今回は、雨生山石を御紹介します。

 

 今から22年前の平成14年(2002年)5月に愛知県新城市山吉田の黄柳川で揚げたものです。この頃は、まだ現役で忙しものにものにも関わらず、月に1回程度は黄柳川に通っていて、やたらと石を持ち帰っていました。

 

 ほとんどの石は、どこでで見付けたのか覚えていないのに、この石は妙によく覚えていて、川原に横たわっって持ち上げたことをはっきり覚えています。といっても多少良い石といった程度で、現在でも同じ印象です。

 

 ところが、我が家に遊びに来る人は、この石を褒めてくれる人が多いので、派手さはないもののどこか惹かれるものがあるのでしょう。 

                      (巾27 巾16cm)

 

 伸びやかな丘と谷が左右に広がり、ゆったりした印象です。その中で前面に入込みの変化が、景を引き締めています。ただ、右側前面に全体の伸びやかなトーンを壊すように、斜めに切り込込んだ溝があるのが、大きな欠点になっています。鑑賞するときはいつも、これがなければ良いのになあと思っています。

 

 色、質は蛇紋岩の深い緑色で叩けば金属音がします。表面には白っぽい茶色に覆われていますが、これは黄柳川の石の特徴で土が付着して、金ブラシでもなかなか落ちません。川から揚げた頃は、もっと白っぽくかったのですが、持ち込みの間に濃くなってきました。