あらすじ、、、

 

簡潔ver.

東京で高級マンションに夫と住む、佐々木蒼子

愛人と旅行中に偶然、自分のドッペルゲンガー?である河見蒼子に出会う

はじめは、性格も趣味も同じで、親友のような関係を楽しんでいたが、

ある日、どちらが本物かを確かめ、二人の関係がゆがんでしまう。

殺すことを考えるほど憎み合うが、最後にはお互いを許し合い

別々に違う生活を送るようになった。

 

詳細ver.

東京で夫と同棲中の佐々木蒼子。しかし夫は浮気をしていて、それを知りながら、

蒼子は見て見ぬふりをする代わりに、自由で裕福な生活を楽しんでいた。

蒼子も愛人を持つが、相手からの愛情を煙たく想うようになる。

別れを切り出すも未練がましく、旅行に誘われる。最後だからとついて行くが、

さらに冷めていく。東京行きの飛行機が天候の乱れで、福岡に着陸する。

 

ーーー 過去の回想 ーーー

 

そこは以前に結婚を考えた元恋人河見が住んでいた。河見とは、仕事の同僚に

連れて行ってもらった料理店で板前をしている時に出会った。最初は、黙々と

仕事をこなす、大柄の男という印象だったが、何度か通っているうちに、

河見の好意でサービスを受け、打ち解けていった。

そして、そこの店長が二人の関係をよく思い、デートなどに行かせられ、

交際をスタート。打ち解けてみると、河見は、甘えたがりだったり、饒舌になったりして、

かわいいと思えるところがあった。

 

しかし、交際一ヶ月後、会社の上司に無理矢理、佐々木を紹介された。

佐々木は蒼子の理想の男性像に当てはまっていて、スマートで仕事もできるが、

遊ぶときは思い切りはしゃげる人柄をしていた。

佐々木も蒼子を気に入ったようで、蒼子は二股をしてしまう。

 

ある日、どちらかを決める決断を強いられる。河見の親が体調を崩し、

看病しなくてはならず、福岡に一緒に来てくれないか と結婚を申し込まれる

蒼子は人生で一番悩む。河見は今までつきあってきて、いいところもあり、

自分だけを愛してくれている。しかし、佐々木は自分の今までの人生で、

ここまで理想に近い人は会ったことがないが、自分と結婚するつもりがあるのかは

わからない。最後は、赤の他人を看病し続けることの苦痛を考えて、佐々木を選ぶ

 

 

しかし、今ではその決断を後悔していた

佐々木は愛人を持っていて、そちらを愛していた。蒼子と結婚して、一ヶ月ほどで、

手をつながなくなり、同居していても、顔を合わせるのは数日に一度あるかないか。

蒼子にきづかれてからは、外泊もたびたび行い、蒼子は離婚を考えたが、

今の生活にほぼ不満はなく、不自由もないため、その関係を続けていた。

毎日なにもとらわれることなく、自由に暮らし、佐々木からもらったカードで

旅行、買い物を楽しんでいた。しかし、毎日好きなことをしていても、刺激がほしくなる。

誰かに本気で愛されたいと想うようになる。

 

福岡に住んでいるという河見は自分を本当に愛してくれていたという思い出から、

無意識に河見を探していると、女の子と歩く彼を発見した。その女の子の後ろ姿が

自分に似ていることが少しうれしく、追いかけてみることに。河見らが別れの挨拶を

交わし、河見の後を追いかけようとしたとき、その女の子に見つかる

蒼子が顔を見てみると、似ているのではなく、蒼子自身だった。おそろしくなり、

夜の公園まで走る。彼女は後から追いついてきて、蒼子は話してみることを決心する。

 

恐怖心はなくなり、冷静に事態を把握することに努めた。話していくと、

二人の思い出は共有されているかのように、話があった。趣味も性格も、

過去に好きになった人も。姉妹ができたようで楽しく、連絡先を交換して、

別れた。

 

(蒼子A・・・佐々木と結婚、東京在住    蒼子B・・・河見と結婚、福岡在住)

 

