朝ごはんもすごく美味しくて、イチさんとゆっくり食べてたらホテルを出るのがギリギリになってしまって、嵐 山に着いたのは昼前だった。
昨日と同じで沢山の人がわいわいと楽しそうに溢れてる。
だからイチさんと手をつないで川にかかった大きな橋まで歩くと、桜よりも目についたのは...
「イチさん!花嫁さんだ!」
山桜に色づく山すその川を、舟に乗った花嫁さんと花婿さんが渡ってる!?
僕は橋の欄干にかけよった。
昔ながらの和舟に赤い和傘がかざされて、
白い綿帽子に白無垢姿の花嫁さんと黒い羽織袴の花婿さんが、船頭さんと三人、川を渡ってくる。
対岸には家族がいて、新郎新婦の到着を待っている。
桜の花びらの舞うなか...
「綺麗...素敵な結婚式」
こんな素敵なものを見れるなんて...。
「ヒカルにも...似合う...だろうな」
「にあう?僕に??」
「あぁ...」
イチさんは花嫁さんたちを見ながらつぶやいた。
どういう事?
「白無垢も、色内掛けも、黒の引き振り袖も」
「え?!花嫁衣装!?」
「いや、白無垢が良いな...ヒカルの...純真無垢さが...」
なんだかブツブツ独り言を言っている...。
「だが、色内掛けの華やかさも...ヒカルの笑顔に似合ってる...」
「ね、ねぇ、イチさん...僕」
「僕...それなら、袴が良い...」
イチさんはすごく驚いた顔で僕を見た。
大きな目がまんまるになってる。
「袴?」
「うん...だって、僕は...」
あ...イチさんが残念な顔をしてる。
「あ...ううん、あの...イチさんの好きなので良いよ!」
「あぁ...綺麗だろうな、ヒカルの白無垢は」
すごく素敵な笑顔で僕を見るイチさんに、
なんだかわからないけど、イチさんが嬉しそうならいいや、と僕は思った。
とりあえず、あの二人の結婚式を、僕たちは橋の上から見守った。
二人が幸せで有りますように、って。
「あ、今度は人力車に乗って何処かに二人で行くみたい!」
「では...私たちも、人力車に乗ろうか」
「え!」
「ヒカルの白無垢姿は今すぐは無理だから、これぐらいは良いだろう」
白無垢はともかく、人力車なんて楽しそう!
「乗ろう!イチさん!」
僕は橋のたもとにいる人力車の方に走り出した。
あぁ、だらだら書いてたら世間は初夏に...。