最近懐かしくなってスマホで漫画『3年奇面組』の1巻を無料で立ち読みしました。
80年代の傑作『3年奇面組』、何度も読み返していますが、読むたびに面白いですね。
3年奇面組の魅力はギャップ
第1巻を読んで思ったのは、『3年奇面組』の魅力は「ギャップ」にあることです。
作者の新沢基栄氏の思いが詰め込まれたネームは長く、読者に主張してきます。
第1話「奇面組登場 HOW MANY へんな顔?の巻」から
「人と同じことができなくたっていいじゃないか
人と同じになろうなんて不自然きわまることだ」
「われわれは
世の中の
歯車となるより
世の中を味付け
する調味料に
なろうではないか」
個性の追求の大事さ、それを隠すことなく自己表現する大切さを熱く語っています。
3年奇面組に通底する哲学的な面、新沢基栄氏の作家性が強く出ているシーンです。
ところが、それを漫画として表現できる力がまだなく、その結果「読みにくい」作品にしてしまっています。
強い作家性と不足する表現力、そのギャップが『3年奇面組』を魅力てきにしています。
ギャップはキャラクターにも表れています。
高貴なダメ人間の魅力「一堂零」
先ほどのセリフは主人公一堂零君のものです。
しかし、彼はたった数ページ前で、他のメンバー分のトンカツを盗み食いしています。
そして、盗み食いの罰として子供用の三輪車に縛り付けられ、他のメンバーたちに校庭中を引き回しにあっています。
さらに、第1巻「遅刻の鬼の巻」、担任の伊刈先生に遅刻の理由を問われてのセリフ
「…理由などありません
間に合わなかったのでおくれました
ごめ~んネ」
遅刻しておいて、このいいよう!
自分も使ってみたいと思わせるセリフです。
高潔な精神と実生活での無能さ、高貴なダメ人間、このギャップが作品の奥行きを出しています。
3年奇面組にしかない魅力
この『3年奇面組』の魅力であるギャップ、この後『ハイスクール!奇面組』になると少なくなっていきます。
作者の表現力が上がって読みやすくなり、エンタテイメントとしての質は向上するのですが、ギャップは減っているように思います。
個人的には『ハイスクール!奇面組』よりも『3年奇面組』をおすすめします。
傑作は何度読んでも発見がありますね。
やっぱりダウンロードして良かったです!
次は第2巻を読んで感想を書きたいと思います。