蒼子AはBがなんの不満もなく、河見との生活を楽しそうにしているのに、

嫉妬したしかし、蒼子Bは河見から暴力を受けていた。普段は温厚だが、

酒に酔って帰ると、Bを張り倒し、次の日には泣いて謝っていた。そして、

他の人と浮気をさせないため、束縛し、パートもさせないようにした。

それをいままで不満に想ったこともなかったが、蒼子Aと会ってから、

この生活を抜け出したくなる。

 

二人は真相を知るために、父親に会いに行くことに。しかし、Bの姿は見えないようで

二人同時に知り合いに会うと、どちらかが見えなくなると仮説を立てた。

その実験をすると、Bが見えなくなることがわかり、Aはほっとするが、

その反応を見て、Bは不快に思う。

 

そこで、3カ月間だけ、二人は生活を交換してみることに。

Aは河見からの愛に満足していた。Bは東京で自分が今まで我慢していた

おしゃれ、食べ物を満喫した。しかし、Aは河見の暴力を受け、逃げ出すように、

Bの元にいくが、BはAの浮気相手の牧本の子を妊娠する。そして、

佐々木の前に二人並ぶと、Aが見えなくなっていることにきづく。

AはBを殺そうとする。Bは逃げようとするも、この先の将来が見えず、

待つことに。対面し、Aは殺そうとするが、そこに河見が乱入する。

河見はBを連れ戻そうとするが、抵抗される。取っ組み合いに

なったところで、流産してしまう。

 

病院に行った後、蒼子はお互いに謝り合う。そこで、もうお互いに関わらないように

することを約束し、手紙でやりとりをすることに。

 

 

 

感想、、、

 

シュールな場面

ドッペルゲンガーをテーマにしているので、同じ人物が二人でやりとりをする場面が

何度かある。

よく見る「私たち」という言葉は、「私」と「第三者」という意味で使うことが多いが、

この作品では「私」と「私」。たしかに私たちだけどw

 

人生について考える

二人は自分の選んだ選択を最初から後悔していた?

いや、もうひとつの道があったことを思い出して、後悔し始めたと思った。

それまではなんとなくで生活してきて、不満に想うことがあっても

そのときにいらいらするだけで終わる。

 

この話では、もう一つの選択肢はどうだったのかという可能性を

入れ替わって体験していたが、どちらも元の生活に戻ることを望んでいた

 

結局、人は自分が選んだ選択にあまり自信を持てていないけれど、

その道は結局自分になじんでいくから、後悔しても仕方ない

というのを伝えたかったのかな?

 

人間は「欲の塊」と表現されることがある。これも、自分をよりよくしたい という

欲が生んだ話であった。もうひとつの道が見つかったことで、

あっちはどうだったんだ?という欲が生まれた。

 

中学くらいの国語の教科書で、江戸時代の罪人をテーマにした話があった。

その人は、まったく裕福ではなく、”その日をなんとか生きれればいい”という

生活をしていた。しかし、その人は他人から見ても幸せそうで、ちいさなことでも

喜んだ。星の美しさを褒めていた場面があったような。。。

その人を”足ることを知っている”と表現されていたのが、今でも覚えている。

 

人間がここまで進化し続けてこれたのは、探究心を追い求める続けてきたからだ。

でも、現代は”新しければいい”という風潮になっている。本当に価値あるものが、

無くなってきている。みんなと同じ服装、考えにしておこう という人が多い。

 

・・・。

考えがまとまらなくなってきたし、評論みたいになってきたので、終わり。w

 

 

村上春樹の作品に似ていない

僕は村上春樹が好きで、訳がわからないが、なぜか面白く、読み終えたときに

ゾクゾクする感じが好きだった。他の人の作品も読んでみたいなと思い、

yahoo知恵袋で見ると山本文緒さんが紹介されていたので、読んでみたが、

この作品はとても理解しやすく、技法も個性的ではなかった。

ふつーに面白かったが、村上春樹風を期待していた僕は少しがっかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

作品名:ブルーもしくはブルー

著者:山本文緒

出版日:1999年9月