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2x2(ツーバイツー)によるスラロームトレーニング

2x2理論によるスラロームのトレーニングについて書いています

前回の記事「2x2(ツーバイツー)によるスラロームトレーニング」において、アジリティにおける2x2のトレーニングでは、ハンドラーはワンちゃんに対して、エントリーの補助動作を行わないよう注意しながらトレーニングを行う必要があると書きましたが、今回は、そのことについてもう少し深く考えてみます。

程度の差はありますが、エントリーの補助を行うということは、エントリーの補助がないとエントリーが成功しないワンちゃんを育ててしまうことを意味し、コース攻略上、スラロームのエントリーの補助が間に合わないように設定されたコースや、エントリーの補助動作を逆手に取るよう障害配置されたコースが出題されると、補助を必要とするワンちゃんでは、適切に対応することができず、スラロームのエントリーに失敗することや、エントリーはできたとしても、大幅なタイムロスを伴うことなどが予想されます。

例えば、下の図1のように、スラロームのエントリー付近にダミー障害が配置され、かつ、直前の障害配置等により、ハンドラーのポジションがH1、H2、H3、H4のような位置に限定させられるようなケースにおいては、ハンドラーの補助が間に合わない(もしくは難しい)ことが考えられます。

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上記のようなケースに対応できるよう、ワンちゃんにはハンドラーの補助なしに自発的にエントリーを成功させるパフォーマンスを身に付けてもらうことが必要となります。

前回の記事を参考にして2x2理論を実践いただくことで、自発的なエントリーについては十分に身につくのですが、その際の注意点として、「常にハンドラーがエントリーの補助を行っていない」ということが重要なポイントとなります。

例えば、スラロームのエントリーポイントに対してハンドラーがワンちゃんを送り出すという何気ない動作一つを取ってみても、いつの間にか、ワンちゃんはその行為自体をハンドラーからの補助動作として認識してしまう可能性が考えられ、ハンドラーはそのような危険性を常に意識しながらトレーニングを行う必要があります。

実際、図1の障害配置およびワンちゃんとハンドラーの位置関係では、スラロームのエントリーポイントに対してワンちゃんを送り出すと、ワンちゃんはダミー障害を跳んでしまうよう設定されているのですが、常にエントリーポイントに送り出されているワンちゃん(そして、その行為をハンドラーからの補助動作として認識しているワンちゃん)では、ハンドラーはスラロームへの送り出すことすら難しくなります。

そのような状況を回避するため、スラロームのエントリーについては、より厳しい基準を設ける必要があり、具体的には、ハンドラーがスラロームの2本目や3本目に対してワンちゃんを送り出したとしても、ワンちゃんがそれに抗う形でエントリーを成功させるようなパフォーマンスが目指されることになります。

これは特に難しいことではなく、下の図2のように「入り込んでくるイメージ」や「離れていくイメージ」を意識しながらトレーニングすることでワンちゃんはわりと簡単に理解することができるようになります。

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ハンドラーはスラロームの2本目や3本目あたりにワンちゃんを送り出します。そしてワンちゃんはハンドラーの指示に抗う形で、H1、H3のケースではハンドラーの内側に入り込み、H2、H4のケースではハンドラーから外側に離れていってエントリーを行うことになります。この際、ハンドラーはエントリーポイントに体をひねったり、足先をエントリーポイントに向けることなく、必ず2本目や3本目に送り出すことを意識します。

ジャンプ障害においては、ワンちゃんがハンドラーの指示に逆らって内側に入り込んできたり、外側に離れていくことは大きな問題になりますが、スラロームを含むジャンプ障害以外の障害については、エントリーが固定されているため特に問題にはならず、逆に、ハンドラーとワンちゃん双方でこのイメージを共有することがとても大切になります。

このトレーニングを続けることで、ワンちゃんは、ジャンプ障害以外の障害については、ハンドラーが必ずしもエントリーポイントを正確に指示しないことを認識し、自分自身で正しくエントリーを行うことを覚えていきます。

ワンちゃんがこの認識を持つと、図1のような難易度の高いスラロームのエントリーについても、下の図3のようなイメージで攻略可能となります。

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この場合、ハンドラーはダミー障害を跳ばさせないことを最優先としたハンドリングを行うことになり、スラロームのエントリーについては、ある程度のエントリーポイントを提示のみとします。そして、ワンちゃんはダミー障害ではなくスラロームの指示がでていることを認識し、自発的にエントリーポイントを捜してエントリーを行うことになります。

スラローム、トンネル、タッチ障害といったジャンプ障害以外の障害については、ジャンプ障害と異なり、エントリーが固定され、かつ、入口と出口の時間的かつ空間的な距離が離れているため、ジャンプ障害のようにワンちゃんに対して連続的に情報を提供する必要がありません。そのことを踏まえ、ジャンプ障害以外の障害については、ある程度のエントリーポイントを提示するだけで、後の出口部分までのすべての処理をワンちゃん側で対応してもらい、ハンドラーはジャンプ障害のコントロールに重点を置くよう役割分担することが適切かと思われます。