緊急事態宣言から一週間が過ぎました。
今日の能のことばは「巻絹」より
「神は人の敬ふ(うやまう)によって威(い)を増し
人は神の加護に寄れり」
神と人との関係をよく表した一文です。
人は神の加護の下に頼るということは道理と思いますが、
神が人の崇敬によってその力を増すというのは面白い一節なんじゃないかなと思います。
正月以来、YouTubeやZoomをつかったオンラインワークショップの中で、神を主人公にした演目をずっと取り扱っています。
能という芸能は室町時代、寺社仏閣と密接に絡みながら、出来ました。
その出発点が、神や仏にお見せする芸能としてはじまり、
後から人に見せる芸能として発展していきました。
なので、神と人に見せる芸能の中間点が能楽の特徴だと思います。
歌舞伎などは出発点から人に見せる芸能でした。
神能が能の一分野を占めているのはそうした事情によるものと思っています。
そうした神様の演目は、天下泰平・国土安穏、五穀豊穣を予祝するような内容になっています。
ただ、ドラマチックな能ではないので、
現代人にとっては面白い部分は少ないのではないかというのが正直な印象です。
しかし、室町時代の平均寿命は33歳だったと言われており、
本当に明日がわからない時代、天下泰平や五穀豊穣は切なる願いだったと思います。
室町時代とは比べられないかもしれませんが、
東日本大震災の時も思いましたが、コロナ禍になって、
再び神能の意義は増していると思います。
そこで、私は神能にこだわって、オンライン配信をさせていただいています。
一刻も早いコロナ終息を願うばかりです。