ママ弁護士の徒然日記

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普通乗用車を運転して交差点で信号待ち停止中、後続車から追突され(車両修理代127155円)、頸椎捻挫、腰部打撲傷等の傷害を負い、通院期間約10ヶ月半で、自賠責149号が認定されていたにもかかわらず、訴訟では第一審・控訴審を通して後遺障害の残存が否認された事例(広島高裁岡山支部平成27年3月12日判決)。



自賠責で後遺障害等級認定された場合、訴訟においてもそのままの等級が認定されることが多いのですが、裁判所は自賠責の認定に拘束されることはないので必ずそのまま認定されるという訳ではないのです。自賠責で認定された等級より上位の等級が認められる場合もありますし、下位の等級しか認められないこともあります。また、本件のように、自賠責では後遺障害等級認定されたにもかかわらず、訴訟では後遺障害なしと判断されることもあります。


本件では、控訴人が自賠責の149号認定に対して12級を主張して提訴していたのですが、結局は非該当となったのです。その理由は以下に判決文を掲載していますが、訴訟では自賠責での認定よりも、時間をかけて審理し、判断を下すに際しての証拠も多岐にわたるからです。


自賠責での等級認定に対して異議申立をしても納得いく等級が得られなかった場合、さらに納得できる等級に基づく賠償を求めて訴訟をするという方法もあるのです。
(ただし、本判決のように、訴訟で自賠責よりも厳しい判断が下されることもあるということをお忘れ無く!)




本判決での判断


損害保険料率算出機構(自賠責)は、控訴人の本件事故による後遺障害について、

「頸椎捻挫後の左側の回旋時に後頚部に疼痛がある、下を向いて作業を行うと、後頚部から肩甲帯周囲に疼痛が出現するなどについては、画像上、本件事故による骨折等の器質的損傷は認められず、その他診断書等からも症状の存在を裏付ける他覚的所見は認めがたいことから、他覚的に神経系統の傷害が証明されていると捉えることは困難であるが、受傷当初から症状の訴えの一貫性が認められ、その他受傷形態や治療状況も勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる傷害と捉えることから、後遺障害等級149号に該当する…」

と認定していました。




しかしながら、本判決では、
「後遺障害とは、症状固定時において残存する傷害と相当因果関係のある症状が残存し、将来においても回復が困難と見込まれる精神的又は身体的な既存状態であって、その存在が医学的に認められ労働力の喪失を伴うものであるところ、控訴人には、本件事故による後遺障害が残存していると認めるには足りない。」

と判断しました。



その理由としては、

「控訴人は、腰痛については、受診当初に腰背部痛を訴えていたものの、その後腰痛の訴えはまく、平成231月頃から背部痛は軽減しているにもかかわらず、本件後遺障害診断書には、同年86日時点でも、胸腰椎部の著しい疼痛のため可動域制限があると記載されている。また、脳神経外科の戊田医師が同日時点で、ノイロトロピンを休止してみるとの判断をしていることからすれば、その時点での控訴人の頸部から肩甲部にかけての疼痛についても、疼痛治療剤が必要でない程度に消失していたと認められるところ、本件後遺障害診断書には頸椎部及び肩関節の著しい疼痛により可動域制限があるなどと記載されている。さらに、本件後遺障害診断書の自覚症状の記載内容を前提としても、左回旋時や下を向いたときの後頸部痛や後頸部から肩甲部にかけての疼痛があって、常時疼痛があるわけではない。そして、控訴人の後頸部から肩甲部の疼痛が平成2386日以降も継続していたことを認めるに足りる証拠はない。」

としています。