300字で切り取る世間
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排便

排便












排便 / \0

 大を排便するときの快感は独特である。性的快感とは違って、嗜癖的な香りのしない爽やかな快感だ。夏目漱石もあるエッセイの中で「排便ってキモチイー」みたいなことを真面目に語っているくらいである。

 排便の旨みを存分に味わうために必要なもの、それはガマンだ。私など、家の中であればもよおしてから30分はガマンする。溜め込んだ末の放出は、神とリンクするかのごとき感覚を体験できる。

 何事においてもガマンって生活におけるアクセントになる。粗食した後のごちそう、節約した後の散財。どれも解放的で気持ち良い。少し視点をずらすと、日常に隠されている気持ち良さ、楽しさが結構見えてくるものです。

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マックスコーヒー


マックスコーヒー










マックスコーヒー / \120

 僕の目覚ましコーヒー、別名「マッコ」。食品の裏面に記載されている「原材料名」、これは「使用量が多い順に記載されている」ことをご存知だろうか。マッコの原材料、先頭は加糖練乳、二番目は砂糖、三番目にようやくコーヒーが出てくる。

 つまり、甘い。信じられないほど甘いコーヒーである。それと知らずに購入した者は、その甘さに驚嘆せずにはおられぬはず。だが、その過剰な甘さこそがマックスコーヒーのレゾンデートゥル・・・

 こいつをよく利用するのは、早朝勤務の際だ。まだ日も昇らず、身体も頭も起きていない。そこにマッコを注入すると血糖値がガーッと上がって一気に覚める。二本も飲んだら、鼻血確実。ロックなコーヒーである。

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ラーメン二郎


二郎









ラーメン二郎小岩店 大豚ダブル / \850

 昨夜、深夜バイトをした。8時間の頭脳労働の後の12時間の肉体労働。正直こたえたが、おかげでまとまった現金を手にすることができた。

 家に帰って眠り、夕方、二郎に繰り出した。言わずもがなの最強ラーメンチェーン。二郎には、B級グルメの魅力がアホほど凝縮されている。大量の麺をかっ食らう充足感。スープと共にゴロゴロの背脂をすする喜び。ニンニクの刺激が疲れた身体に染み渡る。

 汗水たらして働いて、その金でうまいものをたらふく食って、たっぷり眠る。シンプル、だけど、たまらん、って感じです。生きるよろこびは、案外、身近に転がっているんです。


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中学受験


受験











受験 / 1,000,000 (参考:大学受験浪人時に大手予備校に通った場合の概算)

 中学受験は小4から始めるのがスタンダードである。という新聞記事を読んだ。難関校合格の先にあるのは、輝かしい未来か。

 数年前、僕は浪人生だった。受験に成功し、都内の一流といわれる大学に入学した。そして今思う。「本当にそこでしか得られなかったもの」はあっただろうか。答えはYESでもありNOでもある。

 幸福は極めて主観的なものだと思う。だから、学ぶ気持ちと気持ち良いコトに素直な気持ちがあれば、場所は多分どこでも同じだ。受験勉強が本人にとって気持ち良いコトなら、幸せではあろう。事実、勉強はやれば成果が出るので楽しい。が、もとより選択肢が他に無い環境にあるのなら、井の中の蛙でしかありえないという意味で、不幸だ。

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ラッキーストライク


ラッキーストライク


ラッキーストライク / BAT \320


 ラッキーの良いとこは、2分で燃え尽きてしまうところである。普通のタバコの半分。そのくせ一説では発ガン率No.1銘柄だという。刹那的な野郎である。

 シロップを焦がしたようなカラメル風味と、熟成煙草の旨みが混じったこの味は魅力的だ。しかし、やはりこの煙草は何より伊達で吸う煙草である。そして、それでいいのだ。古典的なロゴ、やや雑な葉の詰め、燃え尽きの早さ、メジャー臭のなさ、歴史の古さ、そして「ラッキーストライク」という響き。

 ラッキーはアメリカの労働者の退屈な日常をやりきるためのパートナーだった。その歴史に耐えてきた事実が、この銘柄にある種の風格を与えている。明日も、僕はこいつと共に日常を生きてゆく。


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