系のbefore/afterで比較してでてきた分子の解析。しかし、TOP5分子を解析したと記されているが本当なのか....実際にこの分子の全てのshを作ってphenotypeを観察するにしてもギャンブル的要素が強い。そのぐらい気違いじみた手順を繰り返しているのだろうか.....

 

全体の流れは非常にわかりやすい。大局→細部という風に、

1.臨床検体でのLACTB

2.実際に細胞にo/eした時のfunctionを確認、

3.お得意のEMTのmarker expressionを確認

4.代謝への影響

5.実際にinteractionがある分子(酵素)

という流れは美しい。