あらすじ

会社勤めの男性が元カノにしつこくつきまとわれていて、会社まで訪ねてきていたが、それを受付の無愛想なおばさん(水無月)が追い返してくれた。そのお礼に、食事に誘う男性。

会話をしていると、水無月さんが昔の自分の恋愛経験を話し始める。

 

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結婚していた夫と離婚し、もう二度と誰かに執着しないことを心に決める。ある日、パートとして働く弁当屋に昔からファンであった、作家の創路功二郎が来て、水無月を口説こうとする。

一度目は迷いながらも、誘いに乗らなかったが、二度目にはここをが動いてしまう。

 

創路の家は水無月の家から近く、歩いて探し当て、裏庭から覗いているのを創路に見つかる。怒られるのかと思いきや、創路は自分の会社で働くように強引に誘う。高額な報酬につられ、事務所を訪ねる。そこで、高身長できれいめな美人の陽子高校生モデルの千花と知り合う。二人とも創路と性的関係を持っていることを知る。

 

三人で話していると、創路が事務所に訪れ、あるマンションに車で送るように指示される。そこにつき、待機していると、創路の元嫁の美代子にいきなり暴力を振られるが、水無月はかわし、脅し文句を告げて、撃退する。

 

創路の言われるとおりに行動する日々を過ごし、たまに創路に抱かれ、他の女性に嫉妬しないよう、一人で創路を独占しないように意識しつつ、創路に心を奪われる。

 

ある日、いつも通り創路を送り迎えしていると、スーパーで嫁を乗せるように言われる。

今の嫁は野薔薇という名前で、名前に負けないくらいお嬢様だった。少女のような顔だが、創路の愛人を常に威嚇していた。しかし、野薔薇も創路に相手にされないことがあり、寂しさを紛らわすために、水無月を近くにおいておくようになる。

 

陽子は事務所に新しく入ってきた男性とつきあい、千花はモデルの仕事で成功し始め、美代子は仕事先の常連さんと結婚する。

 

しかし、創路の娘の奈々が海外から帰国し、娘にデレデレな創路を見て、いらいらする。奈々は水無月に好意を持ち信用するが、水無月はそれを利用しようとする。野薔薇は創路のにデレ具合にあきれ、実家に帰る。創路は水無月に飽き、水無月にあまり近づかないようになっていた。それを奈々のせいだと考え、奈々を自宅のトイレに監禁する。

 

創路に久しぶりに連絡すると、夕食に誘われる。場所に行ってみると、美代子と一緒に座っていた。二人の会話を聞きながら、昔のことを考える。夫が浮気していた女に毎日嫌がらせをし、拘置所に2年入っていたこと。水無月は創路たちに、奈々を監禁していることを伝え、その場を離れる

 

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水無月は新人男性社員井口にそんな話をしていると、彼のケータイに元カノから連絡が入る。二人が店を出ると、水無月をオープンカーが迎える。創路とは今でも1年に1回ほどあっている。

 

 

 

 

感想

・創路に執着していた4人の女性(美代子、千花、陽子、野薔薇)は創路の元から離れ、水無月のみが固執した。最後まで水無月の心には誰にも頼らないという決意はあったが、創路を求め続けた。水無月は恋した相手を自分のものにすべく、犯罪にまで手を出すほどに狂ってしまう。恋は人を変える。

自分も、好きになった人のために自分磨きを必死でやっていたことがある。毎日その人のことを考え、その人と一緒にいるだけで幸せだったが、自分のやってきたことは一方通行で、相手の気持ちを考えていなかったのだと思う。自分は恋愛経験が乏しいために、上手なつきあい方を知らない。創路さんのように特殊な人ではないが、水無月さんが相手に執着する気持ちがわかるような気がした。恋しているときは必死で重くならないように気をつけていたが、読んでいるとこんなことをしていたような気がする。と思う箇所がいくつかあった。自分も気づかないうちにこんな風な心情になっていたんだと思い出した。

 

・小野小町の俳句をちょっといじって

 

の色は うつりにけりな いたずらに

      わがみよにふる ながめせしまに

 

人の心の移り変わりの早さを表現したくて、ふと思い出したのが小野小町さんの俳句でしたが、僕が思っていた意味と違いました。まあいいや。