数年前、夫が定年を迎え退職した。
無職となり悠々自適に暮らせる程、蓄えがあるわけで無し健康の事も考え、再就職をする。
その新しい職場で、お昼ご飯に外部のお弁当屋さんからお弁当を頼む事にした。
1ヶ月くらい経った頃、夫が
お弁当、おいしくないんだよな。
値段も中身の割に高いしさ。
そう言い出した。
わかる!
私にはわかるのだ!
彼は言外に強く「お弁当を作って」そう言っている。
そんなん知らんがな。
仕事も事務になり定時出勤定時終わり。暇だろ。
作れば?
そう言ってやった。
気まず〜い空気がしばらく流れた後、夫が言った。
そうしようかな。
作ろうかな。
びっくりした。
夫が台所に立つなんて!
現職の仕事が激務であったり彼の歪んだ性格から料理なんてほとんどしてこなかった。
うふふふふふふ
これからの彼のお弁当作りの日々を想像すると楽しい〜。
すかさず満面の笑顔で
いいんじゃない。
そうエールを送りました。
それからの彼のお弁当奮戦記は、長くなるので別に記したい。
幾星霜を経て夫は、始めの写真のようなお弁当を作るに至った。
お弁当に関して、ようやく夫は見栄とか男の沽券等をかなぐり捨てた。言い換えれば
見事「断捨離」を果たしたわけだ。
今日の朝も彼は、いそいそと台所に立ち自分のお弁当を自分の力量に合わせ作っている。