まずはあらすじから、、、

 

簡潔なver.

 

身寄りのない兄弟が必死に協力して生きるも、兄のほんの一瞬の気の迷いで殺人を犯してしまい、一人残された弟が「殺人犯の弟」というレッテルに苦しみながら、絶望を乗り越える

 

重めなver.

 

両親を若くして亡くした兄弟の悲しい物語。

弟をどうにか大学に行かせようとバイトに励む兄、武島剛志。

兄が体を酷使して、壊しかけているのに気づき、兄の願いを知りつつも、大学をあきらめ、隠れて就職を目指す弟、直樹

 

ある日、剛志は直樹が就職しようとしているのに気づく。自分の体のことを思って、直樹は夢をあきらめようとしている!と焦り、犯罪に手を染めてしまう。引っ越し屋のバイトをしているときに、自分に優しく声をかけてくれた、資産家の老婆の家に強盗に入り、警察に連絡されると思い、殺害までしてしまう。

 

剛志は逮捕され、直樹は高校卒業間近にして、独り身になってしまう。その日暮らしが始まり、担任の先生の計らいでバイトを見つけるが、「殺人犯の兄を持つ弟」というレッテルが店長にばれてしまい、やめてしまう。そこからはできるだけ他人の目につかないような生活、バイトを探し、金属の組成の研究施設で実験後の金属の仕分けを担当する。

 

毎日に絶望しつつも、何度か希望の光が見えかけるも、兄の事情がばれてしまい、途切れてしまう。兄を恨みかけるも、なぜか一人だけ、自分から離れていかない女の子、由美子に助けられ、これからの多くの困難を二人で乗り越えていく

 

といった感じ。

 

 

 

印象深いところは、、、

 

 

資産家の老婆がすてき!w

 無愛想な剛志に親切に話しかけて、ただの引っ越し業者にお小遣い  をあげる場面は、おばあちゃん子には懐かしさを感じさせます。ほんの一瞬しか出番がないのだけど、とても印象に残りました。そんな優しいおばあちゃんの家に強盗に入ったのは、剛志は気が小さく、あのおばあさんなら見つかっても許してもらえそうだと考えたからなのです。 

 ニュースで「まさかあんないい子が殺人を・・・」なんてインタビューを見ますが、殺人犯はみんな ’最初から気が狂っていて、子供の頃から動物を殺していた’ なんてことはなく、ほんの一瞬よぎった悪い考えを実行してしまっただけなのです。

 

兄 剛志のひたむきな弟への愛

 剛志は弟を大学に行かせるために勉強が苦手でもできるバイトを探し、体が壊れるまで弟に楽をさせてあげました。ほかにも、収容所に入っても、毎月 (囚人は月に1度しか手紙をだせないそうです。) 弟の近況を訪ねたり、自分の罪を必死に謝ったり、収容所での生活を楽しそうに話し、心配をかけないようにしたりしていました。

 実は二人の母は、父が亡くなった後、必死で働き、兄弟を勉強だけに集中させようとしていました。(剛志とかぶっていますね) しかし、剛志は母が無理しているのに気づき、母に「働いて、母さんを楽にさせたい」と提案しますが、「なんでそんな反抗するの?母さんの努力をむだにするの?」 と猛反対します。その後剛志は、悪い友達と遊ぶようになり、母は体を壊し他界してしまうのです。剛志は責任を感じ、弟だけでも大学に行くように願うのです。剛志は思春期には女の子とふれあうようなことは一切せず、バイトをし、弟の幸せをただ願うだけでした。

 強盗に入った時も、盗みには成功し、あとは逃げるだけという場面で、直樹の好物 (ほんとは母の好物だったが、勘違いしていたよう) の甘栗がテーブルに置いてあり、それを取りにリビングに戻った際に老婆に発見されてしまうのです。どんなときでも直樹のことを思っているからこそ、強盗してしまい、あと一歩のところで発見されてしまいました。とてつもなく純粋に弟を愛していました。

 

殺人の代償

 直樹は剛志との縁を何度も切ろうとしました。自分が愛した人は富豪の一人娘だったので、殺人犯の弟なんかに娘を渡すわけがないと考え強硬手段に走ったり、バイトは兄の事情を話せば断られたり、高校の友達も避けるようになったりと兄のせいで様々な困難を強いられまいした。そのたびに直樹は’どうせ他人は信用できない’と心を閉ざしてしまいます。しかし、それは犯罪者の関係者には耐えなければいけない苦痛なのだと教えられました。人はニュースではよく殺人事件を見るが、実際に身の回りで起きるとは想像したこともないのだと。そして、これからは今ある数少ない友好関係を大切にして、そこから輪を広げていくようにアドバイスされました。

 

 

疑問点、、、

 

由美子の思惑

 ブログを書いていて、思い出したのですがw

 直樹は愛していた女性に、自分が殺人犯の弟だと隠していたのですが、それが女性の親にばれそうなときに、由美子は直樹に「こどもでもおったら、その親も認めるしかなくなるよ」とアドバイスし、直樹はそれを実行しようとし、その作戦は失敗するのですが、由美子は「なんであんなことしたん?」と直樹に諭すように尋ねていた。

というように記憶しているのですが、由美子はその女性と直樹が知り合うよりも前に直樹に目をつけていたため、嫉妬から破局するように仕向けたのではないか?

 

 

ラストシーン

 直樹は大学でできた友人にバンドに誘われ、デビュー直前でスカウトマンに兄のことがばれ、バンドの後々の進展を考え、バンドを抜けるのですが、そのバンドに誘ってくれた寺尾は抜けた後でもたまにあって話す仲で、バンドのメンバーは減ってしまったが、寺尾は一人で収容所を周り、コンサートをしていること話し、これに直樹を誘い、兄の収容所へ演奏しにいくのですが、ボーカルの直樹は兄の姿を見つけ、兄が手を合わせて祈っているような姿を見て、歌詞が出てこなくなりました

 直樹は、その少し前に今まで兄が自分の知らないところで償いをしていたことを教えられ、兄の努力に驚き、兄を受け入れつつも家族のことを考え、縁を切りました。

 なので、直樹は 

’兄は自分のためにいろいろと苦労をしてきて、自分を喜ばせることを生きがいとしていたのに、その僕に見捨てられて怒っているのではないか’ と少し心配していたが、手を合わせるという、怒りなど全く無く、感謝したり、願いを届けるときにする行為をしている剛志を見て、自分のこれまでの兄への感謝の量の少なさなど反省するとともに、剛志は弟がどういう経緯で、どういう考えを持って、兄を捨てたのかをすべて悟っている、その上で受け入れ、弟の幸せを願っている

と気づき、声が出なかったのではないかと考えた。

と書いたのですが、浅い考察だと思い、疑問にしましたw

 

では、自分の書きたいことはすんだので、それでは!ww

うろ覚えで書いたので、間違いなどのご指摘は大歓迎です!

他の方の考察も自分の勉強になりますので、よろしくお願いします!

 

 

 

著者:東野圭吾

題名:手紙

出版年:2003年3月1日