大阪以外の皆さんには少々判りづらい選挙ですが、知事・市長クロス選挙はひとことで言うと「大阪の旧利権勢力」vs「大阪維新」の戦いです。
大阪府職員・市職員労組、旧民主系政党、公明、共産、解放同盟、トラック協会(再生の会)らの組織が全面支援する市長選の自民党・柳本顕(あきら)候補。これに落選しても7月の参院選に向けて知名度を上げることになるので、負けを覚悟で立候補したという噂あり(柳本氏は元々参院選の立候補予定者だった)
約30年前、首相就任前の森喜朗氏に「タン壺」と言われた大阪ですが、インバウンド需要が全国一・今年6月にG20サミットが開催・二度目の万博誘致決定と今では大阪発の明るいニュースをマスコミが取り上げてくれるようになりました。
私は、その活力を与えてくれたのが維新の会だと思っています。
10年ほど前、大阪自民の中の「上澄み」であった府議会議員の松井一郎氏や浅田均氏らが「このままの利権自治では大阪が壊れる」と自民を飛び出し、有名人の橋下徹氏を府知事候補として擁立したのが初動で、橋下氏当選後は維新が府議会・市議会で最大会派となりました。
(大阪市議選では3人区が多いので過半数に至らず)
いわゆる『都構想』に賛成・反対いろいろ議論はありますが、それは住民投票で決めればよいことだと私は思います。
今回の統一地方選で維新が圧勝、その勢いで夏の参院選でも維新が議席を伸ばして、近い将来は維新が公明党に代わる自民党のパートナーとなり、憲法改正へと繋げるというストーリーが私の描く理想です。
ですから、大阪市を解体して四つの特別区にするという案(都構想)に反対の市民も、今回は維新候補者へ投票してほしいのです。
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大阪維新がもたらした過去数々の改革は素晴らしいものばかりです。
府・市で競って毎年百億円単位の無駄遣いをしていた箱モノ作りをやめたのはもちろんのこと、府議会議員の定数を109から88に(21も)減らしたり、議員報酬を3割カットしたなんて他の政党には絶対に真似できないことです。
(共産を含む他政党の地方議員は、議員活動が自分自身の特権階級を維持する為の「政治屋家業」なので、議席数や報酬が減ったら自分や自分の親族が困窮する)
皆さんの地域で、首長や議員が役所の職員労組と一体となって選挙運動を行なっているのなら、昔の大阪と同様「馴れ合い利権自治」に陥っていると判断すべきです。
自治体の首長・議員と役所の間に一定の緊張感が無ければ、十年前の大阪市みたいに市バス運転手の年収が1千3百万円に膨らんでしまいますよ。
余談ですが、今回の大阪市長・自民候補者は、役職や国会質問が「オールゼロ議員」、で有名な柳本卓治参院議員の甥、柳本顕(あきら)氏です。
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「PRESIDENT Online」本日の記事を転載いたします。
https://president.jp/articles/-/28161
僕が激怒したあの状況、ひどかった「10年前の大阪」に戻すな!
いよいよ、大阪ダブル・クロス選挙も残すところ1週間を切った。両陣営が追い込みに入る。
今の松井さんの姿や吉村さんの姿、そして大阪維新の会のメンバーの姿をメディアを通じて見て、ほんと色々思い出す。
今から約10年前に僕が大阪府知事に立候補した時、ほんと大阪はひどかった。そのときの自民党から共産党までの既存の政党は何をやっていたのか。
府政、市政で失敗して莫大な税金の無駄遣いをやっても誰も責任を取らない。
府の役人、市の役人の給与もボーナスも退職金もそのままで、カットすると言っても雀の涙ほど。議員たちも全く責任を取らない。
議員たちは高額な給与に特別な手当てに政務調査費という経費を懐に入れ、効果が見えない海外視察に明け暮れる。
そんな議員の姿を見てか、役人たちも、民間よりもはるかに恵まれた勤務待遇をそのまま享受し、天下りもやりたい放題。
知事、市長を応援する各種団体には莫大な補助金がほぼ無条件にばらまかれる。
地下鉄もバスも公務員意識丸出しでサービス業の意識もなく、市長選挙では自分たちの身分・処遇を守るために、見返りを期待できる市長候補の選挙応援に明け暮れる。
そのくせ、地下鉄のトイレも汚いままで、売店は暗く運賃も高い。バスは重複する路線が多く、客ではなく空気を運んで運転手の仕事だけを確保。
公立の中学校に給食はなく、小中学校にエアコンも配備されていない。学力調査テストをやれば全国で最下位。体力調査テストも最下位。
それでも教育委員会は、学力だけが全てじゃない、大阪の子供たちは人間力があると言い放つ。
教育政策には税金が投入されないのに、高齢者向けの地下鉄・バスの無料パスには年間約100億円の税金が投入される。
税金で建てた建物が乱立し、府民市民が訪れないのに、そこに働く人の給与だけは税金で出ていく。
(略)
こんなひどい大阪なのに、それでも知事、市長を必死に応援する各種団体には多額の補助金がばらまかれ、その人たちだけが満足している。これが10年前の大阪だ!
