神田沙也加さんの「LIBERTY」曲目感想③(眠れる森) | 3θのブログ

神田沙也加さんの「LIBERTY」曲目感想③(眠れる森)

3曲目もソン・ルイさんのナンバーが続きます。
タイトル通りの幻想的な曲調、沙也加さんの詞に魅了されます。

そして声の魅力。
暖かみを感じられる低音域が心地良く響きます。

3つの声域が重なりあうところは特に素敵です。

アレンジも好みですし、イントロのギターの響きがとてもいいです。

コーラスワークも秀逸。

わざとなのでしょうか。硬めの声を厚く重ねたリフレインの箇所は、

重なり合う声の響きが、霧が漂い森閑とした光景を彷彿とさせます。

透明感を漂わせ、どこかに翳りを持った声が、どこまでも伸びていきます。
この感じがとても好きなところなんですよね。

 

また、冒頭の 「愛し方 別れ方 何も知らないままで」 のところ、

ちょっと変わった拍子のとりかたをしているだけに印象に残ります。

曲先行なのでしょうが、うまく詞があてはまっていますね。


沙也加さんは詞について次のように解説しています。

 

『どこかゴシックで、重厚感のある耽美なアレンジはどこかクラシカル・クロスオーヴァーにも近い雰囲気。美しいメロディとは裏腹に、詞は実に寂しく、哀しい言葉達で綴られています。SAYAKA時代からの特徴である、抽象的・比喩的表現を存分に用いた歌詞です。まるで薄暗い深い森でひとり迷子になったような、きっと戻らない誰かを信じて待つような、不安と期待の入り交じった気持ち。その怖さ、心細さといったネガティヴな感情を、どこかファンタジックに、おとぎ話のように書いています。』

 

そして、ヴォーカルについては、

 

『ヴォーカルは泣き出しそうに、絞り出すように、叫ぶように孤独を歌っています。「LIBERTY」もそうですが、今までの曲にはなかった、実は最も得意とする低音域を使えたのが嬉しかったです。サビはウィスパー・ヴォイスのコーラスを何重にも重ね、透明感と奥行きを出してもらうようにお願いしました。まるで耳元で歌い掛けているような感覚を味わえるので、ぜひヘッドフォンを使って聴いて、神田沙也加とリスナー「1 対 1 感」を感じて頂きたい一曲です。』

 

そしてこう締めくくっています。


 

『「I'm a sleeping foolish girl」、コーラスの 「fall in dreams」 など、英語詞にも深い意味が込められていて、今アルバムの裏テーマを握っているトラックです。』

 


メロディーと詞がシンクロしており、沙也加ワールド全開の傑作かと思います。




 

*文中、「神田沙也加 セルフ・ライナーノーツ」からの引用については、ご本人から了解を頂いています