「今どこ?家に帰ってもいないから」
呼び出し音から繋がると、確認もせずに聞いた。
今日も生放送の後の反省会。
軽く2時は越えている。
最近はお互いのスケジュールが合わなくて帰って寝顔を見るばかりだったけど、
それでも、
雅紀がいるだけで、無機質な部屋があたたかく思えて玄関のドアを開ける気持ちが逸って、
一番にベッドルームに行って顔を確認したら安心する様に気持ちが落ち着いた。
だけど、今日はドアを開けた時から変で、
急いで探しても何処にもいない。
俺が認識してる雅紀のスケジュールでは帰ってるはずなのに…。
お互い大人なのに、たったそれだけの事で俺は軽くパニックになったみたいに狼狽えた。
「雅紀?今、どこ?」
心配でイライラする気持ちを抑えようとして、自分の声が低くなるのを自覚する。
誰か友達と飲みに行ってるのかと思ったけど、電話の向こうは静かで一人でいるのは確かだ。
「あ、あのね、俺のマンション」
「ちょっと必要なモノがあって、今日はこっちにいるから…明日には戻るから…」
「なんで?なんでなんで?」
何か取りにいったのなら帰ってくればいーじゃん。
でも…なんだかオカシイのがわかる。
「雅紀、どうした?」
「どうもしないよ?」
どうもしないわけねーじゃん。
俺は電話をしながら財布と鍵を持って外へ出た。