僕は、こんな10年前の大阪が嫌だった。引っ越そうと思えばいつでも東京に引っ越すこともできたし、自分の生活のことだけを考えれば、嫌な大阪に納税だけすれば、あとは楽に暮らせていけた。
生活に何の不自由もなかったし、そんなに世間から批判・誹謗・中傷を受けるような立場でもなかった。
それでもこの大阪を何とかしたい。子供たち、孫たちにもう少しましな大阪を残したい。そういう思いで、とりあえずその時の生活を全て横に置き、政治に人生を賭けた。
僕のやってきたことは100%完璧ではないし、問題もあっただろう。僕はそんな完璧な人間ではない。
それでも前述の大阪の課題を解決するために、絶対に逃げず、絶対に手は抜かず、100%完璧な解ではないかもしれないが、脳みそに汗をかきながらそれなりの解を出して前に進めてきたつもりだ。
先送りは絶対にしなかった。だから猛反発も受けた。自分の命だけでなく、妻や子供の命まで狙われるようなこともあった。
(略)
もちろん知事、市長の給与や退職金もカットし、前任の太田房江知事は2期務めて約8000万円の退職金、周辺の知事も3期や4期やれば1億を超える退職金をもらえるが、僕はそんなお金はもらえない。松井さんも吉村さんもそうだ。
逆に、僕は大阪府知事選挙のときには、出馬関連費用として数千万円ほど自分の金を使った。
まあ色々言いたいんだけど、とにかく僕は知事、市長として全力を尽くし、もちろん役人や大阪維新の会も頑張り、僕のあとの松井さん吉村さんも頑張った。その結果、現在、大阪の経済その他の指標も徐々に上向きになりつつある。
全ての数字が格段に良くなったとは言わない。
それでも、低迷・衰退傾向にあった大阪の数字が、全体的に上向きになってきているのは歴然たる事実だ。
それと同時に、前任の太田房江知事までに5500億円も財政的に穴を空けて火の車となっていた大阪府の財政状況も好転してきた。
これらは全て、一部特定の団体や支援者を意識することなく、大阪全体のために、そして子供たち孫たちの将来世代のために政治をやってきた成果だと自負している。
全ては次世代のために、それだけの思いでやってきた。その反面、一部特定の団体や府市民が補助金でおいしい思いをすることができなくなり、彼ら彼女らが益々猛反発をするようにもなってきた。
今、この補助金目当ての一部特定の団体や府市民たちが牙を剥き始めた。
一部特定の団体や府市民たちに特段の配慮をしない維新政治を終わらせて、彼ら彼女らを最大限に配慮するあの10年前の大阪政治に戻そうとしている。
それだけは勘弁してくれ。そんな大阪にするために、僕は8年間、政治に人生を賭けたんじゃない。大阪の有権者よ、しっかり判断してくれ!
飛べ 大阪号!
大阪維新の会が、自民党から共産党までの既存の政党にとってそれだけ脅威になっているということは、逆に既存の政党やその支援者の嫌がること、すなわち既存の政党やその支援者の既得権をそれだけ破壊してきたことの証だと思う。
それはすなわち、既得権を持たない無党派層にチャンスを与える政治である。
僕は、既得権にまみれ一部特定の者が利益を受けながら、大阪全体は衰退していった大阪号の錆びついたエンジンを回す係だった。
電動セルがなくて、一生懸命キックダウンでエンジンをかけた。錆びついたエンジンを回転させるには尋常じゃないエネルギーが必要だった。
そしてそんな大阪号のエンジンが回り始め、次は吉村さんの出番だ。
吉村さんはバランス感覚があり、僕がエンジンをかける際に壊しまくった機器類やシステム類を修復しながら、絶妙の操縦桿捌きで大阪号を離陸させた。
今、45度上方の青空に向かって高度を上げている。松井さんは空港管理者や管制官として、僕のエンジン始動作業や吉村さんの離陸を見守っている。周辺の飛行機との交通整理もこなしてくれている。
大阪号は、今、上空2000メートルというところ。これから1万メートルに向かうところだ。あとは大阪の有権者が選挙に行って、この大阪号のエンジンの出力をどんどん上げるのか、それとも出力を下げて空港に戻るのかの判断だ。大阪号はどんどん上昇している。
ここで僕が汗を拭き拭き、一生懸命キックダウンでエンジンをかけていた、あの10年前の地上に戻ってくるのか? 時計の針を戻すな! 飛べ 大阪号! このまま舞い上がれ!
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