東京から3時間。
後先も考えずに拐うように連れてきたヒカルさんは、電車に揺られながら私と他愛ない話をしたり、少し疲れたのか眠ったり。
あまりに警戒心の無いその無垢さに、
私の右肩にかかる重さも愛しく感じた。
愛しい…。
愛しいと、思う。
自覚してしまった感情が、今まで隠していた答えを明らかにし、身体の隅々に指先にまで理解をさせた。
そして、
その事が、
よりいっそう私の胸を切なく苦しめ、
事実の前に立ち尽くさせる。
「わー!雪!!」
東京と違い帰ってきた松本の街は雪で白く埋っていた。
「雪…です」
「くふふ、すっごい綺麗ですね」
ヒカルさんが笑う。
2日ほど前に離れただけの街が、この子といるだけで、何か違った色を持つ。
見慣れたはずの街も、城も、
こんなに美しかっただろうか?
傘をさし、滑らないようにと細い身体を引き寄せれば、私に添うように身体を預けてくれる。
だから、
勘違いしてしまいそうになる…。
ヒカルさんも、私の事を……
…と。