日本記者クラブで会見する日大アメフト部・宮川選手(写真中央)
5/22火曜日午後2時45分から、日大アメフト部の宮川泰介選手(加害者、20歳)による記者会見が開かれ、やはり監督・コーチからの強制による悪質タックルであることが明らかにされました。
〈 日大・井上奨(つとむ)コーチの発言、「今年秋の試合に関学QB奥野選手が出なかったら、こっちの得だろう」 〉
概ね想定内の質疑応答でしたが、気になったのが「日大では、総務部がアメフト部よりも下位の組織」に見えることです。
ほんの数日前に監督を辞任した内田正人氏は、現在も常務理事 兼 人事部長。
その内田氏が監督をしていたアメフト部に物申すような行為は、部内だけでなく全学でタブーだったのではないでしょうか。
今回の事件をきっかけに日大が教育機関として正常化することを望みますが、それには内田氏を学校から完全に追放することが必要最低条件になります。
それができなければ今年度の日大受験者数は激減するでしょうし、わずか半年ほど前に学生日本一に輝いたアメフト部は解散の危機に陥るでしょう。
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それにしても、この宮川選手は勇気ある若者です。
正々堂々と「本当に申し訳ありませんでした」「やってしまったのは私」「顔を出さない謝罪はないと考えました」「私にアメフトを続ける権利はありません」「今後このようなことが起きないように願います」。
アメフト部を辞め一般学生として、あと二年近く学内に留まるにしても、それ以外の選択をするにしても、顔と名前を晒したのですから荊(いばら)の道が待っています。
この若者を、マスコミがこれ以上追い込むことのないよう願ってやみません。
マスコミのお仕事は、第一に内田常務理事への責任追求。それと先週金曜日の18日に開かれた理事会に本件事案を議題に上げなかった無作為理事ら大学の経営陣への責任追求。それから内田氏に服従していたコーチ陣への追求です。
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ここまでの経緯
4/22 宮川選手はスターティングメンバーとして試合に出場。
4/29 同、スターティングメンバーとして試合に出場。
5/ 3 練習時に「闘志が足りない。お前が変わらない限り、次の試合には出さない」と井上コーチから言われる。内田監督からは「辞めていい」。
5/ 4 練習前に「6月の日本代表メンバーを辞退しろ」と監督に言われると共に実戦練習から外される。
5/ 5 この日も実戦練習から外される。「関学戦の1プレー目から相手のQBを潰しに行きます」と内田監督に告げれば、試合に出してやると井上コーチから言われる。更に「関学との定期戦がなくなってもいいだろう」「相手のクオーターバックがけがをして、秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう」「これは本当にやらなくてはいけないぞ」と念を押され、髪形を坊主にしてこいと指示を受ける。
5/ 6 関学/日大定期戦当日、スターティングメンバー表に「宮川」の名前が無い。宮川選手は井上コーチに言われた通りの言葉を内田監督に告げると、監督は「やらなきゃ意味ないよ」。
試合開始直前の選手整列時に井上コーチから「できませんでした、では済まされないぞ。わかっているな?」と念押しされる。
宮川選手は1プレー目から悪質ファウルを繰返し、退場処分となる。試合後「私がやらせている」と内田監督がスポーツ紙にコメント。
5/ 8 退部したいと言う宮川選手に対し、内田監督「気にするな。世間は私を叩きたいだけ」。
5/ 9 宮川選手がヘッドコーチから呼び出される。「辞めるべきじゃない。監督の言葉をそのまま伝えたコーチに責任がある」。
5/10 関学アメフト部から日大へ謝罪申し入れ文書が出される。
5/11 宮川選手・両親が内田監督・コーチと面談。宮川選手は、関学QBとその家族へ謝罪に行く許可を求めたが、監督は認めず。事実公表も禁じられる。
5/12 宮川選手・コーチが謝罪の為に関学を訪れるが先方に拒絶される。同日、関学が記者会見。関学は日大へ謝罪申し入れ文書の送付を公表。
5/14 日大OBから大学に呼び出され、話をする。関東学生連盟の規律委員会からも呼び出され、夜に事実経過を初めて説明。
5/15 日大アメフト部が(監督らの指示を否定する)回答書を出す。この内容を知った宮川選手の父親が弁護士に相談する。
5/16 弁護士が宮川選手に聴取実施。日大本部からの聴取要請は断る。
5/17 日大総務部からの聴き取り要請に応え、選手・父親・弁護士の三人で登校し聴取実施(初回)。「大学とアメフト部は別組織」と言われる。「個人としての謝罪訪問」を総務部に再度要望する。
同日、関学の記者会見が行なわれ、内田監督・コーチの謝罪が要求される。
宮川選手側が関学の鳥内監督に「個人としての謝罪訪問」を要望、受諾される。
5/18 宮川選手と両親が被害選手とその両親に謝罪訪問。あとから同席した関学の小野ディレクターへも謝罪。
同日、日大では定例理事会が開かれるが、悪質タックル問題は議題に上がらず。
5/19 日大・内田監督が関学サイドへ謝罪訪問。終わってから伊丹と羽田で記者会見。伊丹では監督辞任を発表するが、羽田では常務理事の辞任について「話が別」と取材陣から逃げる。
5/21 日大本部から要請を受け事情聴取。アメフト部の事情聴取ではないことを再度確認、アメフト部から一度も事情聴取を受けていないのに『指導者と選手の間に乖離があった』という5/15の回答書表現はおかしいと弁護士が指摘。
5/22 宮川選手が顔と名前を公表して謝罪記者会見。この会見の後、日大企画広報部は声明を発表、「『1プレー目でクオーターバックをつぶせ』という言葉があったことは事実」と認めながらも「ゲーム前によく使う言葉で『最初のプレーから思い切って当たれ』という意味」と主張。
5/24 日大から関学へ二度目の回答書が提出される予定。
5/26 関学が二度目の記者会見を行なう予定。
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資料リンク
動画【産経ニュース】5/22 加害選手の記者会見
1時間13分(10分経過後から会見開始)
以下は文字起こし記事
記者会見詳報(1)「顔を出さない謝罪はない」
記者会見詳報(2)「大学と部の聴き取りは別」
記者会見詳報(3)「潰しに行くので僕を使って」
記者会見詳報(4)「試合後に更に責められ」
記者会見詳報(5)「謝罪も経緯公表も禁じられ」
記者会見詳報(6)「アメフト続ける権利はない」
記者会見詳報(7)「追い詰められ…」
記者会見詳報(8)完「真実を話さなければ」