撮影日   2025.1.29

撮影場所  近江鉄道本線 彦根駅付近

      ※立ち入り可能場所から撮影

 

前回に続き昨年1月に乗車した近江鉄道の記事です。

近江鉄道に乗るのは5年振りでしたが、徐々に車両の代替が進んで

いました。今回は車庫が有る彦根駅で撮影した写真を紹介します。

かつて彦根の車庫には廃車やら休車やら改造待ちの車両やらが

潜み、超古典電気機関車やレールバス等もいて恐ろしい「魔境」

でした。今では大分整理されましたが、それでもまだまだ面白い

車両がいます。

尚こちらの記事でも以前様子を紹介しています。

近江鉄道2014(220形等) | 303-101のブログ(2019.1.24)

2019.12 関西旅行(近江鉄道見たまま) | 303-101のブログ(2021.2.11)

 

(一枚目)

まずは彦根駅で撮影した彦根止まりの800系807編成、クモハ

1807です。

元を辿ると西武鉄道の2代目411系として登場したもので、701・

801系増結用として1964年から1968年までに2連19本が西武

所沢工場で製造されました。当時の西武標準の20m級3ドア全

金属車体の通勤車ですが、前面は451系同様の切妻となりました。

又カルダン駆動の701系列と違い、国鉄から譲り受けた機器を

流用した吊り掛け駆動車でした。台車も当初は旧来のイコライザー

式台車を流用していました。ブレーキも自動空気ブレーキでしたが、

当時は701系等も自動空気ブレーキで旧型国電に近い仕様でした。

その後1971年から動台車は新製の空気バネ式FS-40となり、更に

前照灯シールドビーム化などが行われています。

 

その後701系・801系に冷房化と電磁直通ブレーキ化が行われ、

本形式もそれに合わせ高性能化・冷房化が行われました。

その際に台車は新製の空気バネ台車・FS-372に換装されましたが、

ブレーキは701・801系同様発電ブレーキは省略されました。

その後も長く活躍しましたが新形式導入により1997年までに引退、

近江鉄道および上信電鉄・三岐鉄道に移籍しました。

部品取り車も合わせて全て移籍しており、使い勝手の良い形式

でした。

(二枚目)

クモハ1807の側面です。

側窓は2段窓で隅にRが付いた当時の西武標準仕様です。

戸袋窓は黒Hゴム支持となっています。

クーラーは西武標準の集中クーラーで、103系風のグローブ式

通風器も西武の一時の標準でした。気が付けばJRのグロベン

装備車もいなくなり、かなり貴重なものとなりました。

ドアはステンレス無塗装で、2019年に側窓が金属押さえ仕様に

交換されています。他の編成も西武時代同様ステンレス無塗装

でしたが、現在はこの編成だけです。

 

近江鉄道には1991年から1997年まで移籍が続き、前面改造を

行った主力の800形が11本、前面改造を省略した820形が2本、

大規模改造を行いクロスシートとなった700形が1本竣工

しました。(他に未竣工1本分)

各形式共通でブレーキを電気指令式に交換し、ワンマン改造を

行いデッドマン装置を設置しました。

尚彦根工場で改造を行った結果、最終編成の竣工は2009年となり

10年以上かかっています。

多くの車両は近江鉄道らしく旧型車の名義を引継いでおり、その

繰り返しの結果名義上は明治時代の車両のものまで存在します。

(三枚目)

こちらはモハ807です。

800形は前面を220形風の額縁スタイルに変更し、前照灯も角型

になりました。一方220形と違い非貫通です。

行先表示器は後年820・700形同様LEDに改造されています。

尚入線時に連結面側のパンタグラフは撤去されています。

 

種車となった西武411系は製造時期によって形態が違い、この

編成は1964年製の初期車が種車で屋根の位置は低く、側面雨樋

縦管は露出しています。

この編成から入線時に車椅子スペースと転落防止幌が設置され

る様になりました。

又イベント対応編成となっています。

塗色は近年300形同様水色一色になりました。

座席は座面と背面の間にスペーサーが有るタイプで、水色の

モケットに交換されています。

(四枚目)

こちらは811編成モハ811で、1964年製の初期型ですが竣工

は最後の2009年と遅く、車椅子スペース付きです。

この編成は「おーいお茶」のラッピング車となっています。

800形は801編成だけは「ライオンズカラー」で登場しました

が、それ以外は黄色一色で導入されています。

但し後年殆どの編成が広告ラッピングされ、807編成の様に

塗色変更された車両もいる為黄色の編成は少数派になって

しまいました。

但し最近登場した新2000系改造の200形では黄色一色が復活

しています(西武時代のままですが…)。

(五枚目)

モハ807の側面です。ドア間は4枚窓が並び、国鉄の通勤

電車とも違う独自の仕様です。

 

足回りについては駆動装置は中空軸平行カルダン駆動となって

おり、近江初の高性能車となりました。モーター出力は120kw

となっており、全電動車方式です。

尚801編成だけは1M方式に改造されモハ801+クハ1801と

いう編成でしたが、1999年の営業開始(竣工は1993年だが

使用開始が遅延)の際に全電動車編成に復帰しました。

制御方式は抵抗制御で、台車は西武標準の空気バネ式FS372で

現在近江でも標準となりました。

ブレーキは上述の様に電気指令式空気ブレーキですが、近江

では吊り掛け車時代から電気指令式ブレーキへの改造を

実施していました。

(六枚目)

