今日はガンの先進放射線治療についてお話します。
作詞家・作家のなかにし礼さんが2012年に食道ガンになって、医師から手術を勧められたけれども陽子線治療を選択。現在も元気に活動されています。
しかしながら同じ年に食道ガンに罹り外科手術をされた中村勘三郎さんは術後4ヶ月で亡くなり、同じく歌手やしきたかじんさんも外科(3D内視鏡)手術の結果、今年(2014年)の正月に亡くなりました。
藤田まことさんも2008年5月に食道ガンの外科手術をされましたが、2010年2月に帰らぬ人になりました。
こうして書くと、食道ガンに対しては外科手術を施しても効果が薄いように見えます。
もちろん4人の年齢は違いますし、それぞれ治療開始時の食道ガンステージも違ったでしょう。
術後に処方された抗ガン剤も違うものだったかもしれません。
ですから、食道ガンには陽子線治療がベストの選択だといのは短絡的な発想だと思います。
ただ、言えるのは「放射線治療というものは外科手術や化学療法に比べてQOL(Quality Of Life・予後の生活の質)が良い」ということ。
放射線治療のみならば、ほとんど入院することなく病気と闘えるんですね。
まあ、実際のところ患者が手術を拒否した場合は、放射線治療と化学療法を組み合わせての治療を医師は推奨するでしょうけど。
陽子線・重粒子線治療では、従来の放射線治療よりもガン細胞を破壊する力を強くできますので、必ずしも化学療法との組合せでなくてよいようです。
なかにし礼さんの陽子線治療が報道されたことで、陽子線治療・重粒子線治療でガンを縮小させる方法が有名になってきましたが、これには約3百万円の費用が発生しますし(健保適用外)、全国で7ヶ所しか治療センターがありません。
もっと安価で、陽子線・重粒子線治療と同じように標的には厚く・標的周辺の部位には極力薄く放射線を当てる方法はないのかと探したらありました!
IMRT(Intensity Modulated Radio Therapyy、強度変調放射線治療)、費用は約40万円です。
大阪大学医学部付属病院では、前立腺ガン、子宮ガン、中咽頭ガンにIMRT。
大阪府立成人病センターは、前立腺ガン、頭頸部ガンにIMRT。
大阪市立大学医学部付属病院では更に進んだVMAT(強度変調回転原体照射)治療を前立腺ガンに。
京都大学医学部付属病院では前立腺ガン、頭頸部ガンにIMRT。すい臓がんには先進の動体追尾IMRT。
ご覧の通り、これらの病院では食道ガンにはIMRTを採用しないようです。
採用できない理由が何かあるのでしょうね。
IMRTが数種類のガンにしか適用できないのは残念ですが、標的をピンポイントに狙える安価な放射線治療が可能になってきたことは喜ばしいことだと思います。