撮影日   2019.10.17(3・4枚目は2019.1.3)

撮影場所 熊本市交通局水前寺線 交通局前電停(3・4枚目は熊本駅前電停)

 

古参車ながら現在も主力的な存在の熊本市電1350形です。

(一枚目)

・交通局の車庫に回送で入庫しようとしている1354号です。

電車の前に入庫線が有り、道路には職員さんが立って車への案内を行っています。

広告ラッピング車となっています。

 

1350形は1960年に6両が製造された半鋼製低床式2軸ボギー車で、熊本市電

タイプの旧型車では最後の製造です。全車東洋工機製です。

熊本国体開催に対しての輸送力増強目的で製造されました。

車体や寸法は前形式の200形(→1200形)と同じで、12m級前中引戸で側面窓も

「バス窓」でノーシルノーヘッダーのスマートなスタイルです。

但し中ドア後部の車掌台部分の形状が違っています。

前面窓も200形と同じく3枚窓で中央窓の幅は広くなっており、中央窓は窓の下部が

可動式となっていました。前面両脇の窓はアルミサッシで上下段とも可動式です。

屋根が浅い張り上げ屋根の独特なスタイルも引き継がれました。

 

足回りも当時の標準の直接制御に吊り掛け駆動で、モーターは東洋電機SS-50(38

kw)×2基で200形と同じです。台車も同じくコイルバネ式の新型台車で、351~353は

近車KD-201、354~356は住友FS-74です。

※参考文献では全車KD-201となっています。

照明も200形と同じく当初から蛍光灯です。

 

特徴的なのは車番で、製造年の1960年(=昭和35年)に因んで350形となりました。

これ以降同局の車両は年号に因んだ附番となり、380・390・400形(いずれも元大阪市電、

尚ワンマン対応の1000形は例外)、及び5000形(元熊本市電)が和暦、軽快電車及び超

低床車の8200・8500・8800・9200・9700・0800形が西暦に拠っています。

本形式以降新製車は1982年製の8200形迄22年間製造されませんでした。

 

1966年から1967年にかけ全車ワンマン化され、その際に+1000となり1350形となりました。

同時に尾灯がバス用の物になり、前面や出入口脇にワンマンの表示灯が設置されました。

集電装置は当初菱形パンタでしたが、ワンマン化の際にZパンタ化されています。

熊本市電は日本で初めて路面電車の冷房化に着手しており、本形式も1978年から1979年に

冷房化され、集中式冷房が搭載され暖房も設置されました。

 

塗色は何度か変わり特別色が採用された事も有りますが、90年代以降は白に緑帯が標準と

なっています。広告ラッピングを行った車両も多いです。

2010年にはドライブレコーダー設置、2011年には方向幕の更新、2012年からリフレッシュ

工事が行われ2014年にICカードリーダー設置も行われています。

製造から既に61年が経ち、還暦を過ぎましたがまだまだ6両全車が現役です。

(二枚目)

・入庫線を通過中の1354号です。

日中の入庫シーンは余り見られない光景です。

尚交通局前の電停は電車の奥、熊本駅前方面に存在しており、車庫から健軍町方面に営業車で

出庫する場合は電停に停められない為、交通局の建物脇で客扱いを行っていました。現在は

どうでしょうか。

 

この車両の前面は中央窓はHゴム固定窓に改造されています。両脇の窓は向かって左側は

オリジナルのアルミサッシ2段窓、右側は上段がHゴム固定窓になっています。

熊本市電の旧型車は前面窓の形状が多彩ですが、1350形は特にバラバラです。

(三枚目)

・こちらは熊本駅前を発車する、A系統田崎橋行きの1356号車です。

こちらもラッピング車となっています。

 

この1356号車は少数派の前面窓が全固定窓のスタイルです。

通風が良く無さそうな気がしますが。

1350形は戸袋窓が1200形と同じく1枚固定窓ですが、中ドア後部の旧車掌台部の窓がHゴム

2段固定式なのが相違点です。

(四枚目)

・オマケで1090形1096号です。

 

こちらも前面窓が全固定窓になっていますが、中央窓が少し小さくウインドシルが有り、

中ドア後部の旧車掌台部の窓形状が違っているのが分かります。

 

本形式も6両全車が健在で、1060形から1350形まで22両いる旧型ボギー車の3割

近くを占めています。旧型車グループの最終形式として今後も頑張りそうです。

 

以上です。

 

参考文献 鉄道ピクトリアル NO.688 2000.7 臨時増刊号 【特集】路面電車~LRT

 

参考HP ウイキペディア 関連ページ