この編成からはドアが車体色に塗られる様になりました。

車内側はステンレス無塗装となっています。

窓ガラスは黒Hゴム支持となっており、黄色のテープがドア

端に貼られています。

戸袋窓の丸さが分かります。

(七枚目)

相方モハ1811です。こちらは「おーいお茶 濃い味」風の

濃い緑のラッピングとなっています。

転落防止幌も導入時から設置されています。

 

西武401系の譲渡車の内、上信移籍車は引退し三岐移籍車も

JR東海211系導入で引退が間近となっています。

近江でも長くは無いでしょう。

(八枚目)

モハ1811の座席も水色で、座面と背面の間にスペーサーが

入ったものになっています。

座席仕切はパイプ式の簡易なものです。

壁は薄いピンク系で床は灰色です。

連結面は広幅となっています。

(九枚目)

モハ1811の運転台後部です。運賃箱が設置されており、

運賃表示器は液晶式に交換されています。

この部分の荷棚も撤去されています。

助士側背面は車椅子スペースとなっています。

仕切り扉はステンレス無塗装で、仕切り窓は前回紹介の

900形と違い大窓で2段窓です。

(十枚目)

最後にこの800系列の特徴、連結面の切り欠けです。

車両限界に接触する為の改造ですが、設備改修実施で900形

以降は行われなくなりました。

(十一枚目)

ここからはいよいよ彦根車庫の紹介です。

残念ながらかなり暗くなってしまい、この様な写真しか撮影

出来ませんでした(フラッシュ不使用)。

乗車して来た900形と左にいるのは100形のツーショットです。

いずれも元は同じ形式ですが、色が変わった他ブレーキも

変わり、併結出来なくなりました。もっとも最長2両なので

併結運用は有りませんが。

(十二・十三枚目)

この編成は運転台後部に小窓が有る為、元から2連だった

新101系由来の101~103編成で、且つ101編成と広告の内容が

違う為102又は103編成です。

水色に白い帯が100形の標準塗色で、今後この色が標準になる

かと思いきや300形や800形の一部では帯無しの水色一色と

なりました。

(十四枚目)

大分暗い写真ですが、黄色一色の800形です。

恐らく809編成で現在唯一の黄色一色編成ですが、ドアは

塗装されています。

1967年以降の後期型が種車の為側面雨樋は埋め込まれ、

屋根は801系同様張上げ屋根になっています。

このタイプは7本製造され、全て近江に移籍しています。

(十五枚目)

大分暗いですが、庫内にいる赤い車体の編成は「土山

サービスエリア」ラッピングでHM付きの804編成でしょう

1966年以降製造の雨樋埋め込まれた中期型で、これも近江

だけにしか移籍していません。

長く近江の主役として活躍した800系も廃車が始まり、既に

700・820形と801・803編成は引退しています。

今後は西武2000系の導入が進むと思われ、本形式の活躍も

そう長くは無いでしょう。

(十六枚目)

そして動く姿は見られなかったですが、撮影時最新だった

300形です。パンタが無いので1300形で、301or302編成の

いずれかです。

本形式は西武3000系が種車です。1983年から1987年にかけ

8連9本が東急車輛と西武所沢工場で製造されました。

当時新宿線系統では4ドアでチョッパ制御の2000系が導入

されていましたが、池袋線系統は3ドアで抵抗制御の101・301

系が最新でした。同線向けのチョッパ制御車として導入され

ましたが、他形式に合わせ3ドアとした為301系の車体+2000

系の足回りとなりました。

但し側窓は2連窓となっており301系とは異なる他、ブレーキは

電気指令式で回生ブレーキも装備しており101系や301系等と

併結は出来ませんでした。

 

その後池袋線系統でも新2000系の導入が始まり、結果として

西武最後の3ドア通勤車となりました。

後年一部は新宿線系統で活躍し、更に国分寺線用に6連に短縮

された形式もいましたが2013年から2014年にかけ引退しました。

同時期製造の2000系や101系が今でも残っているのに対し、

中途半端な役割で少数派だった為か置換は早かったです。

(十七枚目)

こちらは相方モハ300形です。パンタグラフを装備します。

近江へは2020年に2本が移籍しており、制御車の運転台を

中間電動車に移設しています。

足回りは変更されておらず、本形式は近江初の界磁チョッパ

制御車且つ初の省エネ車です。

2020年代では既にVVVF車の地方私鉄への移籍も増えてきて

おり、チョッパ制御車のまま竣工するのは少し意外でした。

その後に2000系列もチョッパ制御のままで移籍しており、

近江鉄道がチョッパ制御王国になる可能性も有ります。

塗色は100形と違い水色一色です。

(十八枚目)

モハ300形の前面です。100形の内運転台設置改造車と同様、

運転台を移設した為後部の窓は有りません。

見えにくいですが違い前面左右の窓は黒塗りで一体となって

おり、中央の鼻筋が通った100・900形とは違います。

入線時に行先表示器は近江初の白色LEDに交換され、車内

更新も行われやはり初物の車内案内表示器も設置されました。

 

近江では6連2本分が入りましたが、結局車両として竣工した

のは4両分だけでした。部品取り目的も有ったのでしょうが

勿体なく感じます。

今後西武に残った新101系も廃車になる筈ですが流石に移籍は

無いと思われ、近江でも最後の3ドア車となるかもしれません。

機器類は100・900形や200形と共通のものが多い為、当分

活躍出来そうです。

 

次回に続きます。

 

参考文献   鉄道ピクトリアル 2002.4 No.716

       【特集】西武鉄道

 

       鉄道ファン No.754  2024.2

 

参考HP    ウイキペディア 関連ページ