さて、お兄さんを弔った神武天皇、

 

南に回って熊野村、今の和歌山県新宮市付近に到着します。

 

そこに現れたのがでっかい熊。

 

ただしその熊、「がおー」って襲ってきたわけではありません。

 

チラッチラッとこっちを見ています。

 

たったそれだけですが、なんと神武天皇以下兵士たちが一斉に気を失ってしまいました。

 

神武ピーンチ。

 

しかし助け船が現れます。熊野のタカクラジ(高倉下)です。

 

熊野のタカクラジ、倒れている神武天皇に一振りの刀を差しだします。

 

するとどうでしょう、神武天皇正気を取り戻して一言、「いやあよく寝た。」

 

そしてその太刀を受け取ると、

 

なんとなんとなんとなんと、

 

熊どころかその辺の荒ぶる神々は勝手に倒れてしまいました。

 

当然神武天皇が聞きます、

 

「何この刀? 超スゲーんだけど。」

 

タカクラジが答えて言うには、

 

「どうもアマテラスさんと高木の神さんが心配して建御雷の神さんに相談したらしいっす。

そしたら建御雷の神さんが、俺が行かなくてもこの刀があれば大丈夫でしょう、この刀を神武がいる辺りの誰かに渡しときますよって、それが私です。」

 

朝タカクラジが目が覚めると頭の横30㎝くらいの所に刀が刺さってたそうです。

 

「あと、高木の神さんがどうも神武は方向音痴らしいって、案内を送ったそうです。」

 

その案内役が、そう、八咫烏です。

 

八咫烏に連れられて、途中尾っぽの生えた人に出会いながら到着したのが奈良県宇陀市。

 

和歌山の新宮市からめちゃくちゃ山道進んでますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カムヤマトイハレビコノミコト、つまり神武天皇、登場していきなり東に攻め立てます。

 

神武東征という言葉もありますが、ここは講談社の表記に従って東遷。

 

東に攻めていった理由、

「俺が安らかに天下の政(まつりごと)を行うには、東だな。」

 

これぐらいの自信が無くてはいけません。

 

では東とは?

神武天皇、この時は高千穂宮にいます。

なので東とは奈良、京都方面の事です。

 

まず最初に行った所は豊国の宇佐、大分県宇佐市です。

ここで迎えたのがウサツヒコとウサツヒメ、

あんまりひねりはありません。

 

足一騰宮(足一つあがりの宮)って非常に興味深い建物を作ったそうです。

 

残ってたら良かったのに。

 

次に行った所が竺紫の岡田宮、ここで一年。

 

その次が阿岐国の多祁理宮(たけりのみや)@広島県。

ここで七年。

 

その次が吉備の高島宮@岡山県に八年。

 

随分のんびり。

 

それとも時間がかかったのか?

 

さて更に東に向かう神武天皇に向かって、

 

亀の背中に乗って釣りをしながら、

 

両袖を振ってやってくる人がいます。

 

「釣り竿はどうしてるんだ?」

こういう疑問を抱いてはいけません。

 

神武天皇聞きます、

 

「誰?」

 

「私は国つ神です。」

 

「この辺に詳しいか?」

 

「ええ、そりゃもちろん」

 

「じゃあ俺に仕えろ」

 

「へい」

 

ちなみにこの辺とは、豊予海峡。

 

豊後水道の一番狭い所です。

 

神武天皇、この、亀に乗って両袖振りながら釣りをする特技を持った国つ神にサヲネツヒコという名前を付けます。

 

そして一気に大阪までたどり着きます。

 

陸地は敵が多いと見たんでしょうかね?

 

浪速国の白肩津に船を泊めます。

 

今の東大阪市日下町にあった船着き場だそうです。

昔はこの辺まで海だったそうです。

 

マジか?

 

生駒山の麓だぞ?

 

 

海だったそうです。

 

そこで出てきたのがナガスネビコ、またの名をトミビコ。

 

実に厄介な人物です。

 

どう厄介かは、調べてみてください。

なんで神武天皇が東に向かったのか?

 

話を戻します。

 

このナガスネビコ、反旗を翻します。

 

そしてその戦いの中で、

 

神武天皇の実のお兄さん、

 

五瀬命(イツセノミコト)が死んでしまいます。

 

手に受けた矢の傷が原因です。

 

 

ナガスネビコ軍に対して劣勢になった神武軍

 

一旦引きます。

 

そして五瀬命が傷を負った手を洗った場所が血沼海あるいは茅渟海(ちぬのうみ)、

大阪湾、和泉市付近。

この辺も海だったみたいです。

 

五瀬命、悔やんで言います。

 

「大阪都構想はようわからん!」

 

違います、

 

「我々は日の御子であるにも関わらず、日に対して向かっていった。これが良くなかった。」

 

神武軍、和歌山を回って逆から攻めようとしますが、

 

その途中、五瀬命は男之水門(おのみなと)で死んでしまいました。

大坂の泉南市男里です。

 

お墓は紀伊の国の亀山。

 

和歌山県和歌山市和田にある亀山神社。

その本殿の奥にある亀山の墓。

 

これが五瀬命のお墓だそうです。

 

 

さて皆さん、

 

気付きました?

 

話の内容が、

 

随分人間ぽくなったと、思いません?

 

 

事の発端は自分がお兄ちゃんの針を無くしたことなんですが、

そんなことは棚に上げて海幸彦に勝利した山幸彦

 

そんな山幸彦の元に奥さんのトヨタマビメノミコトがやってきます。

 

トヨタマビメノミコト、

「アタシ妊娠したんで子供を産みに来たの。」

 

山幸彦、いそいそと出産の為の産屋を建てるんですが間に合いません。

トヨタマビメノミコト、仕方がないので建築途中の産屋で子供を産もうとするんですが、

その前に山幸彦に言います。

 

「見てはなりませぬ。」

 

はい、見ます。

間違いなく見ます。

 

トヨタマビメノミコト、でっかいサメだったんですね。

 

驚いた山幸彦、こともあろうに逃げだします。

 

でもトヨタマビメノミコトはイザナミの様に追いかけたりはしません。

自ら身を引きます。

 

でも子供は育てて欲しいので、

妹のタマヨリビメを代わりに遣わします。

生まれた子どは、

アマツヒコヒコナギサタケウカヤフキアヘズノミコト。

略してウカヤフキアヘズノミコト

 

山幸彦は高千穂宮に580年住んだ後他界するのですが、

その子供、ウカヤフキアヘズノミコト、

なんとおばさんのタマヨリビメとの間に子供を作ります。

 

何人か子供はいるのですが、

その中の一人が神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイハレビコノミコト)

 

神武天皇です。