『認知症にプラズマローゲン』


2/8 日曜日18:30からのTV番組、TBS「夢の扉+」をご覧になったでしょうか。


アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症を治療する画期的な新薬が日本で開発されているという内容です。


今回の放送にあたり患者・家族の同意を得て、4名の患者に治験を実施。

うち2名の患者について、下記の通り効果がありました。

男性被験者・意味性認知症のキヨシさん(74)は「質問への反応速度」「二桁の引き算正解率」に関して、新薬投与1ヶ月後に明らかな効果が見られ、『認知症中期』から『軽度』になりました。


レビー小体型認知症患者のスマ子さん(81)には僅か2週間で担当介護士が驚くほどはっきりした効果がありました。


小規模(40名)臨床試験のときも50%の患者さんに効果がみられました。








(再放送は2/11水曜日夜11時からの「TBSニュースバード」、および2/12木曜日夜11時から「BS TBS」 で放送)


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九州大学名誉教授 藤野武彦氏らのグループの研究により、進行したアルツハイマー病患者の認知度を改善する薬の臨床試験(400名規模)が昨年12月から実施されています。

薬品の名は 『プラズマローゲン』。

実は化学的に作った薬品ではなく、人間・家畜・魚類など動物の体内に存在する自然物質(リン脂質タンパクの一種)です。

プラズマローゲンは壊れやすくて熱に弱いのが特徴で、それ故取り出しにくく世界の学者がそれほど研究してきませんでした。


藤野教授は従来から『脳疲労は万病のもと』と指摘してきた医師で、糖尿病やメタボや鬱病の根本原因(ストレスから来る五感異常)は脳の疲れであるとのこと。

だから、例えばメタボの人が痩せようと努力するときに、食事を我慢するばかりではなく、1日1回は好物を食べてよいという指導で、4千人以上の患者の追跡調査の結果、その効果が認められています。


その効果をもたらしたメカニズムは、脳疲労を取り去ることができると、五感や食欲などが正常化して、「薄味・少量」で満足できる身体になるという理屈です。


プラズマローゲンは、ストレスが発生させる酸化物質により(脳細胞の身代わりに)酸化され、脳細胞を守ってくれるという働きがあります。

藤野教授は、アルツハイマー病の原因物質と言われるアミロイドβを除去できなくとも、プラズマローゲンの投与で何らかの効果が期待できるのではないかと考えました。





【アメリカの先行研究】
◎アルツハイマー病では『脳のプラズマローゲン』が低下する。(1995年、1999年)
◎アルツハイマー病では『血清のプラズマローゲン』が低下する。(2007年)



【藤野教授らの成果】
◆プラズマローゲンの抽出・製造・実用化。(2006年)

  馬渡志郎博士の協力が大きい。


◆アルツハイマー病動物モデルでプラズマローゲンが治療と予防に有効であることを発表。(2012年、2013年)


◆精製プラズマローゲンの安全性を確認。(2012年)


◆アルツハイマー病患者の重症度を判定する為に、血中プラズマローゲン濃度を簡便に測定する方法を開発。(2012年)


◆ヒトアルツハイマー病で予備臨床試験(40名)を行なった結果、プラズマローゲンの摂取により認知レベルが有意に改善したことを確認。(論文準備中)



株式会社FABホームページ略語解説
AD=アルツハイマー病
Aβ=アミロイドベータ
Pls=プラズマローゲン



TBS「夢の扉+」
http://www.tbs.co.jp/yumetobi-plus/backnumber/20150208.html

株式会社FAB
http://www.plasmalogen.co.jp/




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産学協同の体制でプラズマローゲン(自然物質とはいえ)を量産する企業を既に設立しているところに若干違和感を覚えますが、臨床試験を行なうにはプラズマローゲンが大量に必要だったのですね。


アメリカでは 『エネルギー不足の脳細胞にインスリンを供給する』 ことで、アルツハイマー病の進行を食い止めようとしていますが、日本の研究者は更にその先を行っています。

臨床試験の結果、アルツハイマー病治療薬として認可されたら『プラズマローゲン』が流行語大賞になりそうです。

ひょっとしたらノーベル医学賞の可能性がありますね。