うさたの倉庫 -2ページ目

うさたの倉庫

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「今朝、御前は今夜の三橋様のパーティ
へ行くと仰られました」

執事の山本さんから、今日の御前の予定変更を言い渡される。

「佐藤さん、あと12時間くらいですが警備計画をお願いします」
「わかりました」

何か思われる事が有るのだろう。
御前はこんな風に突然何処かへ行くと言われて、そこで哀しみにくれる女性を救われる。

「鈴木さんからの報告では、今現在、直接的に御前に向けられる脅威は無いようです」
「はい」

秘書の鈴木さんは基本的に表には出ず、情報収集と操作に重点を置いている。
御前の資産は私などには想像もつかないが、山本さんと鈴木さんが御前の下で管理と運用をしているようだ。

「突発的で純粋な暴力にはさすがに鈴木さんの情報も対処できません」
「わかっています」

その素性も御名すらも隠しても、
御前を狙う輩はいる。

それに…御前の正体を知らなくても、あの御容姿では…。

「現場での対応は全て私が。この命にかえましても」








「御前、お時間です」
「もうそんな時間だったか」

窓際で本を読まれていた御前は、
かけていた眼鏡を外された。

細身の美しいラインを描くフレームは、
御前のシャープな輪郭に合い、
一つの芸術作品の様にお似合いになられていたので、私は外されるのを残念に思った。

しかし、

やはり何も着けておられない方が、


お美しい…。



「田中さんが外出の支度を準備しています、どうぞお着替えを」
「わかった」

本を横のテーブルに置き、
優雅に立ち上がられた御前は、

「佐藤…」
私の横を通られる時、不意に立ち止まり…

「くふふ…」


いたずらな表情で微笑まれた。



「今日は夜から楽しみだ」

「…御前?」

御前は私の言葉には何も反応を示さず、
そのまま扉の向こうへ消えられた。


何か起こるのか?このパーティで…。

私が犯罪の臭いを嗅ぎとるより前に、御前は何かに気づかれる。

セレンディピティ、か…。


仮に何か危険が有ると解っていても、
御前に働きかけるなど出来るはずもない。

御前に危険を回避していただくのではなく、御前の傍でその1分前にでも10秒前にでも私が危険を鎮圧すれば良い。

御前は、
何者にも阻まれず真っ直ぐに、
自由に、

進むべき方だ。