昨年は生誕イベントが開催されなくて、私は正直ほっとしていました。20歳の生誕イベントなのに。

生誕イベントって普通は、1人でずっと歌うものなんです。グループで普段は活動している子が、客席のみんなに祝福されながら1人でたくさん歌っているのが普通なんです。でもその普通が私にはできないから、開催されなくてほっとした。

今年は開催が決まって、どうしようかと思いました。しかもイベント会場の代官山UNITでは、私なんだかいつもあんまりうまく歌えないんです。何度も失敗したし、パフォーマンスのクオリティを怒られたこともある。

私は1人で歌えるのか?無事に最後までやれるのか?来てくれたファンのみんなに悲しい思いをさせて帰してしまうんじゃないかと不安でした。

なのでプロデューサーのもふくさんに相談しました。
「1人だと歌うの厳しくて、でも絵を描くのが好きだからライブペイントはやりたいんです。」

もふくさんは脚本を書いてもらって、色んなメンバーがソロで歌いながらライブペイントできるようにしようと言ってくださいました。めちゃくちゃいい!と思いました。

そしてもふくさんが脚本を書いてくださる長田左右吉さんと話し合ってくださり、あの物語ができました。

題材はまさかのシンデレラ!

配役は

シンデレラ 岡田彩夢
王子様 鶴見萌
おねえさん 清水理子、山崎夏菜、大塚望由
魔女 的場華鈴

近づく生誕のプレッシャーから、パラレルワールドに逃げ出した岡田彩夢さんのおはなし。



曲と歌割りは全部自分で決めました。


何度も声が出なくて失敗する「Fancy Friday Night」という曲は、歌い出しと落ちサビを頂いている大好きな曲で、2番Aメロに「シンデレラ」というキーワードが出てくるからこれしかないと思いました。

「うたた寝してる キミのほっぺに ちゅってさ 口付けたら なんか変わるかな」というパートを萌先輩に歌ってもらったのですが、いつもそこで私が寝たふりしたら萌先輩がほっぺにちゅってするフリしてくれるのに、リハではやってくれなくてズル〜!と思いました。(思い出話)



いじわるな姉という立場の3人が歌う
「↓エイリアンガール・イン・ニューヨーク↑」

しみちゃんミユ氏夏菜ちゃんの3人はいじわるな役でありながら、個性が立ってて面白おかしいキャラをしていたので、闇鍋のようなものが見たくてこの曲を選びました。




私にとって、格好良くて綺麗でなりたくてなれない存在の王子さま鶴見萌さんには
「夏の夜は短すぎるけど…」
女性アイドルに付き纏う人生の賞味期限みたいなものの残酷さや、周りの友達たちの境遇と己を比べて焦りを抱いている彼女が歌うとダブルミーニングになるかなと思って選びました。



そしてとびきり明るい魔法使い…じゃなく、魔女!的場華鈴さんは魔法が使えるので
「Genie! Genius!」
この曲はジーニアス6という派生ユニットの曲だから、的場さんが歌うのを見たくてもなかなか見ることはできず…生誕だからお願いしちゃいました!すみません!この曲は振り付けも的場さんですね。
「大丈夫!自信持って笑ってね」って、にこにこ笑顔でほっぺたつつきながら言ってくれるのがたまらなくて泣いちゃいそうでした!これはずるい!




夏菜ちゃんが私に、オーディションのやり方わかんないでしょ!教えたげる!見てて!と歌ってくれる
「大キライでした。」

夏菜ちゃんの可愛さ元気さ切なさ成分を含んだ歌声で、いっぱい聞きたかった曲!リハで聞いてこれは正解だー!!と思いました。ありがとう!




パラレルワールドでも、過去にアイドルをしていた経験があるミユ氏が力で見せてくれるソロ曲は
「パラダイスな片想い」

昔ミッユ先輩だったときにソロイベントで歌っていたり、この曲の振り入れ当時振り付けの先生が「大塚の気怠げな感じに合うと思うんだよね」と言っていたことを思い出し選びました。歌うま過ぎサイコーつえー!鳥肌立ちますね。




そしてしみちゃんの実力をバーンと打ち出せるソロ曲
「ツグム。」

この曲の説得力が半端じゃなくて、絶対にこれがいい!と思って選びました。練習やリハではしみちゃんは私にノータッチだったのに、本番になって突然「傷はふさいどくから 立ちあがろう」って歌詞を歌いながら蹲ってる私の背中をポンと叩いてくれて、そのとき私は蹲って落ち込んでいなきゃいけないのにニコニコしちゃいそうでした!クゥッ


パラレルワールドの虹コンに救われなんとかまたステージに立つ力を持った私は、初めて肉声をマイクに乗せて挨拶して、メンバーと
「in(door) the summer」
「Fancy Friday Night」を歌います。

落ちサビ緊張した!失敗しなくてよかったなあ



ここまで地面かメンバーの顔か自分の絵しか見つめていなかったから、やっと来てくれているみんなの顔が見れて嬉しかった!でも緑色のサイリウムはずっと視界の端に輝いていて応援してくれているのが分かりました、ありがとう。

パラレルワールドから現実に戻った私は
YOASOBIさんの「群青」を歌います。


当初、ソロで歌う曲は1つも入れる予定がなくて。

でも生誕に来てくれるみんなはきっと見たいよなぁと覚悟を決めて、大好きな『ブルーピリオド』がコラボしたアルフォートのCMソングになってる「群青」を選びました。

歌詞が八虎すぎて、ヤバいよな……。
自分的にも重なる部分が多いような気がしてずっと歌いたかったんです〜歌詞の違いが難しくて歌詞なかなか完璧に歌えなかったのですが、本番は間違えなくて心の中でガッツポーズしました。

でもソロで歌ってる時、ステージ袖でメンバーが見ていてくれたみたいで、しみちゃんもリハで号泣したって言うてくれてて嬉しくなっちゃった!🎶



最後はマツケンサンバⅡで大団円。

MC中にもお伝えしたのですが、最近になってようやく私の声の病名がわかりまして、過緊張性発声障害というものをずっと抱えています。喉が、意思に反して勝手に緊張して引き締まってしまうんです。不安の先取りもあって、四六時中ずっとうまく歌えるだろうかと考えるのがやめられなくて不安に駆られています。

ライブを見てくれているみんなにも、純粋に楽しみという気持ちだけで帰してあげられないときがきっとあったと思うし、今もあると思うし、それが悔しくて申し訳なくて。


レッスンや本番で上手く歌えなかったら、その瞬間「あ、逃げたいな」って思ってしまうんです。
今回の生誕イベントも、本当はこれで人生最後の生誕イベントかな〜って思いながら向かいました。その気持ちでやったので、逆に吹っ切れて気楽にできました。

でもステージ上から見える緑に染まった光たちや、このためにずっと準備してくれていたのであろう生誕アルバム、お花のケーキ、スタンドフラワーにどうしようもなく愛おしくなって!
私がラジオか配信かSNSか、どこで言ったのかもはや覚えていないような、ささやかな好きなものたちを皆はずっと覚えてくれている。

しかもこんなに愛情やお金や時間をかけてくれているのに身元を明かさないから、君達はあしながおじさんだよ……。

ツーショットもひさしぶりに撮れたね。
歌うのは難しくて苦しくて辛いけど、私こうして皆と話すの得意だし大好きなんだったと思い出せました。


あーーー、毎日生誕イベントできたらいいのにな。




岡田彩夢