撮影日    2021.5.9(5枚目は2022.3.2、6・7枚目2021.7.25)

撮影場所  各写真に記載

 

昨年阿蘇方面へ旅行した時に撮影した熊本市電8500型です。

 

(一枚目)

・河原町電停に到着したA系統 健軍町行き8504号車です。

 

8500型は8200型に続いて1985年に4両が製造された全金属製2軸

ボギー車で、同系に続いて西暦の下2桁を形式に取り入れています。

車体は8200型と同型で屋根にステンレス鋼板を採用していますが、

一部の点で変更されています。

本系列では連結器は廃止され、前ドアだけ引戸となりました。

旧型車は前中引戸なのでそれに近くなりましたが、8800型から再び

全ての扉が折戸になりました。前面窓脇の小窓は運転台から見て

右手は開閉可能になり、写真でも開いています。

パンタグラフは同じく新型Zパンタで、クーラーは直流駆動から

補助電源(SIV)使用に切り替えられ屋根上にSIVが搭載されています。

尚クーラーは換装されている様です。

製造は8200型と違って路面電車では一般的なアルナ工機です。

前身のナニワ工機時代の採用は無さそうですが、8800・9200型も

同社の製造となりました。

 

本系列の最大の特徴は旧型車からの機器流用という点で、

1200型4両から流用しています。この種車には日本初の冷房付き

路面電車となった車両も含まれており、いずれも冷房改造後数年で

車体更新されました。

よって種車と同じく直接制御で吊り掛け駆動、ブレーキもSM3直通

ブレーキのままです。

機器流用の「軽快電車」風新車は各地に存在し、九州では長崎

電軌や鹿児島市電、筑豊電鉄に大量に在籍しますが熊本では

結局本系列だけでした。

現在も主役として活躍しています。

(二枚目)

8500型は以前も紹介しましたが、昨年2月に行先表示器のフルカラーLED

改造と共に車内の座席撤去が行われました(2021.4.12)。

LED化された熊本市電8500型 | 303-101のブログ (ameblo.jp)

 

元々8200型と同じく中ドア中心にロングシートと1人掛け転換クロスシートの

千鳥配置で、8200型と違って自動転換可能になっていました。

しかし昨年クロスシート部分が撤去され、その部分は座席が無くなり、

大幅に座席が減ってしまいました。

 

尚側面は8200形と違って中ドア前の窓は車掌台ではなく通常の

2段窓になりました。その下の腰部には方向幕が設置されており、

こちらは使用停止されて中ドア後部設置のサボが使用されて

いましたが、LED改造で使用再開しました。但しサボも継続して

使用されています。

(三枚目)

中ドア前の窓の内側には「座席が少ない車両です」と貼り紙が…。

4割程座席数が減ったので詰め込みが効きはしますが…。

いずれロングシートを設置して欲しいですが…。

 

尚近年JR九州でも詰め込み対策で813系のドア脇座席撤去や817系の

簡易?ロングシート改造が行われています。

九州では座席撤去の波が起きているのでしょうか?

(四枚目)

足回りは流用品で、コイルバネ式の住友FS-74又は近車KD-201で、

両者は同型です。

モーターは東洋電機SS-50(38kw)×2基です。

この8504号のみKD-201で、台車に刻印が見えます。

(五枚目)

今年3月に上熊本電停で撮影したら標準色に戻っていました。

爽やかでシンプルなデザインです。

(六枚目)

・こちらは同僚の8501号です。

上熊本車庫で上半身だけの撮影ですが、やはり座席撤去・LED改造されました。

(七枚目)

・こちらも証拠程度の写真ですが、熊本駅前電停撮影の8502号です。

こちらも座席撤去・LED改造されました。

残る8503号についても改造済みで、オリジナル車は消滅しました。

 

熊本市電唯一の機器流用車8500型ですが、近年更新されたので今後も

活躍が見られそうです。恐らく旧型車亡き後も最後の吊り掛け駆動車と

して活躍が続くと思われます。

あとは戦時中の座席撤去車の様な事態が早く収まって欲しいのですが…。

 

以上です。

 

 

参考文献 鉄道ピクトリアル NO.688 2000.7 臨時増刊号 【特集】路面電車~LRT

 

参考HP ウイキペディア 関連ページ