祖母は昔から私の結婚を楽しみにしていた。
若い頃は当たり前の期待だった。
しかし…時間が経つにつれ、結婚する気配のない孫に気を使ってくれるようになった。
「べつに結婚しなくても、自分で生活できればいいんだよね」とよく言ってくれた。
優しさが嬉しかった。
三十路半ばで、介護職に転職した。
彼氏もいない、一人暮らしでのん気に暮らしていたが、とにかく結婚するのが夢だった。
働いていた施設に入居しているおばあちゃんに、ふと世間話で本音を漏らしてしまった。
「私、結婚できるかなあ」
痩せ気味の小柄のおばあちゃんは、小さなこぶしで私を叩いた。
「何言ってんだよ!そんな弱気でどうするんだよ!?変な奴が来たら、蹴っ飛ばしてやるくらいの気持ちでいなきゃ。
けいこちゃんには、おばあちゃんがついてるんだよ!!」
私はけいこちゃんではない。。ので、本当のお孫さんと人違いなさっていたが、こんなに熱く励まされたことは人生初だった。
私の年齢なども正しく認知されていたら、聞けない言葉だったかもしれない。
でも、とにかく嬉しかった。
涙ながらにお礼を言うと、おばあちゃんは得意気な顔で笑った。
この言葉は、私の婚活を支え続け、無事ご縁があり結婚ができた。
いい夫に巡り会えたのはおばあちゃんのおかげだと思っている。
おばあちゃん、ありがとう。